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資料室B3F

https://yaplog.jp/akasyuri/
の移籍版。

次項用

2013-09-16 23:59:00 | SWF論集用小ネタ
この項の形式(数式だらけ)の利点は、付表を作ってやる必要がない点にあります。数式以上に、付表を作るのってめんどくさいわけよ。

〔理論モデル〕

外貨準備が中長期的に与える影響に関しての理論モデルを以下で検討する(注)。
ターム1で使用した小国モデルとは別の小国モデルを本タームでは使用する事にしよう。
以下の国家モデルの消費財は、貿易財と非貿易財をコンポーネントとし、純債務国とする。
一般的な当該国の消費者は、以下の効用関数を最大化する。

Σ(∞, k=0)β_kU{C^T_(t+k), C^N_(t+k)}・・・01

注)β:ディスカウント・ファクター
C^T:貿易財消費(実質利子率と非貿易財価格は貿易財で定義)
C^N:非貿易財消費
t:時間

当該国消費者の予算制約式は、

B^L_(t+1) +B^NL_(t+1)-K_(t+1)=(1+r)^{B^L_t}+(1+r+LP(ρ(B^L/FR)))^{B^NL_t}-K_t
-{Y^T_t+P^N_t(Y^N_t)-IP(φ(B^L/FR))-C^T_t-P^N_t(C^N_t)-T_t}・・・02

注)B^L:純流動性債務残高
B^NL:純非流動性債務残高
K:国内資本ストック(資本減耗はゼロと仮定)
s.t.K_t=K^T_t+K^N_t

r:流動性債務利子率
s.t.1+r<1/β(定常均衡と変数の一定化の為)

FR:外貨準備高
LP=ρ(B^L/FR):流動性プレミアム(Liquidity Premium)(注1)
Y^T(Y^T_t=f((K^T_t)/(n_t)))orY^N(Y^N_t=g((K^N_t)/(N-n_t))(N-n_t)):生産関数
s.t.f>0、g’>0、f’<0、g’’<0
N:労働供給量(一定)
n:貿易財産業に於ける労働投入

P^N:非貿易財価格
IP=φ(B^L/FR):保険プレミアム(Insurance Premium)
T:一括税

02式で、流動性プレミアムと保険プレミアムの変数が登場するが、流動性プレミアムの場合非流動性債務の利子率に組み込まれている事に対し、保険プレミアムは独立コストとして予算制約式に組み込まれている。
流動性プレミアムが組み込まれる理由は注釈1の通り、非流動性債務が流動性債務と比較して回収が容易でなく、貸し手の契約時の要求にプレミアム条項が組み込まれる事を前提とした為である(プレミアム条項が組み込まれない場合、LP=0とすればよいだけの話である)。
02式の場合、国内債務は相殺される為、純流動性債務残高は、正確には純流動性「対外」債務残高となる。
純流動性対外債務残高が外貨準備高と比較して相対的に大きくなった場合(アジア通貨危機以前のアジア諸国を考えれば分かりやすい)、借り手は流動性危機を阻止する為に余計にコストを払う必要が生じる。
そこで、以下に流動性プレミアムと保険プレミアムの条件を付ける。

ρ’(B^L_t/FR_t)>0・・・03

ρ’’(B^L_t/FR_t)>0・・・04

φ’(B^L_t/FR_t)>0・・・05

φ’’(B^L_t/FR_t)>0・・・06

注)以下では、ρ’またはρ’’の場合はLP’、LP’’とし、φ’またはφ’’の場合はIP’、IP’’とする。

03~06式は、流動性債務残高が大きければ大きいだけ流動性危機が発生しやすいと言う状況を反映し、対照的に外貨準備高が大きければ大きいだけ流動性危機は発生しにくいと言う状況を反映した条件である。

以上の式より、内点解を仮定し、02式のラグランジュ乗数(ラグランジュ法についてはターム1を参照)をλ_tとする(定常状態では、ラグランジュ乗数は一定であり、λ>0とする)。
一階の条件は、以下の通りである。

U_01≡∂U(C^T_t, Y^N)/∂C^T_t=λ_t・・・07

注)貿易財の消費量を決定する式である。

U_02≡∂U(C^T_t, C^N_t)/∂C^T_t=λ_t(P^N_t)・・・08

注)実質為替レート(≒非貿易財価格)は、貿易財と非貿易財の限界代替率に依存する事を示す式である。
非貿易財価格の下落は、実質為替レートの減価に直結する。

f(K^T_t/n_t)-f’{(K^T_t/n_t)}^2=P^N_t
g{(K^N_t)/(N-n_t)}-g’〔{(K^N_t)/(N-n_t)}[K^N_t/{N-n_(t+k)}]〕・・・09

注)純流動性対外債務残高は外貨準備高と正の相関を持つと言う意味合いの式である。
外貨準備が増加した時、消費者は利子率が相対的に安くなる流動性対外債務で資金をより多く調達する様になる。

λ_t=β〔(1+r)+ρ’{B^L_(t+1)}/{FR_(t+1)}{B^N_(t+1)}/{FR_(t+1)}+φ’[{B^L_(t+1)}/{FR_(t+1)}]/{FR_(t+1)}〕λ_(t+1)・・・10

