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資料室B3F

https://yaplog.jp/akasyuri/
の移籍版。

『シラフェと学ぶラグランジュ未定乗数法その3 リカードの等価定理と対数微分』

2013-12-14 01:04:00 | マスターと学ぶ経済学のいろは
『シラフェと学ぶラグランジュ未定乗数法その3 リカードの等価定理と対数微分』

メローネ:logなんざ・・・logなんざぁぁぁ!
シラフェ:は?いきなりなによ?
メローネ:そのいきなり突き放すスタンスもいい加減何とかならない?そう、logは嫌がらせとしか思えない訳よ。
シラフェ:そう?十分便利じゃない。
メローネ:その証拠は?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

シラフェ:さて、以前も使った式で比較していきましょうか。 

(第1期/第2期)
所得:y/0
貯蓄:S(=y-C_1)/-
消費:C_1/C_2(貯蓄分で利子率rの利子が付く為、(1+r)Sが初期支出に充当)

max U=(C_1^0.6)(C_2^0.4)・・・01

s.t. C_2=(y-C_1)(1+r)・・・02

ラグランジュ式Lは?

メローネ:02式を変形して

(y-C_1)(1+r)-C_2=0・・・03

01、03式から、

L=(C_1^0.6)(C_2^0.4)+λ{(y-C_1)(1+r)-C_2}=0・・・04

シラフェ:そうね、偏微分して、

∂L/∂C_1=0・・・05

∂L/∂C_2=0・・・06

05式を変形

∂L/∂C_1=0.6(C_1^-0.4)(C_2^0.4)+λ(1+r)=0・・・07

06式を変形

∂L/∂C_2=0.4(C_1^0.6)(C_2^-0.6)+λ=0・・・08

08式を変形

0.4(C_1^0.6)(C_2^-0.6)=-λ・・・09

09式を変形

-λ(1+r)=0.6(C_1^-0.4)(C_0.4)・・・10

09式を10式に代入

0.6(C_1^-0.4)[C_2^{0.4-(-0.6)}]=(1+r)×2/3[C_1^{0.6-(-0.4)}](C_2^-0.4) ・・・11

11式を変形

C_2=(1+r)×(2/3)C_1・・・12

12式を変形

C_2=(1+r)(y-C_1)・・・13

13式を変形

(1+r)×(2/3)C_1=(1+r)(y-C_1)・・・14

14式を変形

(2/3)C_1=y-C_1・・・15

15式を変形

y=(5/3)C_1・・・16

16式を変形

C_1=(3/5)y・・・17

17式を13式に代入

C_2=(1+r)×2/3×(3/5)y・・・18

18式を変形

=(1+r)×(2/5)y・・・19(了)

メローネ:んで?logはいったいどこに出てくるのよ?
シラフェ:まあ、ちょっと待て。まずlogの微分のポイントを掴んでから。

(logx)’=1/x・・・20

f(y(x))’=f’(y)・g’(x)・・・21

メローネ:21式は積の公式じゃない。
シラフェ:そうだけど、まあ必要になるから紹介しただけよ・・・。さて、ラグランジュ式Lのlog版にいきますか。

効用関数Uを対数化して、

logU=log(C_1^0.6)(C_2^0.4)・・・22

22式を変形

=log(C_1^0.6)+log(C_2^0.4)・・・23

23式を変形

=0.6logC_1+0.4logC_2・・・24

24をラグランジュ式Lに代入して

L=0.6logC_1+0.4logC_2+λ{(1+r)(y-C_1)-C_2}=0・・・24

そんで、偏微分すると?
メローネ:そりゃ・・・

∂L/∂C_1=0.6/C_1+λ(1+r)=0・・・25

∂L/∂C_2=0.4/C_2+λ=0・・・26

あれ、なんか簡単じゃない?

