原発なくそう 茨木

阿武山原子炉設置反対運動の歴史と意義
茨木市で原発なくそうの運動を!

福島からの報告  科学者との連帯を求めて

2012-09-10 19:54:37 | 日記
原発なくそうの思いで集まっている茨木市民有志グループです。
ニュース、報告、呼びかけ、お願い、短いコメントなどは
ブログなくそう原発茨木」をご覧ください。 よろしくネ。



今月の雑誌から  かみやま・はるお


科学者と民間市民との連帯こそ五十五年前の茨木市でたたかわれた阿武山原子炉設置反対運動を勝利に導いた大きな要因であったとされます。 今、全国にひろがる原発なくそうの市民運動のひろがりの中であらためて、科学者の中に市民との連帯の新しい形を模索する動きも出ていると聞きます。 茨木でくりひろげている「原発を考える市民のつどい」への取り組みの中でも、大切な課題だと位置づけています。
8月31日、「経済科学通信」という雑誌に「震災・原発問題福島シンポジウムに参加して」という報告書が掲載されました。 筆者は青年時代、茨木市の春日丘高校に学び、1951年代に生徒会長で活躍された方です。 この報告にも私たちの思いと共通し、また、学べることがたくさんあります。 筆者のお許しを得て、主な部分を掲載してご紹介します。 全文を読みたい方は次の雑誌で。 掲載雑誌は「働きつつ学ぶ権利を担う経済科学の総合雑誌『経済科学通信』2012・8No.129」です。 発行元は「基礎経済科学研究所」京都市中京区麩屋町通二条下る尾張町225☎075-255-2450。