λ_t=β〔(1+r)+ρ[{B^L_(t+1)}/{FR_(t+1)}]λ_(t+1)・・・11

λ_t=β{1+f(K^T_t/n_t)}λ_(t+1)・・・12

λ_t=β[1+{P^N_(t+1)}g’{(K^N_t)/(N-n_t)}]λ_(t+1)・・・13

ラグランジュ乗数の条件より、マクロ変数である貿易財消費、非貿易財価格(実質為替レート)、純流動性対外債務残高、純対外債務残高(純流動性対外債務残高と純非流動性対外債務残高を足したもの)は、外生的にショックを与えない限りは、時間を問わず変動しない。
即ち、外貨準備高の変動は、外生的ショックとなり、上記の変数の変動を発生させる。

定常状態を考量した場合、10~13式より、

ρ(B^L/FR)=ρ’(B^L/FR)(B^N/FR)+φ’(B^L/FR)/FR=(1/β)-(1+r)・・・14

f(K^T/n)=(P^N)g’{K^N/(N-n)}=(1+β)-1・・・15

09、14、15式より、(B^L/FR)と(K^T/n)、{K^N/(N-n)}、そしてP^Nは、外貨準備高の変動が発生してもその影響を受けず一定である事が分かる。

注)モデルは福田慎一と今喜史により構築された。
Reference
Fukuda, S., and Y. Kon, “Macroeconomic Impacts of Foreign Exchange Reserve Accumlation: A Theory and Some International Evidence”, memeo, c2008.
Available at
http://www.adbi.org/files/2010.02.19.wp197.macroeconomic.impact.forex.reserve.accumulation.pdf




ターム3序章編

2013-09-16 20:04:00 | SWF論集用小ネタ
なんかこう、○○旅情編とかわけのわからないタイトルを付けたくなるわけのわからない気持ちに苛まれるわけですけど、
そうもいきませんね(パブリックなものとしていずれ出てしまうのだから!それに、ふざけたタイトルだと、引用されたときが一番恥ずかしいぞw)

【実証ターム03:外貨準備高増加が与える対外債務への影響の比較】

東アジア諸国がアジア通貨危機時点で抱えていた問題は、外貨準備高が、短期対外債務よりも低くなった事による流動性不足である。
この教訓から、アジア通貨危機を経験した東アジア諸国に限らず、発展途上国の多くは流動性不足リスクの回避の為(そして、輸出主導の為)に、大量に外貨準備高を積み立てた(外貨準備高の量に関しては、付表01を参照)。
このバイアスは、東アジアに於いては(イランの場合、石油輸出があるので放っておいても基本的には外貨準備高は嵩んでいく)自国通貨安誘導目的の為の外貨(主な外貨はドル)買い介入により、更に速度は加速している(付表02参照)。
元はと言えば、フェルドシュタインが当時「アジア通貨危機の様な危機を防止する国際的な手立ては存在しない上、当分期待不可能であるのだから、自己防衛策の一として、平時に外貨準備を十分に蓄積しておくべきだ」と述べたのが始まりである(注1)。
以下は、経常収支比較の項でも記した事であるが、外貨準備の過大な蓄積は、潜在的な流動性不足リスクを「過剰に」恐れるばかりに、別のリスク(言わば「Nervous Risk」であろう)が発生し、そのリスクがコストとなってしまう(注2)。
バーナンキも指摘する(注3)、アメリカの経常収支の赤字の拡大(経常収支比較の付表04を参照)は、東アジアを中心とする発展途上国の経常黒字に理由を求められるとしている。
通貨危機以前の東アジアの発展途上国は、慢性的な経常収支赤字が続き、資本流入が続いていた。
しかし、これも反省となり、資本流出を通して経常収支黒字を発生させ、外貨準備を蓄積し、アメリカの経常収支赤字がファイナンスする形で、資金フローの固定化(資金フローの歪(Distortion)とも記してよいだろう)が発生するファクターとなっている。
発展途上国の外貨準備蓄積自体は、視点を変えれば、通貨危機再発防止に対しては非常に有用である。
しかし、前述の通り、蓄積の過剰化が発生した場合、通貨危機防止の保険機能を超えた領域は、余分なコストとなる。
余分なコストを発生させない、即ち適切な外貨準備の水準は、大まかではあるが、輸入額の3~6ヶ月分である(注4)(輸入額の総額、3カ月分、6カ月分については、付表03を参照されたい)。
どちらの水準で見ても、全ての国で外貨準備高は2倍以上超過している事が判明する。
この基準は、多くの発展途上国で、1970年代から1980年代に於いて、固定相場制が採用されていた上、資本取引自体も今よりずっと閉鎖的であった為に、外貨準備は輸出入の変動に対する保険として機能していた。
しかし、1990年代以降、資本取引規制が緩和され、輸出入以上に資本取引が活発化した為、外貨準備の保険機能としての重要性は、輸出入以上に資本取引に対して機能していると言えよう。
その為、IMF(注4)は同様に、ベンチマークを輸入額から、短期債務残高(満期1年以内)(付表04参照)をカバーしているかと言う基準も提示した(注5)(付表05参照)。
確かに、アジア通貨危機以前はこの基準の場合、アジア諸国は1を上回っていない。
注5のマレーシアという例外も存在する為、仮に比率のベンチマークを1.5~1.7としても、現在では大韓民国を除いた国で、この比率は2.0を軽々と超過している状況である(イランの場合、二桁以上超過している年度も存在する)。
その後、IMFは経済規模や資本勘定取引の脆弱性指標(金融開放度、M2(M3)のGDP比等)、経常勘定取引の脆弱性指標(輸入額のGDP比、輸出額の変動等)を変数にした回帰分析を行い、各国の適正な外貨準備を推計した(注6)。
この分析の結果からも、アジアの場合2002年度以降、全て外貨準備が過大であると言う結果が出ている。
但し、実際の金融危機がパニック状態で発生した場合、このベンチマークで耐えられるかと言えば、かなり懐疑的である。
ひとたび発生した金融危機により引き起こされる経済的・社会的なコストを勘案した場合、「保険機能」としてのベンチマークは、やはりIMFの指標よりも高く見積もる必要があるだろう(注7)。
このベンチマーク(外貨準備/短期対外債務)が出された背景として、アジア通貨危機に於ける金融危機の側面がある。
通貨危機の直前に各国には外国から大量の短期資金が流入し、危機発生を契機として大量の短期資金が流出した。
この流入した短期資金は、既に非流動的な長期投資資金として貸し出しがされている状態になってしまっていた上、流出資金の大半は銀行を経由させたものであったが為に、銀行にも影響が及び、深刻な銀行危機が発生した。
この様な短期資金流出を防止する為には、以下の政策手段が考えられる。
①支払停止条項(注8)の設定
②LLR(Lender of Last Resort、最後の貸し手)機能(注9)として、政府や中央銀行が借り手に対し緊急融資を行う

