アケボノソウ

離婚・相続など家事事件及び中小企業法務を得意とする、立川市のあけぼの綜合法律事務所のブログです。

請負人の注意点

2010年09月22日 | 中小企業
 請負代金請求の講座を受講してきました。請負代金が
請求できるのは、分かりきったことですが、
(1)仕事の完成
(2)仕事の内容は、注文者の指示とおり
(3)完成した仕事の引き渡し
(4)報酬の支払の約束
が必要です。
 ここで、請負人の注意点ですが、

(2)について、注文が確定していないと「注文の指示」
どおりか判断できません。
 工事の進行に合わせて決める、見切り発車で工事を開始
する等によって、注文が確定しているか否か定かでないた
めに、トラブルが生じます。
 理想論としては、その都度、書面を作れればいいのでし
ょうが、無理でしょうから、請負人としては、せめて、
「いつ、どこで、どのような指示があったか」をメモ等し、
記録を残しておくといいですね。

(4)についてですが、途中で、発注者の希望が変わり、
設計が変更される際に、トラブルが生じることが多いよう
です。
 指示が変わるたびに見積書を作成するのは無理でしょ
うから、対策として、工事の追加、変更のたびに、別途
費用がかかることを説明し、当事者双方でサインをする
ことができれば理想です。しかし、これも突如このよう
な行動を取るのは、難しいでしょうから、事前に、契約
書作成段階で、工事内容を契約書上で、明示し、工事の
上限金額を設定しておく。そして、工事後に、追加、変
更の指示があり、その上限に達した場合、別途契約が必
要と説明し、サインをもらうようにできたらいいと思い
ます。

 以上のように、記録に残すことができれば、トラブルの
発生は少なくなるでしょうが、それでもトラブルは生じて
しまうものです。ただ、記録を残しておけば、トラブルが
生じても、有利に対応することができるものです。


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債務整理から見る弁護士・司法書士の実力

2010年09月20日 | 法曹事情
 最近、債務整理専門を謳う弁護士・司法書士が多いですが、
実力を疑ってしまう例が散見されますね。

 債務整理専門を謳う事務所でも、強制執行をしない先生。
 過払金返還請求訴訟は、事実認定よりも、純粋な理論を戦わ
せる訴訟ですが、理論的な主張をせず、安易な元本割れの和解
をする先生。

 過払いバブルによって、容易に一定額の過払金を回収するこ
とができるようになりましたが、そのため、弁護士の実力が
一部で下がってしまったのではないか、と危惧します。

 昭和50年代から債務整理をされていた先生方の当時の方法
は、現在と比べ物にならない程、凄まじいものと感じます。
 法的手段では、動産執行(これは私でもやります)、当時、
悪質な取立がなされたいたことから、取立て禁止の仮処分、
違法取立による損害賠償請求、自己破産申立とあらゆる法的
手段を講じていたようです。
 また、法的手段以外では、当時、法的知識が乏しい消費者金
融も存在し、利息制限法を理解されないことから、直接、出向
いて直談判もしていたようです。そのお陰で、交渉の極意を身
に付けた先生もいたようです。

 現在の過払いバブルの道を開いてくださった先輩の先生方は、
利益がでない債務整理をボランティアのように行い、依頼者に
感謝され、信頼を得、また、弁護士としての法的スキル、交渉
術を身に付けられていました。

 他方、現在は、紹介したような弁護士も現れはじめ、一部の
そのような弁護士によって、弁護士全体の評価が落ちるのでは
ないか、と心配されますね。


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お子様連れのご相談も安心です。

2010年09月16日 | 日記
今日は、1歳にならないくらいのお子様がご一緒に相談にいらっしゃいました。
車の中でさっきまで寝ていたとのことで、
初めはちょっとぽかん、って顔をされてましたが、
目が覚めてからは、パパのお膝でおりこうさんでした

お子様連れのご相談に備えて、
いくつかのおもちゃを用意しています。
私の甥っ子のお気に入りで、
大きくなって使わなくなってからも大切にしまっていたのを、
事務所の開所祝いということで譲ってもらいました。
お子さんがちょっとぐずりだしても、
「ぼく、アンパンマン!」の声でぴたりと泣き止みます
そのほか、積み木や絵本などもご用意しております。
また、一人遊びができるお子様は、お膝で退屈よりも、
ベビーヤードで遊んでいた方が楽しそうです。
ミルク用のお湯も、お気軽にお申し付けください。
赤ちゃんがギャン泣きでは、落ち着いて相談もできませんものね。