シラフェ:だから言ってるんじゃん・・・あんた食わず嫌い王決定戦でいいとこ行くわよ。
メローネ:は?優勝とかじゃないんだ・・・。

シラフェ:26式を変形して、

0.4/C_2=-λ・・・27

25式を変形

0.6/C_1=-λ(1+r)・・・28

28式に27式を代入

0.6/C_1=0.4/C_2(1+r)・・・29

29式の両辺に(C_1)(C_2)を掛け、

0.6C_2=0.4(C_1)(1+r)・・・30

30式を変形

C_2=(1+r)(2/3)C_1・・・31

31式を変形

C_1=(C_2)/(1+r)×(3/2)・・・32(了)

メローネ:あっ、ほんとだ。logの方が簡単じゃん!
シラフェ:やれやれ、やっとわかったか・・・。
メローネ:そんでですね女将、まだやることが残っているんですけども。
シラフェ:一体何よ?
メローネ:リカードの・・・
シラフェ:リカードの等価定理?ははあ、はいはい・・・。

(第1期/第2期)
所得:y/0
政府支出:T/0
消費:C_1/C_2(貯蓄分で利子率rの利子が付く為、(1+r)を乗じたSが初期支出に充当)

シラフェ:さて、Tの財源を埋める為に、いくつかプランを考えましょうか。

プランその1:税金を取る
税金:T/0
貯蓄:y-C_1-T/0

この場合のC_2=(1+r)(y-C_1-T)・・・33

プランその2:国債発行

国債B=T
貯蓄:y-C_1-B/0
税金:0/(1+r)B

この場合のC_2=(1+r)T+(1+r)(y-C_1-T)-B(1+r)T・・・34

プラン3:税金を半分(T/2)、国債を半分(T/2)で賄う

貯蓄:y-C_1-T/2-T/2/0
税金:0/(1+r)T/2

この場合のC_2=T/2(1+r)+(1+r)(y-C_1-T/2-T/2)-(1+r)T/2・・・35

メローネ:あれ、33式も34式も35式も、中身は一緒じゃない。
シラフェ:そうだよ。今取ろうが将来取ろうが全く影響を及ぼさない、これがリカードの等価定理だから。

効用関数Uが

U=log(C_1^0.5)(C_2^0.5)・・・36

36式を変形

=0.5logC_1+0.5logC_2・・・37

37式と33式をラグランジュ式Lに代入して

L=0.5logC_1+0.5logC_2+λ{(1+r)(y-C_1)-C_2}=0・・・38

はい、偏微分して。
メローネ:はいはい・・・

∂L/∂C_1=0.5/C_1+λ(1+r)=0・・・38

∂L/∂C_2=0.5/C_2+λ=0・・・39

39式を変形

-λ=0.5/C_2・・・40

38式を変形

-λ(1+r)=0.5/C_1・・・41

40式を41式に代入

(0.5/C_2)(1+r)=0.5/C_1・・・42

42式の両辺に(C_1)(C_2)を掛け、

0.5C_1(1+r)=0.5C_2・・・43

43式を変形

C_1(1+r)=C_2・・・44

44式を変形

C_1=C_2/(1+r)・・・45

44式に33式を代入

C_1(1+r)=(1+r)(y-C_1-T)・・・46

46式を変形

C_1=y-C_1-T・・・47

47式を変形

2C_1=y-T・・・48

48式を変形

C_1=(y-T)/2・・・49

49式を45式に代入

(y-T)/2=C_2/(1+r)・・・50

(ちなみに)50式を変形すると

C_2=(1+r)(y-T)/2・・・51(了)

51式と33式の中身は同じなので、計算すると驚きの変形ができるね。

シラフェ:そうそう・・・って、他人のセリフまで奪っていくか、あんたは!




シラフェと学ぶレオンチェフ逆行列

2013-12-03 16:19:00 | マスターと学ぶ経済学のいろは
『シラフェと学ぶレオンチェフ逆行列』

メローネ:なになに・・・ってねぇの!?
シラフェ:は?何がないの?
メローネ:ヴェキペディア(注)にレオンチェフ逆行列が載ってなかった・・・店長に産業連関分析についてやっとけって言われてるのに・・・。

注)Relativeの世界でのインターネット大百科。

シラフェ:図書館に行くという発想はないわけね、なるほど。まあ、そう難しいものでもないし、やっちゃいましょうか。
メローネ:だって学校通ってないし、そもそも市のはよくわかんないし・・・。

