土佐レッドアイ

アカメ釣りのパイオニアクラブ

小さいシシやけど

2009-03-06 07:52:46 | 狩猟とナイフ
 
 画像:2009年3月5日、コナラの実を探しにきてワナにかかった23キロの♂

 ミカンの剪定作業をしていると、携帯電話がなりました。猟の相棒からでした。「ちんまいシシがかかっちゅう、20キロばあじゃけんど飼うかよ、今から奥のワナを見てくるきに1時間ばあして来てくれ」といいます。
 生かして連れ帰る準備をして行きました。待ち合わせ場所につくとまだ相棒は来ていません。見回りに手間取っているようです。あとで聞くと「イノシシが何カ所も出没してワナが空撃ちしちょった」そうです。空撃ちしているとワナを仕掛け直さなくてはならないため時間がかかるのです。
 小さいシシなら一人でも何とかなるだろうと相棒を待たずにイノシシがかかっているというワナを目指しました。
 到着してワナに近づくとなるほど20キロ余りの子供のイノシシです。しかし、よく見るとワナのワイヤーがかかった左の前足が折れて骨が皮を突き破りとび出ています。これでは飼育を始めても回復せずに死んでしまう可能性が高いように思いました。時々三本足のイノシシがワナにかかりますが、こうしたイノシシはワナにかかり足を引きちぎって逃げたものが回復した場合が多いようです。これまで10匹ほど足が傷ついたイノシシを檻に入れて飼育を試みてみましたが約40%は回復せずに死んでしまっています。
 しゃーない、仕留めよう。
 

 
 家に帰ってハカリに乗せてみると23キロでした。

イノシシの解体

2009-03-04 08:05:00 | 狩猟とナイフ

 画像:2009年2月28日、仕留めたイノシシの解体を始めましたところです。毛抜き処理がほぼ終わった所で仕上げに入っています。相棒の左のイノシシの腹のキズはナイフで心臓を一突きし仕留めた傷痕です。右足の赤い擦り傷はこの足首をワナのワイヤーで括っていたため暴れたときに木に激突したり擦り傷ができたりした傷痕です。
 
 山から降ろしてきたイノシシはまず、体毛の処理を行います。その方法は毛剃りをするか、皮を剥ぐか、毛を抜くか、毛を焼き取るかいづれかになります。
 高知県では皮も食べるというのが主流ですので皮を剥ぐという方法はあまりやらないようです。皮は歯ごたえがコリコリ、モチモチとした食感でとても美味しいものです。
 当地では毛剃りが一般的です。方法ですが最初に水で身体や毛についた泥をよく落とします。イノシシはワナにかかると興奮し鼻で土を掘り返しよく大穴を掘っています。近づく人の気配を感じるとこの深く掘った穴の中に隠れていることが多くあります。また、ヌタ場でヌタを打ち泥を身体中にぬたくりまくっています。こうしたことから、体中に泥がこびりついているのが普通です。この泥をよく落とさないで毛剃りをするとナイフの刃もちが悪くなります。私がナイフにこだわったのはこうしたことから刃持ちの良いナイフが欲しかったからです。
 狩猟を始めて数年はこの毛剃りだけでやっていたのですが、ある日、本山町の猟師たちが仕留めたイノシシの処理をする現場に立ち会うことがありました。すでに毛の処理がされいて解体現場だったのですが、その時の一番の驚きがイノシシの身体が、皮膚が真っ白だったことです。これほど肌の白いイノシシを見たことがありませんでした。
 毛剃りだとどれほど念入りにしても毛の色がうっすらとみえます。ヒゲの濃い男性の顔を思い浮かべて下さい。また皮膚の色自体が違います。
 「どうやったらこんなにきれいになるぜよ?」と質問すると「湯をかけて毛を抜かあよ」という答えでした。よく聞くと70度ほどの湯をかけながら抜くと簡単に毛抜きができると言います。あまり熱い湯をかけすぎたり、必要以上に長い時間かけすぎると今度は逆に毛が抜けなくなるそうです。70度ほどの熱湯が長時間使える湯沸かし器が一番いいということでした。
 私が毛抜き処理を始めたのはそれからです。熱湯をかけると毛だけではなく一皮むけるのです。適度に熱湯を使うと掴める範囲の毛が一度に簡単に抜けます。その時一緒に上皮がぺろりと毛について剥けてしまうのです。上皮と書きましたが、垢や汚れの膜のような気もします。毛剃りですとこれが残ります。そのため皮膚の色が違って見えるのです。イノシシの肉を煮始めるとアクがすごく出るのですが、血とともにこの「まく」がアクとなってでるのです。ですので美味しく料理をするためには最初に徹底したあく取りが肝心です。
 私は風呂や台所などに使う灯油が燃料の給湯器の湯を利用しています。本山町でいっしょに見学し、湯を使った毛抜きを初めてやった友人は電気の深夜料金で湯を沸かす湯沸かし器の湯を使ってやったそうですが、その晩は家族から大変怒られたそうです。湯を全部使ってしまったため風呂に入れる湯がなくなっていたそうです。
 毛抜き処理を始めて以来、毛剃りはすっかり止めました。これほど出来の違いを見るともう他の方法でやる気がおこりません。とにかく真っ白できれいに仕上がるのです。
 

