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透明人間たちのひとりごと

ダ・ヴィンチの罠 大祭司

 大祭司」(כהן גדול)とは、ユダヤ教の祭司階級の 
首長を指す言葉です。

 祭司の階級は、大祭司、祭司、レビ人(専門職)の3階級
に分かれていました。

 祭司はレビ族の血統によるもので、ほぼすべてがレビ族の
子孫であって、なかでも特に、大祭司はアロンの家系の者に
限られていて、その最年長者が世襲で継承することになって
いたのです。 

 さて、ここで、

 前回までの「まとめ」を、ザッと書いておきましょう。

 ■ 『福音書』にはイエスの系図が2つ用意されている。
  「マタイの福音書」の系図はヨセフの系統であり、
  「ルカの福音書」の系図は母マリアの系統である。

 ■ 母マリアの父親は伝承ではヨアキムとされているが、
  ヘリ(エリ)であるという説と、ヨアキムとヘリは、
  同一人物であるとする説がある。

 ■ イエスの父親は祭司ザカリヤであって、ザカリヤは
  
ユダ族とレビ族の両方の血統を受け継いでいる。

 これに付け加えて、

 ■ 母マリアはアロン家の出身であって、ダビデの子孫 
  ではあるが、ユダ族ではなくレビ族だと考えられる。 


    (ええ!!

 どうやら、この男は、何も、

    わかっていませんな

 マリアは、アロン家の出身  なのです。

 ダ・ヴィンチの推理を続けましょう

 前述したように、マリヤの父親については諸説あって、
ダ・ヴィンチもこれという決定打を持っていたわけでは
ありませんが、

 母マリアについては、ダビデが属するユダ族ではなく、
レビ族であり、アロンの系統だという説を ダ・ヴィンチ
は採用していたのです。

 もう少し詳しく言うと、多くの歴史家や研究者からも 
支持されているのは、マリアの父はヨアキムという説で
ヨアキム(Joachim)は新約聖書外典『ヤコブ原福音書』
に登場しユダ族の出身でダビデの家系に属する人物です。


  『受胎告知』『ヤコブ原福音書』16世紀 エチオピア パリ国立図書館蔵
       出典:www.kogei-seika.jp

 ヨアキムは正教会、カトリック教会、聖公会において
聖人とされています。

 マリアの父はヘリ(エリ)という説は「ルカの福音書」
を根拠に一部のプロテスタントがこれを支持しています。

 ヨアキムとヘリは 同一人物という説については、同じ
ダビデの子孫ですからマリアの父親がヨアキムでもヘリ 
でも、マリアから生まれた以上、イエスはダビデの子孫
ということになります。

 イエスの父は祭司ザカリヤであるという説については
ダ・ヴィンチが以前から主張しているわけですが、祭司 
であるザカリヤがレビ族の他にユダ族の血も受け継いで 
いるという話は新鮮です。

 最後のマリアはアロン家の出身であり、ダビデの子孫
でもあるについては、ダビデの子孫、つまりユダ族では
なく、レビ族だと考える方がむしろ自然です。

 マリアはアロン家の娘エリサベツと親族なのですから
アロン家出身であり、レビ族の子孫だということです。

 しかし、そうなると、

 マリアから生まれたイエスはレビ族ということになり、
旧約聖書の預言どおりではないことになってしまいます。

 マリアの父親については、キリスト教の中でも宗派に
よって異なる見解をもっているようで、ダ・ヴィンチと 
しても決め兼ねているのですが、

 マリアはユダ族にして、レビ族であり、アロンの系統
であるとダ・ヴィンチは考えたのでした。 

 なんとなれば、

「救世主(メシア=キリスト)とは、ヘブル語
「マシーアッハ」(מַשִׁיחַ)で、神の働きのために
特別な力と権威を授けられた「膏 注がれた者」
を意味するからです。