シラフェ:産業連関表っつうのは、1年間の取引を産業部門毎に纏めるワケなんだけど・・・まず縦の列に第1から第n(基本は17)の産業を割り振っていって・・・
メローネ:はいはい・・・
シラフェ:横列に、どの産業にどれだけ買われたか(中間需要)・・・例えば第1産業で100なら、第1産業のセル(ブロック)に100と書いて・・・
メローネ:はいはい・・・
シラフェ:そんで、書き終わったら、一番右のブロックを最終需要(Y=C+I+G、GDP=消費+投資+政府支出)の数字を書いて・・・
メローネ:中間需要の総和とはまた別物?
シラフェ:中間需要の総和と、最終需要を足したものは最終需要の隣(合計総産出額)ね。合計総産出額は中間需要セルの下にも同じ数字を書くわ。
メローネ:あれ?最終需要-中間需要分の差が出ちゃうよ。
シラフェ:差額は付加価値(賃金とか利潤とか)ね。一回、セルにしてみよう。

(第一産業と第一中間需要のセルにA_11と記入)
(第一産業と第二中間需要のセルにA_21と記入)
(第二産業と第一中間需要のセルにA_12と記入)
(第二産業と第二中間需要のセルにA_22と記入)

(第一産業の最終需要セルにF_1と記入)
(第一産業の総算出セルにX_1と記入)
(第二産業の最終需要セルにF_2と記入)
(第二産業の最終需要セルにX_2と記入)

(第一産業の付加価値セルにV_1と記入)
(第一産業の付加価値セルの下のセルにX_1と記入)
(第二産業の付加価値セルにV_2と記入)
(第二産業の付加価値セルの下のセルにX_2と記入)

メローネ:つまり、

A_11+A_21+F_1≡X_1

A_12+A_22+F_2≡X_2

V_1≡X_1-(A_11+A_21)

V_2≡X_2-(A_12+A_22)が言えるワケね。

シラフェ:そうゆうこと。もっと難しくいえば、「第一産業は、X_1の生産を行う為にA_11の第一産業品、A_12の第二産業品を投入」して、「第二産業は、X_2の生産を行う為にA_21の第一産業品、A_22の第二産業品を投入」したことになるわ。

メローネ:何言ってるかサッパリだけど、要は技術関係の話でしょ。
シラフェ:そんで、産出額と投入額は比例しますよ、と。まあ、「見做す」と言った方がいいか。

メローネ:AをそれぞれXに投入するワケだから、Aを適用するXで割って・・・

(a_11≡A_11/X_1 a_21≡A_21/X_2
 a_12≡A_12/X_1 a_22≡A_22/X_2)

注)行列の表記がブログシートだと難しいので、こういう表記にしてます。

・・・ってな感じ(投入係数行列A)?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(ベクトルと行列計算のルールの復習)

マスター(ヴィクティ):行列計算を復習しましょう。たとえば・・・

(a b ×(x
 c d)  y)

で計算してみましょう。左側の行列は左から右へ、右側の行列は上から下へ読んでいきます。ですから・・・

(ax+by
 cx+dy)

となります。

(a b c ×(x
 c d d)  y
       z)
の場合、

(ax+by+cz
 dx+ey+fz)

になります。メローネが立てた投入係数行列Aで試しに計算してみましょう。

(a_11 a_21 × (X_1 +(F_1 =(X_1
 a_12 a_22)   X_2)  F_2)  X_2)

式を変形し、

(a_11X_1+a_21X_2)+(F_1 =(X_1
 a_12X_1+a_22X_2)  F_2)  X_2)

となります。ここで、

A=(a_11 a_21
   a_12 a_22)

X_vec=(x_1
   x_2)

F_vec=(F_1
   F_2)

とします(ベクトルは、太字で書きますが、わかりやすいようにvecと付記します)。上記式は、

AX_vec+F_vec=X_vecとなります。

わかりやすいように、単位行列(正方行列のうち対角成分(主対角線上の成分:行番号と列番号が同じもの)が1、かつ他の成分が0となる行列)を設定しましょう。

I=(1 0
   0 1)