しかし、この様な政策やセーフティ・ネットを国際金融市場で十分に期待出来るかとなると、懐疑性は残る。
その為、東アジア諸国では、外貨準備を積み立てる事により、危機の軽減を行う手段を選択している。
アジア通貨危機発生当時、セーフティ・ネットは今以上に脆弱であった事は否定しようもない。
しかし、対外資金貸借の中で、長期性債務の割合が高ければ、金融危機はここまでは深刻さを露呈する事は無かったと考えられる(長期性債務の場合、纏めて資金を一度に回収するのは短期性債務と比較して難しい為)(注10)。
短期性債務の債務全体に占める割合を付表06に示している。
通貨危機前後の割合を比較すると、大韓民国やタイが比較的大きい事に対し、インドネシアやフィリピンは当初から短期比率は非常に低かった。
その後を比較すると、大韓民国やタイは上昇傾向にある事と対照的に、インドネシアではそのままの傾向を、フィリピンでは更に減少している傾向にある。
イランの場合、比率は上昇傾向にあり、短期比率は近年急激に上昇している。
福田慎一によれば(注11)(付表07参照)、通貨危機前後の海外からの資金フローを見た場合、同じ銀行貸出であっても、短期貸出は危機後の1997年12月、1998年6月の段階で大幅に減少している。
対照的に、中長期(中期は1年超~2年以内、長期は2年超)の貸出の場合、1997年12月の段階では、タイを例外として下落する事はなく、緩やかな増大を見せていた。
1998年6月の段階では、例外なく全ての国が中期貸出は増大した一方、長期貸出の場合、下落する国は存在したものの、下落率は短期貸出の下落率と比較した場合、軽微なものであった。

〔脚注〕

注1)Martin.Feldstein, “A Self-Help Guide for Emerging Markets”, Foreign Affairs, Vol.78, No.2, March/April 1999.
Available at
http://www.nber.org/feldstein/fa0399.html

注2)このジレンマが発生する国としては、発展途上国と言う事になる。
アイゼンマンやロドリックは、発展途上国の大半が予備的動機として過大な外貨準備を蓄積している、と指摘している。

Reference
Aizenman, Joshua, and Jacwoo Lee, “International Reserves: Precautionary Versus Mercantilist Views, Theory and Evidence”, NBER working papers: 11366, c2006.
Available at
http://www.imf.org/external/pubs/ft/wp/2005/wp05198.pdf

Rodrik, D., “The Social Cost of Foreign Exchange Reserves”, forthcoming in the International Economic Journal, c2005.
Available at
http://www.nber.org/papers/w11952

注3)Bernanke, B.S., “The Global Saving Gult and the U.S. Current Account Deficit”, The Sandridge Lecture, Virginia Association of Economics, Richmond, Virginia, c2005.
バーナンキは、ASEANの経常黒字に加え、UAEを筆頭とした、原油価格高騰による石油産油国の経常黒字増加も一因と挙げている。

注4)IMF,“Debt- and Reserve-Related Indicators of External Vulnerability.”, c2000.
Available at
http://www.imf.org/external/np/pdr/debtres

注5)「外貨準備保有高/短期債務残高」の比率について、ベンチマークは1.0倍となっている。
しかし、これも例外がやはり存在し、1997年時点のマレーシアは、この比率が1.5倍という高い水準であるにもかかわらず、通貨危機が発生している。
この例外から、このベンチマークへの反論を先回りして、IMFは1.0倍という水準が絶対ではない事を指摘し、反論を回避している。

注6)IMF, “World Economic Outlook”, Chapter II, Three Current Policy Issues in Developing Countries, September, c2003.