 『旧約聖書』では、「王」・「大祭司」・「預言者」に
のみ任職の際に膏が注がれました。

 したがって、

 「イエス・キリスト」とはイエスが神から任職の膏を
注がれた「王」であり、「大祭司」であり、「預言者」で
あるという信仰告白的な表現でもあるのです。

 冒頭にもあるように、

 単に、レビ人だからというだけで、祭司になれるわけ
ではありません。

 祭司になれるのは、レビ族の中でもアロンの血を引く
家系から出る者だけです。

 ましてや、

 ユダヤの「王」にして「大祭司」ともなれば、
レビ族であることは「言わずもがな」の話でしょう。

 

 ちなみに、

  
          イスラエル12部族 soku30.jp

 レビ族とはヤコブの第三番目に生まれた息子、レビ
から始まっている一族です。

 レビ族は神にとって特別な存在でした。彼らは神の
ために聖別された部族だったのです。

 そのため、神は

レビ族の各氏族(ゲルション族、ケハテ族、メラリ族)
に聖所の務めを果たすという重要な務めを課しました。

 そして、それぞれの氏族に専門任務を与えたのです。

 すなわち、

 ゲルション族には、聖所の幕に関する部分(天幕の
おおい、会見と入口の垂れ幕、幕と幕をつなぐヒモ等)
の管理と運搬、ケハテ族には、聖所にある器具の一切
(契約の箱、机、燭台、祭壇、それらに関する用具等)
の管理と運搬、メラリ族には、聖所を支える部分(板、
横木、柱、台座、釘など)です。

 各氏族に与えられた任務はそれぞれ独立したもので
あって、他の部族の任務を兼用したり、替ったりする
ことは許されませんでした。

 それぞれ専門職として割り当てられていたのです。


            レビ族(アロンの血筋)www.jw.org  

 祭司とレビ人はもともと同じ族長レビから派生して
いますが、祭司とその職務は、レビの二番目の息子で
あるケハテから生まれた最初の子であるアロンの家系
から出た者たちで、言わば、特別職でした。

 祭司たちはすべてアロンの家系の者で世襲制です。

 彼らは会見の天幕における礼拝を実際に取り仕切る
責務を担っていました。

 この祭司と聖所に仕えるレビ人との関係は、レビ人
が祭司に仕える立場でした。

 つまり、

 レビ人は祭司の指導の管理下にあったのです。礼拝
を取り仕切る祭司のもとで仕える存在、それがレビ人
たちでした。  

 ★ 神は、モーセに次のように告げています。 

 主はモーセに告げられた。

「レビ部族を進み出させ、彼らを祭司アロンに付き
添わせて、仕えさせよ。 彼らは会見の天幕の前で、
アロンに関わる任務と全会衆に関わる任務に当たり、
幕屋の奉仕をしなければならない」

      (民数記3章5-7節)

 レビ人は、神に仕え、祭司に仕え、イスラエルの 
人々に仕える者たち(奉仕者)だったのです。

 また、

 彼らが祭司職にかかわることは一切許されません
でした。

 「あなたは、アロンとその子らを任命して、その
祭司の職を守らせなければならない。 資格なしに
これに近づく者は殺されなければならない」

      (民数記3章10節)

 とあります。


祭司の任命(胸当てに12部族の宝石) kakounet.com & dailydevotion.jugem.jp

 それほどに祭司職は特別な職務だったのです。


大祭司の装束 12個の宝石を縫い付けたエポデ(胸当て)caramel24c.exblog.jp

 ところで、

 『新約聖書』における「へブル人への手紙」の中では、
イエスのことを「大祭司」と呼んでいますが、

 これまでの「大祭司」は律法によって立てられていた
わけで、律法によるものではなく、誓いの御言によって
立てられた旧約の「大祭司」の完成者がイエスであって
イエスこそが、真の「大祭司」であるとされたのです。

 畢竟するに、

 『旧約聖書』の2箇所にしか登場しないメルキゼデク
とイエスを同一視して、アロンの血統によらないレビ族 
以外の「大祭司」の出現を肯定しているわけです。

 律法は、弱さを身に負う人間を立てて大祭司とするが、
律法の後にきた誓いの御言は、永遠に全うされた御子を
立てて、「大祭司」としたのです。

 要するに、

   祭司の服装.PNG
  画像元:meigata-bokushinoshosai.info

 レビ族の系統の祭司たちは、誓いによらないで祭司に
なっているのですが、イエスについては、誓いによって
祭司となったというわけです。

 神はこの方に対してこう言われました。「主はこう
誓われ、/その御心を変えられることはない。

 『あなたこそ、永遠に祭司である。』」このように
して、イエスはいっそう優れた契約の保証となられた
のです」   (へブル人への手紙 7章20-22節)