IA=AI=A
IX_vec=X_vec

と言うことがわかりますから、

AX_vec+F_vec=IX_vec
F_vec=IX_vec-AX_vec
F_vec=(I-A)X_vec

になります。そして、AB=BA=Iとなるような行列BをAの逆行列A^(-1)とするワケですね。たとえば、

(a b × (x y = (1 0
 c d)   z w)   0 1)

は、

(a b  =    (x y 
 c d)^(-1)   z w)
=1/(ad-bc)×(d -b
         -c a)

になります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

シラフェ:とゆうわけで、

F_vec=(I-A)X_vec

だから、

{(I-A)^(-1)}F_vec=X_vec

となって、産業連関の基本式になるわけね。

そんで、本題の(I-A)^(-1)がレオンチェフ逆行列ね。

メローネ:んで、何を意味するの?

シラフェ:最終需要F_vecが、政府支出Gとかで政策的にいじる余地がある、ってことかな。要するに、Aが分かってれば、全体で{(I-A)^(-1)}F_vecだけの生産が行われるってことね。

メローネ:そうか、ヴェキで調べるよりか、よっぽど人に聞いた方が早かったわ・・・。
シラフェ:・・・その前に、まず図書館に行きなさい・・・。




シラフェと学ぶラグランジュ乗数法 その2

2013-12-02 01:26:00 | マスターと学ぶ経済学のいろは
『シラフェと学ぶラグランジュ乗数法 その2』

メローネ:ラグランジュ乗数法を以前やったけど、なんであんなのでいいの?

シラフェ:話せば長くなるけど、黙って聞いてて。

☆f(x, y, z)に、(x_0, y_0, z_0)で極値があるとします。そして、g(x, y, z)=0とします。

シラフェ:制約条件から、
g(x_0, y_0, z_0)=0
と、
g(x_0+dx, y_0+dy, z_0+dz)=0
が成立する事がわかるわね。つまり、
g(x_0+dx, y_0+dy, z_0+dz)-g(x_0, y_0, z_0)=0
と言うことになるわ。

メローネ:はあ、それで?

シラフェ:極値点(x_0, y_0, z_0)の近傍では、

dg=∂g/∂x・dx+∂g/∂y・dy+∂g/∂z・dz=0

が成立するわね。変形して、

dz=(∂g/∂x・dx+∂g/∂y・dy)/(∂g/∂z)

になるわ。極値点(x_0, y_0, z_0)をf式に流用して、

df=∂f/∂x・dx+∂f/∂y・dy+∂f/∂z・dz=0

になるわね。dz=(∂g/∂x・dx+∂g/∂y・dy)/(∂g/∂z)を代入して、

df=∂f/∂x・dx+∂f/∂y・dy+∂f/∂z・(∂g/∂x・dx+∂g/∂y・dy)/(∂g/∂z)=0

変形して、

=[(∂f/∂x)-(∂f/∂z){(∂g/∂x)/(∂g/∂z)}]dx+[(∂f/∂y)-(∂f/∂z){(∂g/∂y)/(∂g/∂z)}]dy=0

(∂f/∂z)/(∂g/∂z)をλとして、

={(∂f/∂x)-λ(∂g/∂x)}dx+{(∂f/∂y)-λ(∂g/∂y)}dy=0

これが成立するには?

メローネ:んー・・・

{(∂f/∂x)-λ(∂g/∂x)}=0
と、
{(∂f/∂y)-λ(∂g/∂y)}=0
と、
{(∂f/∂z)-λ(∂g/∂z)}=0(注)
が必要(真である)なんでしょ?