注7)しかし、やはり2.0を上回る状態は過剰である事に変わりはない。
いくら伝統的なベンチマークでは懐疑性があったとしても、この状態は過剰である。

注8)借り手が、一度に一定限度額以上の債務返済を拒否する条項。
支払停止条項の有効性に関しては、以下の文献が参考になる。
支払停止条項の導入はパニックによる取り付けを排除するが、預金金利を上昇させる事が明らかとなり、支払停止条項の導入は経済厚生を悪化させる可能性が存在し、預金契約の支払停止条項は 取り付け防止策として有効な方策とはならない事が同論文で示されている。

Reference
小田勇一「銀行取付け防止策としての支払停止条項の有効性:厚生分析」(同志社大學經濟學會『經濟學論叢』60巻所収、2008.07、pp.101-129)
http://www.jsmeweb.org/kinyu/pdf/07f/07f219-oda.pdf

注9) 資金繰りに問題が生じた金融機関等に対して、資金供給を行う主体が他にいない場合に、中央銀行が文字どおり最後の貸し手として資金の供給を行う事を指す。

注10)通貨危機再発防止策として、長期資金による資金調達が挙げられるが、以下の報告書でもその必要性が議論されている。
外貨準備の過剰蓄積と対照的に、過剰分のコストが発生しない点が有益と言える。

Reference
関税・外国為替等審議会:アジア経済・金融の諸問題に関する専門部会『アジア経済・金融の諸問題への取り組み-危機の再発防止と安定的な経済成長の実現のために-』(2002.07)
http://www.google.co.jp/url?sa=t&source=web&cd=1&ved=0CCkQFjAA&url=http%3A%2F%2Fwww.mof.go.jp%2Fabout_mof%2Fcouncils%2Fcustoms_foreign_exchange%2Fsub-foreign_exchange%2Freport%2F140705.pdf&ei=Qtc2UuLmFoHokAW86YHABA&usg=AFQjCNGsaLATQJqDEcrO040mnrqm_YgCAQ&sig2=sMpUDj3uGNJwpQPjkuFvww

注11)Fukuda, S., “The Impacts of Bank Loans on Economic Development: An Implication for East Asia from an Equilibrium Contract Theory”, in T.Ito and A.O. Kruger eds., Regional and Global Capital Flows: Macroeconomic Causes and Consequences, University of Chicago Press: Chicago, pp.117-145.
Available at
http://ideas.repec.org/p/tky/fseres/99cf58.html




共和分検定関係

2013-09-14 01:14:00 | SWF論集用小ネタ
共和分判定の回帰分析を行うのに必要だったまあ材料みたいなモノです 回帰分析の結果は追記にて

【実証ターム02.付表10:共和分検定用の回帰分析の残差】

《預金金利と実質GDPとの回帰分析の残差》
観測値1:3.20569
観測値2:2.894908
観測値3:2.178476
観測値4:1.413164
観測値5:0.815576
観測値6:0.385802
観測値7:-0.53875
観測値8:-1.26805
観測値9:0.36176
観測値10:-0.31446
観測値11:-2.30807
観測値12:-3.5174
観測値13:0.407881

《預金金利と実質GDPとの回帰分析の残差の差分系列》
観測値1:
観測値2:-0.31078
観測値3:-0.71643
観測値4:-0.76531
観測値5:-0.59759
観測値6:-0.42977
観測値7:-0.92455
観測値8:-0.72931
観測値9:1.629813
観測値10:-0.67622
観測値11:-1.99362
観測値12:-1.20933
観測値13:3.925278

《預金金利とM2との回帰分析の残差》
観測値1:10.4214
観測値2:10.09741
観測値3:9.6224
観測値4:9.085218
観測値5:8.337754
観測値6:7.251784
観測値7:5.268106
観測値8:3.554533
観測値9:3.998152
観測値10:1.623033
観測値11:-2.4403
観測値12:-7.5792
観測値13:-3.9292

《預金金利とM2との回帰分析の残差の差分系列》
観測値1:
観測値2:-0.32398
観測値3:-0.47501
観測値4:-0.53718
観測値5:-0.74746
観測値6:-1.08597
観測値7:-1.98368
観測値8:-1.71357
観測値9:0.443619
観測値10:-2.37512
観測値11:-4.06333
観測値12:-5.1389
観測値13:3.65

《預金金利とM3との回帰分析の残差》
観測値1:10.46267
観測値2:10.10984
観測値3:9.564568
観測値4:9.046374
観測値5:8.257761
観測値6:7.156204
観測値7:5.128593
観測値8:3.327392
観測値9:3.77631
観測値10:1.367379
観測値11:-2.97566
観測値12:-7.30035
観測値13:-3.65035

《預金金利とM3との回帰分析の残差の差分系列》
観測値1:
観測値2:-0.35283
観測値3:-0.54528
観測値4:-0.51819
観測値5:-0.78861
観測値6:-1.10156
観測値7:-2.02761
観測値8:-1.8012
観測値9:0.448918
観測値10:-2.40893
観測値11:-4.34304
観測値12:-4.3247
観測値13:3.65

《預金金利と対外資産との回帰分析の残差》
観測値1:11.11003
観測値2:11.05459
観測値3:9.202716
観測値4:8.679816
観測値5:7.488476
観測値6:5.659765
観測値7:3.577358
観測値8:0.998405
観測値9:2.256226
観測値10:2.180191
観測値11:0.255889
観測値12:-7.64675
観測値13:-3.99675