 レビ族系統の祭司たちというのは、ユダヤの祭司の 
ことでレビ族の出身者が祭司になりましたが、彼らは
誓いによらないで祭司になったのです。

 しかしながら、

 イエスは誓いによって祭司になったとしています。

 「誓い」というのは「神による誓い」であり、神は 
イエスという祭司をあなたがたのために立てたという
ことです。

 したがって

 そこにはレビ族としての縛りはなく、「神の祭司」と
してのメルキゼデクと同じ意味を持ちます。

  メルキゼデクとイエスの類似点 〜創世記14:18~20, 詩篇110:4 ...
   画像元:osusowake.hatenablog.com

 メルキゼデクは、アブラハムの時代の人物であり、
『旧約聖書』には、創世記14章18-20節と詩篇110 : 4 
のわずか2箇所にしか記録されていません。

 アブラハムの時代「サレムの王」と記されている
だけで、彼がどんな経路を通して祭司になったのか、
また「サレム」がどの地方なのかについての正確な 
記録はありません。

 名前が「義の王」という意味をもつメルキゼデクは 
サレム(エルサレム)の王で、「神の祭司」でした。

 こうした、

『創世記』に記されているメルキゼデクの唐突な登場
と消失には不思議な感覚を禁じえません。

     (創世記14章18‐20節を参照)

 メシヤについてダビデが書いたとされる詩篇110篇
(マタイ22章43節)では、メルキゼデクがキリストの
型として紹介されています。

   この「永遠の祭司」なる概念は、 

 キリストとメルキゼデクが「義と平和の王」として
あるいは、メルキゼデクと彼特有の祭司職をひな型と
する新しい祭司職が、旧約時代のレビ人たちの祭司職
やアロンの祭司職より優れていることを示しています。

     (へブル人への手紙 7章 1-10節)

 だからと言って、

 ダ・ヴィンチの考え方が変わることはありません。

 あくまでも、

 彼のとっての救世主(メシア)は、洗礼者ヨハネで
あって、イエス・キリストではないのです。

    『洗礼者ヨハネ』 curlchigasaki.hatenablog.com

 信頼に足るのは『旧約聖書』であって、『新約聖書』
ではないのです。

 『旧約聖書』には、王であり、かつ祭司であったと
いう人物は、このメルキゼデク以外にはいません。

 ダビデ王は王であり、預言者でもありましたが祭司
ではありませんでした。

 またアロンは逆に祭司でしたが、王ではありません
でした。王であり、かつ祭司だったのはメルキゼデク
だけなのです。

 実は、『旧約聖書』の「サムエル記下」8章18節に
次のような聖句があります。

    
   『幼きサムエル』ジョシュア・レイノルズ 1776年

 「エホヤダの子ベナヤはケレテびととペレテびと
 の長、ダビデの子たちは祭司であった」
      (サムエル記下8章18節)

 この聖句は、ユダ族であるダビデの子孫とレビ族の
祭司との間に血縁関係があったことを示しています。

 ソロモン以外のダビデの子たちが祭司だったという
ことは、ダビデ自身にレビ族の血が流れていなければ、
その子たちが祭司になることはできないはずです。

 なぜなら、

 神がモーセに対し「あなたはアロンとその子たち
 とを立てて、祭司の職を守らせなければならない。
 ほかの人で近づくものは殺されるであろう」
       (民数記 3章10節)

 と命じられているので、律法の定めによってレビ族
でなければ祭司にはなれないからです。

 さらに、出エジプト28章43節には、大祭司が青服の
上に着用する「エポデ」(新共同訳では「エフォド」)
について次のように記録されています。   


大祭司の装束 12個の宝石を縫い付けたエポデ(胸当て)caramel24c.exblog.jp

 「アロンとその子たちは会見の幕屋にはいる時、
あるいは聖所で務をするために祭壇に近づく時に、
これ(※エポデのこと)を着なければならない。
 そうすれば、彼らは罪を得て死ぬことはないで
あろう。これは彼と彼の後の子孫とのための永久
の定めでなければならない。

