透明人間たちのひとりごと

機械任せの他人任せ

 先日の朝、10時前のことです。 とある施設の入口附近に
女性と言うよりも、年恰好からは御婦人方と表現したほうが
ピッタリとくる奥様たちが大挙して列をなしていたのです。

 看板に目を凝らすと女性だけの フィットネスクラブのよう
で、屯(たむろ)する御婦人たちの格好の井戸端会議の場と
なっている雰囲気に少なからざる 違和感 とちょっとした
嫌悪感 を覚えたのでした。

 誤解を恐れずに言えば、井戸端で食器を洗ったり洗濯を
する合間での会話が定番であった昔の井戸端会議の情景
は、昭和以前の時代のノスタルジーだと割り切ったとしても、
おそらくは専業主婦と思(おぼ)しき一団の主戦場は、最早、
我が家ではなく、エクササイズやフィットネスジム、あるいは
ファミレスやカフェへと大きく様変わりしているようです。

 しかもコア(核)となるべき家事の繁忙時は過ぎたとはいえ
午前10時という一般的には仕事のスタート直後の時間帯に
わざわざ行列を作ってまでオープンを待っている 21世紀
御婦人たちに、一言、物申す 「ちゃんと働けぇexclamation2

 … って、もちろん 「これは冗談ですよ」 ase2

 でも、余りに一変した現代日本の姿に戸惑っていると言う
のが正直な感想なのです

 特に若いお母さんたちの場合には、子供を幼稚園などに
送った後のファミレスやカフェ等が会議の場として定着して
いるようですが、こちらはなんとなく許せる気がするのです。

 若いお母さんだからではありませんよ。 育児の悩みや
相談事もあるでしょうし、適度の息抜きは必要です。

 しかし、ダイエット目的のエクササイズやフィットネスのジム
通いとなると本末転倒 と言うか、家事その他の労働で
動き回るか、つまみ食いや間食などの暴飲暴食を控えれば
済むことで …

 アホ臭く思えるジム通いに 「ムダ金を使うなexclamation2
と大声で叫びたくなるのです。


 かつて人類は、他の動物たちと同様に食を求めて
移動や徘徊を繰り返していました。

 狩猟生活に明け暮れていた古代祖先 たちです。

 やがて、農耕を通して定住するようになっても、額に汗して
糧を得ることに精一杯でした。

 それは、さながら天候に一喜一憂しながらの自然まかせの
環境でのエネルギー消費(働き詰め)の毎日でした。

 そこでは日がな一日、食を得ることに、時間とエネルギーを
費やしていたのです。

 しかるに、産業革命以降、人類は、それまでの人力や牛や
馬などの蓄力、水車や風車など僅(わず)かばかりの水力や
風力の利用に限られていた農業や工業の営みを化石燃料
(石炭・石油)に依存するようになり、さらには、ここ50年の間
には、そこに原子力が追加されるようになりました。

 先進国と称される国々では、況(いわん)や我が国、日本
では多くの国民が食べるための直接的な営み(労働)から
開放されて、その分の余った時間とエネルギーは他の活動
や遊びに回されることとなったのです。

 「働かざる者食うべからず」 の原則は廃れ
働かなくても食べられる」 かのような幻想に弄(もてあそ)
ばれるようになってしまったのです。

 食に限れば、

 田を耕すことはおろか、食材の調達から調理に至るまでの
手間も、そのほとんどを他人任せ(ひとまかせ)や機械任せ
にしています。

 高度に加工されたインスタント食品やレトルト・冷凍食品等
に加えて家庭の食卓にファストフードが我が物顔で登場する
ようになり、食材の姿かたちも調理の方法も知らないままに
出来合いの食品に舌鼓を打っているのです。

 生産や流通の現場でも、同様のことが言えるでしょう。 

 それまでは人の手を介して行われていたひとつひとつの
作業は効率という名のもとに機械化され、バラつきのない
ように均一化されていくのです。

 そのこと自体を否定するものではありませんが、本来的に
担っていた食を得るまでの過程、例えば、田畑を耕し、苗や
種を植え、雑草を刈り取るといった労働を機械を通して石油
等のエネルギーに肩代わりさせているだけのことなのです。