《預金金利と対外資産との回帰分析の残差の差分系列》
観測値1:
観測値2:-0.05543
観測値3:-1.85188
観測値4:-0.5229
観測値5:-1.19134
観測値6:-1.82871
観測値7:-2.08241
観測値8:-2.57895
観測値9:1.257821
観測値10:-0.07604
観測値11:-1.9243
観測値12:-7.90264
観測値13:3.65

《実質GDPとM2との回帰分析の残差》
観測値1:271,439.7
観測値2:270,127
観測値3:278,125.6
観測値4:285,462.9
観測値5:277,827.6
観測値6:249,948.9
観測値7:205,227.7
観測値8:163,385.3
観測値9:115,095.3
観測値10:44,919.84
観測値11:-40,999.7
観測値12:-201,437
観測値13:-211,912

《実質GDPとM2との回帰分析の残差の差分系列》
観測値1:
観測値2:-1,312.77
観測値3:7,998.601
観測値4:7,337.297
観測値5:-7,635.25
観測値6:-27,878.7
観測値7:-44,721.3
観測値8:-41,842.3
観測値9:-48,290
観測値10:-70,175.4
観測値11:-85,919.6
観測値12:-160,438
観測値13:-10,475

《実質GDPとM3との回帰分析の残差》
観測値1:273,120.3
観測値2:270,639.9
観測値3:275,792
観測値4:283,902.3
観測値5:274,602.8
観測値6:246,098.6
観測値7:199,605.8
観測値8:154,220.1
観測値9:106,151.9
観測値10:34,617.82
観測値11:-62,627.3
観測値12:-190,026
観測値13:-200,501

《実質GDPとM3との回帰分析の残差の差分系列》
観測値1:
観測値2:-2,480.4
観測値3:5,152.143
観測値4:8,110.228
観測値5:-9,299.44
観測値6:-28,504.2
観測値7:-46,492.8
観測値8:-45,385.7
観測値9:-48,068.2
観測値10:-71,534.1
観測値11:-97,245.1
観測値12:-127,399
観測値13:-10,475

《実質GDPと対外資産との回帰分析の残差》
観測値1:299,430.9
観測値2:309,015.3
観測値3:261,388.9
観測値4:269,365.4
観測値5:243,868.6
観測値6:186,087.3
観測値7:137,575.8
観測値8:60,939.18
観測値9:45,719.09
観測値10:68,769.73
観測値11:69,678.62
観測値12:-202,023
観測値13:-212,498

《実質GDPと対外資産との回帰分析の残差の差分系列》
観測値1:
観測値2:9,584.336
観測値3:-47,626.3
観測値4:7,976.407
観測値5:-25,496.8
観測値6:-57,781.3
観測値7:-48,511.5
観測値8:-76,636.7
観測値9:-15,220.1
観測値10:23,050.64
観測値11:908.8807
観測値12:-271,701
観測値13:-10,475

《M2と対外資産との回帰分析の残差》
観測値1:145,311.4
観測値2:200,976.9
観測値3:-71,429
観測値4:-65,306.1
観測値5:-149,358
観測値6:-290,790
観測値7:-299,786
観測値8:-462,141
観測値9:-291,681
観測値10:181,446.5
観測値11:626,545.5
観測値12:100,477.6
観測値13:400,477.6

《M2と対外資産との回帰分析の残差の差分系列》
観測値1:
観測値2:55,665.55
観測値3:-272,406
観測値4:6,122.956
観測値5:-84,051.8
観測値6:-141,432
観測値7:-8,995.14
観測値8:-162,355
観測値9:170,459.7
観測値10:473,127.8
観測値11:445.099
観測値12:-526,068
観測値13:0

《M3と対外資産との回帰分析の残差》
観測値1:142,336.5
観測値2:206,616.2
観測値3:-64,414.7
観測値4:-62,586.2
観測値5:-142,618
観測値6:-288,698
観測値7:-290,352
観測値8:-443,438
観測値9:-266,993
観測値10:234,403.2
観測値11:758,685
観測値12:27,660.82
観測値13:27,660.82

《M3と対外資産との回帰分析の残差の差分系列》
観測値1:
観測値2:64,279.75
観測値3:-271,031
観測値4:1,828.535
観測値5:-80,031.5
観測値6:-146,081
観測値7:-1,654.11
観測値8:-153,086
観測値9:176,444.7
観測値10:501,396.7
観測値11:524,281.7
観測値12:-731,024
観測値13:0

【実証ターム02.付表11:共和分検定結果】

《預金金利と実質GDPとの共和分検定結果》

《回帰統計》
重相関R:0.526635
重決定R2:0.277344
補正R2:0.186435
標準誤差:1.333868
観測数:12

《分散分析表》
〈回帰〉
自由度:1
変動:7.511137
分散:7.511137
観測された分散比:4.221625
有意F:0.066984

〈残差〉
自由度:11
変動:19.57126
分散:1.779205

〈合計〉
自由度:12
変動:27.08239

〈X値〉
係数:-0.40391
標準誤差:0.196581
t:-2.05466
P-値:0.064456
下限95%:-0.83658
上限95%:-0.028765

求めた推定式は、t値が2は超えているものの、P-値も0.05以下ではなく、有意Fも低い値ではない為、回帰式として成立しているとは言えない。
総合的には共和分が存在すると言う帰無仮説は棄却されるべきであるが、t値のみで判断する場合、一応棄却不可能と言う判断となり、この二変数間には共和分が存在する事が判定される(但し、総合的に判断した場合は棄却されるとして良いだろう)。