皆様が安心して相談に来られる場所になるよう、今後とも努力を続けていきます。

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安易な和解

2010年09月15日 | 法曹事情
 過払訴訟を筆頭に、安易な和解を薦める裁判官が多いですが、
判決を得る重要性を認識していただきたいものです。

 今でこそ、当たり前になった過払金、そもそも発端は、当時
の利息制限法1条2項の規定にもかかわらず、利息を元本に充
当することを認めさせた昭和39年11月18日の最高裁判例
が端緒です。その2年前の昭和37年6月13日の最高裁では、
反対の結論だったのをひっくり返したのです。
 通常なら、2年前に充当を認めない最高裁判決が出ていたの
ですから、勝ち目はないと思われます。しかし、おそらく代理
人は、当時の利息制限法1条2項は正義に反すると考え、戦い
抜いたのでしょう。

 さらに昭和44年5月27日、最高裁で過払金返還請求を認
容させ判例もそうでしょう。39年の最高裁の判例理論では、
一括払いをした場合、過払を回収することを認めるのは難しい
はずです。それでも、具体的事情から、過払金を回収できるの
が正義と考え、戦いぬいたのだと思います。

 また、ヤミ金から借りた金すら返還を不要とした平成20年
6月10日の最高裁判例も同様です。通常、借りた金くらいは
返して当たり前、と考えるものですが、はやり、それでは、ヤミ
金は存続し得、根本的な解決にならない、と考え、戦い抜き、
常識を破ったのだと思います。

 今では、常識になった考えも、判決を得るため戦い抜いた末、
獲得されたものです。

 もっとも、すべての事件に判決を取ることが得策だとは、思
いませんが、世の中を変えていくには、判決をとっていく姿勢
は重要なのではないでしょうか。

 過払訴訟も、もともとは、消費者金融に苦しむ人を助けること
から始まったものです。単に、依頼者にお金を取り戻すことが目
的なら、多少金額を下げても、早く和解した方が依頼者の利益に
なる、という考え方もあるでしょう。
 しかし、消費者金融に苦しむ人を少しでも少なくしようという
考えの下、消費者金融業では大もうけできないことを知らしめよ
うという考え方、また、依頼者に、現在の収入だけで、通常の生
活をし、咄嗟の大きな出費のための蓄えを作る目的で、回収した
過払い金を充てるという考え方もありえるでしょう。

 元本を下まわる金額での和解に応じない代理人は、このように
考えているはずです。
 裁判官には、単に訴訟を早く終わらせることだけでなく、何が
社会にとっていいことなのか、何が本人のためにいいことなのか
をしっかり考え、和解をすすめるか考えてもらいたいものです。

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「M&A最強の選択」(日経BP社 服部暢達)

2010年09月12日 | 中小企業
 今から5年前に書かれたものだが、著者は、現在一橋大学
大学院国際企業戦略研究科教授であり、また、元GSのマネ
ージング・ディレクターとして、日本リースのリース事業の
売却、第二電電・KDD・日本移動通信の合併、NKKと川
崎製鉄の経営統合にかかわっただけあって、理論面と経験の
紹介が書かれており、読む価値のある本であった。
 特に、次の点について、詳しく書かれているので、これら
の点に興味のある方にお薦めである。

(1)買収防衛策
 ポイズンピル以外の買収防衛策の検討がなされている。会
社法成立当時三角合併によって、敵対的買収が増加すると騒
いでいたが、理論的に間違えていることも指摘されている。

(2)2000年前半に起こった日本の買収の解説
 ライブドア対ニッポン放送、夢真ホールディングス対日本
技術開発、UFJ信託銀行等の事例の解説が紹介されている。
 紹介と言っても、単なる手続の紹介ではなく、ライブドア
に関しては、当時のライブドアの主張していた「ネットとメ
ディアの融合の実践」と行動に一貫性がないことを理論的に
指摘している。マスコミでは指摘されていなかったことなの
で、ライブドア事件を検証する上でも非常に参考になる。

(3)金融機関の債権放棄
 金融機関が不良債権を放棄する理由が、経済的にメリット
がある、という仮説が紹介されている。納得のいく説明であ
った。

(4)成功するM&A
 NKKと川崎製鉄、カネボウの事例を参考に成功するM&
Aを分析している。

 以上のような内容であったことから、公開企業でない中小
企業であっても、今後、経営統合を考えている経営者、マス
コミの報道に疑問を感じられる方、買収防衛策の勉強をしよ
うと思っている方には、お薦めできる本であった。

 なお、一部、数学的な考えが必要な章もあるが、そこは、
読み飛ばしても、他の章を読むことはできるので、数学が苦
手な方でも、読むことはできる。


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