 食を得るための労働から解放された我々は、その労働に
匹敵する分の時間とエネルギーを別の活動で消費せざるを
得なくなったわけですが、自由を謳歌し趣味や娯楽に時間を
割いても、運動(労働)不足は解消されずに摂取カロリーの
過剰に悩まされているのです。

 それが、件(くだん)の御婦人たちの一団ですが、労働不足
は生活習慣病を誘発して医療費の負担をも増大させます。

 先の御婦人たちの涙ぐましい努力に限らず、多くの人々が
ジムに通ったり、ジョギング等の運動に精を出すのは、別の
意味でエネルギーの無駄遣いだとも言えますが …

 こればかりはどうしようもないのでしょうか

 ところで、そんなエネルギーの浪費を誘引するような
話に付随して、現在の日本国を顧(かえり)みれば … 

 東日本大震災の復興は遅々として進まず、政治・経済は、
ともに海の底深くに沈んだまま一向に浮上できずにいます。

 近隣・周辺国との外交も出口の見えないトンネルや袋小路
にはまったままの状態から脱出することさえできません。

 そんななかで、ここに来て 朗報 が二つほどありました。

 ひとつは、昨夜、飛び込んできたばかりのホットな話題で、
2012年のノーベル医学生理学賞が京大教授の山中伸弥氏
に授与されることが決まったとのニュースです。

 受賞の理由は、細胞の初期化の発見と多能性の獲得で、
さまざまな組織の細胞になる能力がある人工多能性幹細胞
IPS細胞 の作製です。

 詳しいことは専門家に譲るとして、日本の医学会の実力と
日本独自の研究成果を示す素晴らしい快挙であり日本人と
して大変に誇らしくもあります。

 もうひとつは、少し前のことですが資源貧乏の日本にとって
新たな資源開発として期待できる秋田県でのシェールオイル
の採掘に成功したとのニュースです。

 同様に新エネルギーとして期待されるメタンハイドレートの
採取(日本の周辺海域に多く眠っているとされる)も来年から
始まると聞いています。

 エネルギーと言えば、ここのところ太陽光・風力・地熱等の
自然エネルギーに国民の耳目が集まっていましたが、海に
眠る巨大なエネルギーの開発にも光が射してきたようです。

 過去には技術的に困難とされていた シェール(頁岩)層
からのオイル採取も時を経てこうして可能となったわけで…

 新エネルギーとしてのシェールオイル開発は、低迷日本の
国家プロジェクトとしての新たな資源開発への大いなる弾み
になるのかもしれません。

 さらに言えば、

 四方を海に囲まれた日本国ならではのエネルギーとして、
波の力で発電するテクノロジーを実用化できれば、永久的
に無尽蔵の自然エネルギーを手にすることになるのです。

 でもそうなると、人々は益々もって 労働 をしなくなり、
機械任せや他人任せ(ひとまかせ)の生活に拍車がかかり、
フィットネスジム だけが人だかりとなるのかも …

 だとしたら、何だかとっても複雑で …
やりきれない気持で一杯になります。


 でも、少なくともノーベル賞の受賞者たちは何事においても
機械任せや他人任せ(ひとまかせ)にはしない人たちです。

 ただ、それだけが救いの 透明人間2号

 素直(自然まかせ)な 雄叫(おたけ)び は …

 「とにかく、働けぇ !!

 一言 に尽きるのです

コメント一覧

ルート1/2
まっ、一理あるな。
勝手に仙人
往々にしてそんなものですよ! 人生なんて…
ひとまかせにできるなら、そんないいことないでしょう。
ココナン
「バカボンのパパのパパ」さんの言葉はとても深いですね。
それでも2号さんは「働け~」って叫び続けるのでしょう。

とりあえず拍手です。 もちろん、山中教授にですよ!
透明人間5号
フィットネスクラブ如きでガタガタ言うな!
ジムに通って何が悪い!

― って言ってみたいけど2号さんも怖いから …
頑張って働きま~す。
バカボンのパパのパパ
死ぬことがきまっているのに生まれてくるのだ。
矛盾だらけ世の中だけど、それでいいのだ!
皮肉のアッコちゃん
秋田のシェールオイルの推定埋蔵量は、日本の石油消費量の
僅か1日分程度だとか … …

―♪― “δ★△ж@” 残念なり!
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