《預金金利とM2との共和分検定結果》

《回帰統計》
重相関R:0.387935
重決定R2:0.150493
補正R2:0.059584
標準誤差:2.346692
観測数:12

《分散分析表》
〈回帰〉
自由度:1
変動:10.5766
分散:10.73137
観測された分散比:1.948691
有意F:0.192945

〈残差〉
自由度:11
変動:60.5766
分散:5.506963

〈合計〉
自由度:12
変動:71.30797

〈X値〉
係数:-0.13049
標準誤差:0.093479
t:-1.39596
P-値:-0.190263
下限95%:-0.33624
上限95%:0.075253

求めた推定式は、t値が2を超えておらず、P-値も0.05以下ではなく、有意Fも低い値ではない為、回帰式として成立しているとは言えない。
共和分が存在すると言う帰無仮説は棄却され、この検定結果から、この二変数間には共和分が存在しない事が判定される。

《預金金利とM3との共和分検定結果》

《回帰統計》
重相関R:0.40033
重決定R2:0.160264
補正R2:0.069355
標準誤差:2.25775
観測数:12

《分散分析表》
〈回帰〉
自由度:1
変動:10.70134
分散:10.70134
観測された分散比:2.099357
有意F:0.177983

〈残差〉
自由度:11
変動:56.0718
分散:5.097437

〈合計〉
自由度:12
変動:66.77314

〈X値〉
係数:-0.13137
標準誤差:0.09067
t:-1.44892
P-値:0.175262
下限95%:-0.33094
上限95%:0.06819

求めた推定式は、t値が2を超えておらず、P-値も0.05以下ではなく、有意Fも低い値ではない為、回帰式として成立しているとは言えない。
共和分が存在すると言う帰無仮説は棄却され、この検定結果から、この二変数間には共和分が存在しない事が判定される。

《預金金利と対外資産との共和分検定結果》

《回帰統計》
重相関R:0.432184
重決定R2:0.186783
補正R2:0.095874
標準誤差:2.726072
観測数:12

《分散分析表》
〈回帰〉
自由度:1
変動:18.77582
分散:18.77582
観測された分散比:2.526529
有意F:0.14303

〈残差〉
自由度:11
変動:81.74613
分散:7.431467

〈合計〉
自由度:12
変動:100.522

〈X値〉
係数:-0.18055
標準誤差:0.113591
t:-1.58951
P-値:0.140253
下限95%:-0.43057
上限95%:0.069459

求めた推定式は、t値が2を超えておらず、P-値も0.05以下ではなく、有意Fも低い値ではない為、回帰式として成立しているとは言えない。
共和分が存在すると言う帰無仮説は棄却され、この検定結果から、この二変数間には共和分が存在しない事が判定される。


《実質GDPとM2との共和分検定結果》

《回帰統計》
重相関R:0.230124
重決定R2:0.052957
補正R2:-0.03795
標準誤差:62377.93
観測数:12

《分散分析表》
〈回帰〉
自由度:1
変動:2.39E+09
分散:2.39E+09
観測された分散比:0.615103
有意F:0.451051

〈残差〉
自由度:11
変動:4.28E+10
分散:3.89E+09

〈合計〉
自由度:12
変動:4.52E+10

〈X値〉
係数:-0.06471
標準誤差:0.082514
t:-0.78429
P-値:0.449432
下限95%:-0.24633
上限95%:0.116897

求めた推定式は、t値が2を超えておらず、P-値も0.05以下ではなく、有意Fも低い値ではない為、回帰式として成立しているとは言えない。
共和分が存在すると言う帰無仮説は棄却され、この検定結果から、この二変数間には共和分が存在しない事が判定される。

《実質GDPとM3との共和分検定結果》

《回帰統計》
重相関R:0.248968
重決定R2:0.061985
補正R2:-0.02892
標準誤差:57255.74
観測数:12

《分散分析表》
〈回帰〉
自由度:1
変動:2.38E+09
分散:2.38E+09
観測された分散比:0.72689
有意F:0.413847

〈残差〉
自由度:11
変動:3.61E+10
分散:3.28E+09

〈合計〉
自由度:12
変動:3.48E+10

〈X値〉
係数:-0.06543
標準誤差:0.076745
t:-0.85258
P-値:0.412072
下限95%:-0.23434
上限95%:0.103483

求めた推定式は、t値が2を超えておらず、P-値も0.05以下ではなく、有意Fも低い値ではない為、回帰式として成立しているとは言えない。
共和分が存在すると言う帰無仮説は棄却され、この検定結果から、この二変数間には共和分が存在しない事が判定される。

《実質GDPと対外資産との共和分検定結果》

《回帰統計》
重相関R:0.318144
重決定R2:0.101215
補正R2:0.010306
標準誤差:85435.93
観測数:12

《分散分析表》
〈回帰〉
自由度:1
変動:9.04E+09
分散:9.04E+09
観測された分散比:1.238749
有意F:0.291751

〈残差〉
自由度:11
変動:8.03E+10
分散:7.3E+0.9

〈合計〉
自由度:12
変動:8.93E+10

〈X値〉
係数:-0.13512
標準誤差:0.121401
t:-1.11299
P-値:0.289443
下限95%:-0.40232
上限95%:-0.132084