もう一匹かかっちゅう

2009-03-03 07:54:23 | 狩猟とナイフ
 
 2月28日、イノシシを1匹仕留めて帰り道、相棒が枝道のほうに仕掛けてあるワナを見ていないので見てくるというので、カブを停めて待ちました。ワナは2カ所に仕掛けてあり道路を走りながら、また、停めたバイクにまたがったままワナを確認できます。彼はすぐに帰ってきましたが、「おい、またかかっちゅうぞ」と言います。
 歩いて数分の所のワナにかかっていました。道路の下に耕作放棄された田圃がありそこをヌタ場として使っています。その下は谷川、対岸から20メートルほど斜面を登った所です。黒い体毛におおわれたイノシシは40キロ前後のようです。
 少し回り込んでイノシシの上に出て、私が鼻括り用のワイヤーを小枝を払った木にセットしイノシシの鼻を括りました。二人でイノシシと引っ張り合いをしながら鼻を括ったワイヤーの端を椎の木に括ろうとしていたら、鼻からすっぽ抜けてしまいました。やり直しです。
 こんどはしっかりかかりましたが、イノシシがバッと頭をふるなり私がつかんでいたワイヤーの端がすっぽぬけてイノシシの方に飛んで行きました。「しもうた、ワイヤーを取られた」。
 暴れ回るイノシシからワイヤーを取りもどすのに二人で苦労しましたが何とか取り返して2点固定ができました。私が後ろ足を掴んでひっくり返し、鳩尾から心臓を突いて仕留めました。

お おもたい 運搬

2009-03-02 07:38:19 | 狩猟とナイフ
  
 画像:2009.2.28 仕留めたシシの『出し』 左側のヒノキの皮が剥がれていますがこれは食害でシカ(ニホンジカ)の仕業です。
 
 2009年2月28日、仕事をしていると相棒から電話がかかりました。きょうは相棒がワナを見回る当番です。獲物がかかっていようといまいとお互いに見回り終了後電話をかけることにしています。山は事故も多いのです。
 山(狩猟)の事故で一番多いのが転落事故です。険しい道なき山をあるきまわります。私が一番多いひやりとすることが斜面を下っていて身体をささえるため頼って握った木が枯れているときです。身体を預けているため斜面をすっ飛ぶことがあります。
 山を越え谷をわたり動き回る見回りは危険がつきもの、ですので帰着の連絡は大切なのです。

 しかし、今日の連絡は無事かえったではなく「イノシシがかかっちゅう」でした。
 「40キロばあはありそう」とのことですが、相棒はいつも見積もりの倍以上の体重のことが多いのでひょっとすると7~80㎏あるのでは?などと疑いつつ駆けつけました。
 イノシシのかかった現場は古い山道を20分以上歩いて上る山の頂上付近です。ゼイゼイいいながら汗をかきつつ到着すると仕留めたイノシシと相棒がいました。やはりどう見ても50キロ以上はありそうなシシです。
 山から道路までの運搬は前足、後ろ足とヒモでくくってそれに竹や木をとおして担いで運搬する、あるいはひきずるというのが主な方法です。
 今回はひきずるという方法をとりました。下りの斜面ですのでこの方法が楽なのです。平らな場所や上り坂では担ぐ方が楽です。
 画像は相棒が引きづりながら運んでいる所ですが、交代しながら運び出しました。
 
 道路まで出して今度は私のスーパーカブの荷台に載せました。しかし、このサイズが限界のようでコンテナはねじ曲がり、運転する私はぐらぐらするのでヒヤヒヤしながらローギアで山を下りました。