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個人情報保護法改正案の原案

2006-01-19 05:00:00 | 情報セキュリティ
 自民党がまとめた個人情報保護法改正案の原案が発表されました。

 現在の個人情報保護法では、情報漏洩を起こした従業員本人を罰する規定はありませんでした。今回それを従業員本人を罰するようにできるよう改正することが原案に盛り込まれています。

 現在は、情報漏洩を起こした企業に対しての罰則という側面が強く、個人が罰せられるとしても企業を代表する人間(社長、役員、幹部社員)に限られていました。

 こうして、従業員本人にまで罰則を科すことにより抑止力を増す効果があると思われますが、これによってますます過剰反応が起こらないか、私は危惧しています。

 このブログでも個人情報保護法の濫用というタイトルで、個人情報保護法に過剰に反応することを避けなければならないと述べてきましたが、従業員本人まで罰せられる可能性が出てくるとなると、情報管理を担当する従業員本人の気持ちとして、より無難な対応、つまりできるだけ外部に情報は出さないようにしようと思う可能性が高くなると思います。

 この原案には、報道機関への情報提供などを過剰に規制しないようにしなければならないという内容も盛り込まれているそうですが、個人への罰則という大きな改正と私は完全に相反する内容だと感じています。

 個人情報保護法の施工後、学校の生徒名簿や緊急連絡網作成にも大きな支障が出ている状況で、より厳しい罰則規定を盛り込むことがどのような結果を招くか、正直なところ不透明な部分が大きいと思います。

 この改正案が実際に国会で通るかどうかが、まず問題ですが、もしこの通り改正されたとすると事態はますます複雑になるなというのが私の正直な感想です。

 個人情報は基本的には守られなければならないものですが、あまりにも情報公開に対して過剰反応をすることも、きゅうくつな社会を作り出すことになります。人間は、一人で生きているわけではなく、望むと望まないにかかわらず社会の中で生活しているわけですから、それを無視するような決まり事は、かえって人間の社会生活を悪い方向に導くことになると思います。

 今後も、個人情報保護法案の改正・運用については、目が離せないと思います。

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