求めた推定式は、t値が2を超えておらず、P-値も0.05以下ではなく、有意Fも低い値ではない為、回帰式として成立しているとは言えない。
共和分が存在すると言う帰無仮説は棄却され、この検定結果から、この二変数間には共和分が存在しない事が判定される。

《M2と対外資産との共和分検定結果》

《回帰統計》
重相関R:0.468822
重決定R2:0.219794
補正R2:0.128885
標準誤差:246778.8
観測数:12

《分散分析表》
〈回帰〉
自由度:1
変動:1.89E+11
分散:1.89E+11
観測された分散比:3.098845
有意F:0.108841

〈残差〉
自由度:11
変動:6.7E+11
分散:6.09E+10

〈合計〉
自由度:12
変動:8.59E+11

〈X値〉
係数:-0.43402
標準誤差:0.246552
t:-1.76035
P-値:0.106087
下限95%:-0.97667
上限95%:0.108638

求めた推定式は、t値が2を超えておらず、P-値も0.05以下ではなく、有意Fも低い値ではない為、回帰式として成立しているとは言えない。
共和分が存在すると言う帰無仮説は棄却され、この検定結果から、この二変数間には共和分が存在しない事が判定される。

《M3と対外資産との共和分検定結果》

《回帰統計》
重相関R:0.521475
重決定R2:0.271937
補正R2:0.181028
標準誤差:284230.3
観測数:12

《分散分析表》
〈回帰〉
自由度:1
変動:3.22E+11
分散:3.32E+11
観測された分散比:4.108576
有意F:0.07016

〈残差〉
自由度:11
変動:8.89E+11
分散:8.08E+10

〈合計〉
自由度:12
変動:1.22E+12

〈X値〉
係数:-0.53532
標準誤差:0.264101
t:-2.02696
P-値:0.067603
下限95%:-1.11661
上限95%:0.04596

求めた推定式は、t値が2は超えているものの、P-値も0.05以下ではなく、有意Fも低い値ではない為、回帰式として成立しているとは言えない(しかし、非常にP-値もF値も低い値ではある)。
総合的には共和分が存在すると言う帰無仮説は棄却されるべきであるが、t値のみで判断する場合、一応棄却不可能と言う判断となり、この二変数間には共和分が存在する事が判定される(今回の場合、総合的に判断した場合でも、棄却不可能として扱った方が良いだろう)。


補論用:情報量規準の出し方

2013-09-12 17:15:00 | SWF論集用小ネタ
これ解説するだけでなんかムダに体力消耗しますね 今の子はこれをやってから統計取ってるんだろうか・・・。

【実証ターム02.補論04:情報量規準の算出方法】

まず、SBICを知る前に、そのベースとなったAIC(赤池情報量規準)を知る必要がある。

どちらにせよ、「モデルの複雑さと、データとの適合度とのバランスを取る」ために使用される、 回帰モデルが多くの項を含みすぎる事に対しての「ペナルティ」である。
例えば、ある測定データを統計的に説明するモデルを作成する事を考える。
この場合、パラメータの数や次数を増やせば増やすほど、その測定データとの適合度を高める事が出来る。
しかし、増やせば増やすだけ、ノイズなどの偶発的な変動にも無理にあわせてしまうため、同種のデータには合わなくなる。
この問題を避けるには、パラメータ数を抑える必要があるが、実際にどの数に抑えるかが難しい。
そこで、このAICやBIC、SBICは、この問題に一つの解を与える。
具体的には、この解の最小のパラメータで構築されたモデルを選択すれば、多くの場合は、良いモデルが選択出来る(しかし、決定的な水準ではなく、あくまでも目安である事は留意しておきたい)。

AICは、以下の式で表される。

AIC=-2lnL+2k・・・1

注)ln:対数(エクセルだとLN関数)
L:最大尤度(「もっともらしさ」を表す関数)
k:自由パラメータの数(独立変数)

BICは、AICを拡張して、

BIC=-2lnL+klnN・・・2
注)N:観測数

そして、SBICは、BICを拡張して、

SBIC=Nln(RSS/N)+kln(N)・・・3
注)RSS:残差の2乗和(SUMSQ)

となる。

1をエクセルで計算しやすくする為に書き換えると、

AIC=観測数(LN関数((2PI関数)×DEVSQの値/観測数)+1)+2(説明変数の数+2)・・・4

注)LN関数:指定した引数に対しての対数を返す関数。
PI関数:円周率の近似値を返す関数。
DEVSQ関数:指定されたデータ範囲の平均に於ける偏差の平方和を返す関数。残差を全て指定すればよい。
説明変数の数:対外資産とM2の2変数システムならば、説明変数は1であるし、対外資産とM2、預金金利と実質GDPを加えるならば、説明変数は3になる。

これを入力すれば、AICの値が出力される。

4式をBICにあてはめ、

BIC=観測数(LN関数((2PI関数)×DEVSQの値/観測数)+1)+(説明変数の数+2)(LN関数(観測数))・・・5

5式をSBICにあてはめ、

SBIC=観測数(LN関数(SUMSQ関数/観測数))+(説明変数の数+2)(LN関数(観測数))・・・6

このSBICの値を、ラグ0の時のSBICの値からラグ6(中にはラグ8まで出す人間もいるが、だいたいラグ6までが一般的であると思われる)の時のSBICの値を算出して、一番小さい値を出すわけだが、今回はラグ1までしか求めていない為、ラグ0とラグ1を比較した。
その結果、ラグ1が適切だと判断した(ちなみに、高木も全てSBICの結果をラグ1としている。高木がラグを幾つまで取ったかは不明ではあるが)。