     (出エジプト記28章43節)

 そして、

 この「エポデ」をダビデがまとっている場面が聖書
に記録されています。
 
「そしてダビデは力をきわめて、主の箱の前で踊った。
その時ダビデは亜麻布のエポデをつけていた」

      (サムエル記下6章14節)

 その他にも「サムエル記上23章9節、30章7節」や
「歴代誌上15章27節」でダビデがエポデをまとって
いる場面が記録されています。

 ですから、

 ダビデ自身がユダ族であると同時にレビ族でもあり、
王であると同時に大祭司でもあったという大胆な推理
が働くわけです。

「士師記17章 7節」にも、ユダ族でもありレビ族でも
ある若者が登場しますが、

 このシーンは、エポデとテラフィムを作り、自分の
息子の一人を勝手に祭司に任命するなど、律法に違反
する行為を戒める主旨の内容の聖句であって、祭司は
アロンの家系から選ばれなければならず、誰もが自由
になれるというものではないことを示しています。

 しかしながら、

 こうしたユダ族であり、かつレビ族と思われる人物
の登場があちこちにみられることから、祭司ザカリヤ
もまた、ユダ族の血統を継承する祭司の一人であった
ことが十二分に推察されるわけです。

    ふむ      ふむ      ふむ

 

      画像元  www.pinterest.jp

 ならば、

 ここに、もうひとりの救世主(メシア)に対する条件
が満たされるのです。

 ダ・ヴィンチの推理では、イエスの父は洗礼者ヨハネ
と同じ祭司ザカリヤであり、ザカリヤはユダ族とレビ族 
の両方の血統を受け継いでいて、ヨハネとイエスの関係
は異母兄弟の間柄であることからも、

 この腹違いの兄弟は、どちらも救世主(メシア)の条件
であるダビデ王の子孫であるということになります。

 したがって、

 ユダヤの「王」にして、「大祭司」を兼ねる者
は、ダビデの子孫とアロンの子孫であるイエスでもあり、
且つまた洗礼者ヨハネであるというのが、ダ・ヴィンチ
が導き出した結論だったのです。

 
 『幼児キリストと洗礼者ヨハネ』(貝殻の子供たち)ムリーニョ画

 symbol2 ダ・ヴィンチによる推理はまだまだ続きます。

 
 『幼児キリストと洗礼者ヨハネ』(貝殻の子供たち)部分 ムリーニョ画

 次回では、

 メルキゼデクが受肉前のキリストの現れだという意見
やイエスが「永遠にメルキゼデクの位に等しい大祭司」に
なったとする『へブル人への手紙』 6章20節にある聖句
の信憑性などについての考察を予定しています。


       むむう ・・・

 それにしても、

  メルキゼデクとは、いったい誰なんじゃ?
    
   「どうにも解せない存在よね!」

 ひょっとして、

 こいつの所為かも知れんなあ!

    「ええっ !!」 

 
     アッ、いや、アンタじゃなくって
  
  とにかく「胡散臭いんじゃよ!」


         『福音書』(ヨハネ)biz.trans-suite.jp 

       「『新約聖書』の中身が !!」

           
             マジか!


       「イエス・キリスト計画」shiogamagrace.com

                    ・・・ って、おいおい

              
              www.pinterest.jp

   
       イスラエル12支族(士族・氏族) w.atwiki.jp

        
          ザカリヤとエリサベツとヨハネ
          出典:39bible.blog.fc2.com

     
     キリスト教イメージ(Photo Adobe Stock)出典:diamond.jp


       大祭司のイメージ(ユダヤの祭りの夜)myrtos.co.jp


          画像元: domani.shogakukan.co.jp

         なんでやねん  

    
       イエスの真実         出典:www.jizai.org  

  … to be continued !!

   

コメント一覧

小吉
難し過ぎてついていけない
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