注)(∂f/∂z)/(∂g/∂z)=λ
⇔(∂f/∂z)=λ(∂g/∂z)
⇔{(∂f/∂z)-λ(∂g/∂z)}=0

シラフェ:そうよ。たとえば、
maxU(C_1, C_2)
s.t.g(C_1, C_2)=0
の場合はどうなるかしら。

メローネ:まずラグランジュ関数Lは・・・

L=U(C_1, C_2)-λ{g(C_1, C_2)}=0

として、変数を偏微分すると、

∂L/∂C_1=(∂U/C_2)-λ(∂g/C_1)=0

∂L/∂C_2=(∂U/C_1)-λ(∂g/C_2)=0

になるから、偏微分条件を解C_1、C_2が満たしているわけでしょ。
あとは、λで偏微分して、

∂L/∂λ=g(C_1, C_2)=0

を出せば、求める事が出来るね。

シラフェ:上出来よ、お疲れさま!




補講 指数対数の微分

2013-12-02 00:42:00 | マスターと学ぶ経済学のいろは
『補講 マスターと学ぶ指数関数の微分』

マスター:まず、指数関数を立てましょう。

f(x)=a^x(a>0)

微分の定義は、

f’(x)=lim(h→0){f(x+h)-f(x)}/h

ですね。定義を変形しましょう。

=lim(h→0){a^(x+h)-a^x}/h

=lim(h→0){a^x(a^h-1)}/h

=a^x・lim(h→0){a^(h-1)}/h

=a^x・lim(h→0){a^(0+h)-a^0}/h

lim(h→0){a^(0+h)-a^0}/hの部分は、y=a^xのx=0に於ける接線の傾きになります。
そこで、接線の傾きが1になるようなaの値をeで表してみましょう。

f(x)=e^x

f’(x)=lim(h→0){e^(x+h)-e^x}/h

=e^x・lim(h→0){e^(h-1)}/h

=e^x・lim(h→0){e^(0+h)-e^0}/h

=e^x=1

故に、(e^x)’=e^xとなります。

f(x)=a^xの場合、a=e・log_e・aになりますから(本当は、指数はlogではなく、lnを使いたいんですけども。logは自然対数(基本的には底が10)で、lnは底がe(ネイピア数)となります)

f(x)=(e・log_a)^x

f(x)=e^x・log_a

ここで、合成関数の微分公式を使いましょう。

(a^x)’= (e^x・log_a)’
=e^x・log_a・log_a
=a^x・log_a

y=e^xの場合、yはeのx乗ですから、x=logyとなります(逆関数)。逆関数を微分しましょう。y=f(x)の微分dy/dxに対し、x=f^(-1)(y)の微分dx/dyは丁度逆数になります。

y=e^x
y’=dy/dx=e^x

y=logx
y’=1/e^y=1/x

ちなみに、y=log_a・xの場合、
y=logx/loga=1/loga・logx
となりますから、
y’=1/loga・1/x=1/xloga
となります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Y=AK^0.3・L^0.7の場合を考えてみましょう。

ネイピア対数(ln)を取り、

lnY=lnAK^0.3・L^0.7

=lnA+lnK^0.3+lnL^0.7

=lnA+0.3lnK+0.7lnL

すべての変数が時間に依存すると考え、

Y=Y(t)、A=A(t)、K=K(t)、L=L(t)

とします。両辺をtで微分します。

1/Y・dY/dt=1/A・dA/dt+0.3/K・dK/dt+0.7/L・dL/dt

(dY/dt)/Y=(dA/dt)/A+(0.3dK/dt)/K+(0.7dL/dt)/L

即ち、Yの成長率=Aの成長率+0.3×Kの成長率+0.7×Lの成長率となります。




ソロー・モデル解説

2013-12-01 22:29:00 | マスターと学ぶ経済学のいろは
『マスターと学ぶ経済学(ソロー・モデル編)』

〈新古典派成長モデル(ソロー・モデル)〉

☆完全雇用&完全稼働の条件で、1次同次の生産関数を考えます。k=K/Lはどこに落ち着きますか?
注)K:資本ストック、L:労働人口

メローネ:・・・1次同次ってなに?
シラフェ:・・・そこからなの・・・。

マスター:一次同次は、指数の部分を足すと1になるような形ね。たとえば・・・X=K^δ・L^(1-δ)は、Kの指数とLの指数を足すと1になるでしょ?