参考
「統計WEB | 統計Tips | Excel による赤池の情報量基準(AIC)の計算方法」
http://software.ssri.co.jp/statweb2/tips/tips_10.html




(修正版)補論:ダービン・ワトソン比の出し方

2013-09-12 03:00:00 | SWF論集用小ネタ
うっかり脚注つけるの忘れてました。

【実証ターム02.補論03:ダービン・ワトソン比の算出方法】

ダービン・ワトソン比(ダービンのh統計量)とは、「攪乱項の独立性」(各母集団からの標本抽出(攪乱項の出現)が独立である)が成り立っているかどうか、と言う事を検定するものである。

この「攪乱項の独立性」と言うものは、時系列データを扱う場合に成立しなくなる事がある。
この状態で最もよく発生してしまう事は、攪乱項の系列相関(注1)である。

ダービン・ワトソン比では、特に前期と今期に、このような傾向(一階の自己相関)が見られるかどうかを検定する。
一般に、「一階の自己相関がない時、攪乱項に自己相関がない」、即ち、攪乱項は独立であると判断される。

一階の自己相関があるとき,今期の攪乱項(F_t)(攪乱項の文字は、Flusterから取っている)と、前期の攪乱項(F_t-1)との間に、

F_t=β(F_t-1)+ηF_t・・・01

が成立する。

ダービン・ワトソン比として呼称する場合、説明変数の中にラグ付き被説明変数(被説明変数をδ_tとしたとき、ラグ付き被説明変数は(δ_t-1)となる)が含まれない事が条件となる。
含まれる場合、ダービンのh統計量という呼称となる。

ダービン・ワトソン比Dは

D=[Σ(n,t=2){e_t-(e_t-1)}]^2 /Σ(n,j=1)(e_t)^2・・・02

で算出される。

ダービンのh統計量hは、

h=(1-0.5D){n/(1-nV)} ^0.5

注)Vは(δ_t-1)の係数の分散の推定量(標準誤差の2乗)。

で算出される。

ダービン・ワトソン比Dの判定は,データ数nと説明変数の個数kを与えて、読みとられる2つの数値DμとDρを用いた場合、以下の事が判明する。

①D<Dμ:正の自己相関がある。

②Dρ<D<4-Dρ:自己相関がないという仮説は棄却されない(①か③のどちらかという事はわからないが)。

③4-Dρ<D:負の自己相関がある。

④Dμ<D<Dρ:結論を出す事自体が不可能。

⑤4-Dρ<D<4-Dμ :結論を出す事自体が不可能。

ダービンのh統計量の場合、近似的に標準正規分布N(0, 1)に従う為、仮に有意水準を10%とした場合、

①h<-1.645:負の自己相関がある。

②-1.645<h<1.645:自己相関がないという仮説は棄却されない(①か③かのどちらかまではわからないが)。

③1.645<h:正の自己相関がある。

ちなみに、(1-nV)が≦0の場合、計算が不可能になってしまう為、この場合は、e_tを(e_t-1)と、元の回帰モデルに含まれる説明変数とで回帰して、(e_t-1)との係数の有意性(t検定)で判定する事になる。

さて、ここからは実務的な話になる。
共和分検定の時に使った残差の差分系列を2乗する。
そして、残差そのものも2乗する。
ここで、残差の差分系列の2乗の合計を残差の2乗の合計で割ると、ダービン・ワトソン比が算出される。
しかしエクセルの場合ならば、SUMSQと SUMXMY2(XマイナスYの2乗和)という関数がある。

注)SUMSQ:指定した範囲内のデータの2乗の和を返す。
SUMXMY2:指定した2つの範囲の対応するデータの差の2乗の和を返す。

DW比の分子を求める事にSUMXMY2関数を用いて、分母を求める事にSUMSQ関数を用いればよい。

即ち、適当なセルに、
=SUMXMY2(残差の観測値2:残差の観測値12,残差の観測値1:残差の観測値11)/SUMSQ(残差の観測値1:残差の観測値12)

という数式を入力すればよい(分かりにくければ、分割してやればよいだけの話である)。

注1:一度プラスの値になると、しばらくプラスの値が続き、また、一度マイナスの値になると、しばらくマイナスの値が続く傾向が見られる事。
この傾向に騙されてしまうと、心理学に云う「ギャンブラーの誤謬」に陥る。
たとえば、コイントスで10回表が出たとする。
11回目はどちらが出るだろうか。
正解は、どちらも出る確率は半々である。
本タームで使用している時系列変数で使用されているデータの場合、そうそう揺れ動いては社会としても困るのであるが、実際の社会のデータでない、プラスやマイナスに揺れ動いても不思議ではないデータの場合、その誤謬に陥る可能性はある。


参考
神山眞一「3. MS-Excelによる回帰分析」
http://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/~kamiyama/siryou/regress/EXCELreg.html

豊田利久、大谷一博、小川一夫、長谷川光、谷崎久志『基本統計学 第3版』(東洋経済新報社、2010.09)
http://www.toyokeizai.net/shop/books/download/kihontoukeigaku3/data/sec11.7.pdf