Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

日本の青磁と染付

2008年12月03日 00時07分49秒 | 美術館・博物館etc.
『青磁と染付展-青・蒼・碧』
 戸栗美術館
 ※12月24日(水)まで

 青磁も染付も中国から出たもの。
 青磁は南宋から元にかけて、染付は元から明の時代にかけて~・
 という先入観で出かけて行ったら、変化球。

 中国産のものは展示されていたが、時代の変遷を理解するため?
 高麗青磁も参考に紹介してあるよ、という感じの展示。
 メインは江戸時代に入ってから、伊万里や鍋島で焼かれた青磁と染付。
 “写し”ではあるけど、見事に再現されて日本の技術として吸収されていた。

 伊万里も鍋島も磁器で、赤絵や金襴手など華やかな器というイメージがある。
 が、青磁はキッチリとたっぷりした青の釉薬たっぷりで“再現”してあるし。
 染付も赤など別の色をつけてやけるけど、敢えて青一色でカッチリ焼いてある。
 伊万里の獅子牡丹唐草文の染付水指は優美でやさしい雰囲気でステキ。

 染付ばかりの展覧会は今夏に京都で観たくらいだが、
 青磁に関しては一昨年初夏に出光美術館で「青磁の美 -秘色の探求- 」を展示解説つきで観たり、
 昨春に静嘉堂文庫美術館で「中国・青磁のきらめき」展を観て、講演会も聴いた。
 その時の理解では時代や国が進むにつれ、栄えた技術は次の技術に取ってかわられるという印象だった。
 青磁は晋の時代から少しずつ技術が磨かれて南宋時代にピークを迎える。
 が、官窯で保護された高い技術は民窯に流れ、普及する。
 やがて安価で悪質なものが量産されるようになると、品質も落ち衰退し滅びる。
 そして、染付の技術に取って代わられる。
 染付も赤絵の技術が向上すると、衰退して滅び、
 さらには金襴手や呉須赤絵を発展するにつれて、古い技術は滅ぶ。
 つまり、国が代わることによって、技術も断ち切られるというか。
 次に伝承されたり、引き継がれたりはしていないような。。。
 そんな印象。
 (だから、曜変天目の技術も伝えられないままに廃れた)

 が、日本は技術革新もしながら、昔の技術も尊重して維持しているようところがあるのかな。
 展示されている伊万里の染付観ていると17世紀中葉から18世紀にかけての器もあってビックリした。
 窯元が違うのだろうけど、柿右衛門の技術とは別に染付の技術をさらに磨いているような。
 青磁も同様で、鍋島などは青磁と赤絵の釉薬を掻き分けていたり。

 政治の主役は代わっても、国家そのものは同じだったということもあるけど。
 展示を通じて、技術力に対する国柄の考え方の違いを強く感じた。
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