シラフェ:まず、生産関数をY=F(K,L)として、一次同次条件を付加して、以下の式を立てよう。

Y=定数(技術水準)・K^δ・L^(1-δ)

マスター:K、Lと時間と共に変わっていくものなので、時間(t)に依存する式として書き換えられます。

K=K(t)
L=L(t)

メローネ:式を書き換えると、

k(t)=K(t)/L(t)

になるけど、どうするの?

マスター:・・・そうか、メローネは微分の発想がないのね・・・。時間が動いても、tで微分すればkが変わらないので、収束させると

dk/dt=0

となるはずだよ。

シラフェ:tで微分すると、

dk/dt=0
=d(K/L)/dt
=(dk/dt・L-K・dL/dt)/L^2
=dk/dt・1/L-K/L・(dL/dt)/L

注)(dL/dt)/L=n(労働人口成長率)

になるわね。

メローネ:これで終わり?
マスター:・・・あんたは気が早すぎるのよ・・・。次は有効需要の原理を使います。

Y=C+I
C=cY
(1-c)Y=I

注)1-c:限界消費性向

シラフェ:有効需要の原理と生産関数を繋げると、

I=ΔK=dK/dt
or I-減価償却(η(償却率)K)=ΔK=dK/dt

となるわね。

マスター:式を変形しましょう。

dK/dt・1/L-kn=0

I/L-nk=0 or (I-ηK)/L-nk=0

sY/L-nk=0 or (sY-ηK)/L-nk=0

or sY/L-ηk-nk=0

に行き着きます。ここで、生産関数が一次同次という条件に戻ると、F(k,1)となるとき、どういう式になる?

メローネ:そりゃLで割るんだから・・・

Y/L=F(K/L,L/L)でしょ。

シラフェ:ちなみに、

Y≡Y/L, f(k)≡f(k,1)とすると、Y/L=y=f(k)となるよ。

マスター:収束先の条件式は、

sf(k)=nk or sf(k)=(η+n)kになります。注意しなければならないのは、収穫逓減ですね。収穫逓減って、なーんだ?

メローネ:なにその若作り?
マスター:・・・ちょっと黙ってて・・・
メローネ:ちょ、やめ・・・

シラフェ:KやLだけ増えても、Yが同様の割合で増えない事よ。
一応、本来は1次同次だから増えてもいいけど、この想定を入れると、一次関数じゃなくて、なだらかなカーブを描くようになるのね。
だから、どちらにしても、nkか(η+n)kの一次関数とsf(k)のなだらかなカーブが重なるところが、求めるべきkと言うことになるわね。

マスター:・・・おつかれさま。
メローネ:・・・うぅ。
シラフェ:お、おつかれ・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・

〈練習問題編〉

(1)集計的生産関数がY=4K^0.5・L^0.5、労働人口成長率が2%、消費関数がC=0.8Yで、Y=C+Iとなる様に決まり、完全雇用かつI=dk/dtと見做せる場合、k≡K/L(k≠0)はどの様な値に収束しますか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Y=C+I=0.8Y+I
0.2Y=I(dk/dt)

dk/dt=d(K/L)/dt
=(dK/dt・L-K・dL/dt)/L^2
=I/L-K/L・(dL/dt)/L
=0.2Y/L-0.02k

Y/L=(4K^0.5・L^0.5)/L
=4K^0.5/L^0.5
=4k^0.5

dk/dt=0の条件

0.2×4k^0.5-0.02k=0
0.8k^0.5=0.02k

両辺を0.02kで割り、

40=k^0.5

K=1,600

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(2)Y=2K^0.6・L^0.4、労働人口成長率が5%、C=0.6Y、償却率3%の時、I-償却分=dK/dtとして、kの収束値はいくらになりますか?初期値として、K>0の仮定を置くこと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Y=C+I=0.6Y+I
0.4Y=I

dk/dt=(dK/dt)/L-k・(dL/dt)/L

=0.6(I-0.03K)/L-0.05k

Y/L=(2K^0.6・L^0.4)/L=2k^0.6
=0.6(0.4Y-0.03K)/L-0.05k

0.6×0.4×2k^0.6-0.018k-0.05k=0

0.48k^0.6=0.068k

480/68=k^(2/5)

k=(120/17)^(5/2)