震災・原発問題福島シンポジウムに参加して


                 基礎経済科学研究所  小野 満
3月24-25日、JR福島駅前 「コラッセふくしま」で開催された「震災・原発問題福島シンポジウム」に参加しました。 この集会は、経済理論学会の提唱により、同学会、基礎経済科学研究所、経済地理学会、日本地域経済学会が共催し、政治経済学・経済史学会が協賛、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター、日本経済学会連合が後援して開催されたものです。 以下シンポジウムの簡単な報告をするとともに感想を述べたいと思います。
1 日目は「現地交流ジンポジウム」として、現地で活動している人びとの報告がありました。 最初は、南相馬市長として被災者の先頭に立って活動されている櫻井勝延さんでした。 震災・原発事故当初、中央からの情報の全くない中を自力でバスを調達した住民避難の苦労・その後の放射能汚染の恐怖、そのための復興の困難等について詳細に報告されました。 報告では,「がれき」といわれているものの大部分は価値あるものであり、防潮堤として使う。 汚染された農地も再生可能エネルギーを生み出すことによって農民に収入をもたらす。 病院に看護師が集まらない問題もある。 原発事故によって死者は出ていないということになっているけれども、いただいた資料によると南相馬市で
死者896人のうち関連死は266 人ということで,民間の独立検証委員会の報告にある双葉病院の避難経過などを見ると、その多くは原発事故関連死といえるのではないかと考えました。
次は,農民運動をしておられる根本敬さんでした。 根本さんは、母親、農民、漁民など命を守り育てるものがいちばん原発事故に痛めつけられているという。 これは,人間は地球と取り巻く放射能バリヤの中で進化を遂げた存在であり、放射能と生命とは相容れないという根本的な原理に根ざしていると考えられる。 風評被害というのもけっして根も葉もないところでの被害ではない。 実害があって風評被害がある。 このような人間の基本的な権利を侵害した原発事故の責任が追及されなければならない。 この追及があまりにも弱い。 この責任追及の問題は、2日目にも議論され、「一億総繊悔」による戦争責任を暖昧にした戦後処理にも通じるものがあるという意見も多く出されました。 しかし相違する点もあります。 侵略戦争にたいする反省の結果、われわれはいま平和憲法をもっている。 原発再稼働を云々される状況とは違う。 それは戦争の被害は全国に及んだが,原発の被害はまだ局地的であるところにも原因がある。 原発被害の実相を全国民のものにしなければならないと感じました。
最後は,音楽活動で被災者を支援している大友良英さん。 われわれの社会生活は科学を基礎として信頼関係が成り立っている。 それが崩れた。
 関係をつなぐ言葉が信頼を失っている。 言葉にたいする応答ではなく,その根拠にたいする科学的な応答が必要である。 たとえば恐怖心にたいして ・・・ 。
夜の懇親会で印象に残った話は,未婚の娘さんの恐怖です。 窓を開けず、洗濯物は室内で。 それでも結婚して無事に子供が生まれるかどうか。 このいつまで続くかわからない見えない恐怖 ・・・ 。 
2日目は「学術シンポジウム」として、研究者の報告がありました。 午前中はセッジョンI「日本の社会科学と震災原発問題」として5つの報告がありました。
第I報告は、経済理論学会代表幹事八木紀一郎さんが「震災・原発問題と日本の社会科学:政治経済学の視点から」と題されて報告されました。
経済学には,富の科学という側面とガバナンスの科学という側面があり,それらが各レベルで結び
ついている。 既存資源による富を効率的市場によってガバナンスする市場の経済学、再生塵される富をそれが保障される正常な再生産システムによってガバナンスする再生産の経済学、基盤的な富を地域・国家・グローバル市民社会でガバナンスする生活安全の経済学に区別される。 そして、
既存の市場の経済学、再生産の経済学の上に生活安全の経済学がより重要になると主張されました。
第2報告は、日本学術会議前会長広渡清吾さんが「東日本大震災・原発事故と社会のための学術」と題されて、大震災と原発事故に対応する日本学術会議の活動について詳細に報告されました。 それが、市民の要求に応えているか、政治の決断にどのように提言すべきか、今後の課題であると提起されました。
第3報告は,経済地理学会会長山川充夫さん。 空中戦を好む基礎研と違って経済地理学会は地上戦が得意だということで、地図と図表を使って、急減する福島の人ロと原発避難住民の帰還条件を示されました。 「脱原発」が福島再生の出発点でありこれを抜きにして福島再生はあり得ない。 同時に原発がなくてもやっていける豊かな福島がその到達点であると論じられました。
第4報告は、日本地域経済学会会員濱田武士さん。 この方は、漁業問題を研究されているそうで海上戦だといわれていました。 漁業は競争すると同時に、共同して海の資源を守り育てるという側面がある。 それが各漁協に漁業権が保障されている理由である。 それを無視して、漁港を集約し大資本の参入を促進する宮城県知事の復興政策を強く批判されました。
第5報告は、基礎研の前理事長大西広さんが「『資本から独立した政治経済学』が今こそ必要!」 と題されて報告されました。 経済学の問題が純粋に経済学で解けるのか。 原発問題がコスト計算で解けるのか。 近代経済学は依然としてそれは可能だといっている。 政治的要因を抜きにしで経済的問題も解決しない。 資本主義という仕組みの再検討までが社会科学に求められているときに、科学者も労働運動も必ずしも資本から独立していなかった。 いまや、
資本から独立した市民による市民のための経済学が求められていると熱弁をふるわれました。
午後は,セッションⅡ「ローカル。 ナショナル・グローバルな連関」として3つの報告がありました。
最初は、福島・東北について福島県復興ビジヨン検討委員会座長 (福島大学名誉教授)鈴木浩さんの報告でした。 復興ビジョンの作成に当たっては被災地・被災者に寄り添うことが大切。 それは

まず被災者の不平・不満を徹底的に聞くことから始まる。 徹底的に議論するなかで福島の再生は
「脱原発」からという立場が鮮明になってきたと報告されました。
次は、チェルノブイリについて福島県チェルノブイリ調査団団長(福島大学副学長)清水修二さんの報告でした。 チェルノブイリの被災者について数十人から数百万人まで26年たっても結論が出ていない。 
原発事故が目に見えない事故であり・長期にわたる事故であるからであり,ここに原発事故の恐ろしさがあることを語られました。
最後は、ドイツから来られたドイツ政府エネルギー問題倫理委員会委員 (ベルリン自由大学環境政策研究センター長)ミランダ・シュラーズさんが流暢な日本語で報告されました。 ドイツには「脱原発」の長い歴史があり
「脱原発」が倫理の問題として考えられている。 ドイツでは原発は必ずしも農村に立地しているわけではないが、原発の電力供給ば都市部や工業生産に向けられていること。 原子力を自分たちの今日の便益のために使用しながら核廃棄物の処理を将来の世代に委ねていること。 また原発を、核兵器を発展させる能力と結びつける意図にたいしては、戦後処理・歴史教育の実績があり、自国の安全のためにこそ核武装が否定されていることを紹介されました。
以上,各報告を筆者の興味にしたがってまとめたので重要な論点が落ちているかもしれません。
この後、集会宣言に向けての討論が行われました。 実は時間の関係で前日にも討論が行われ,この種の討論としては充分時間がとられ多くの意見が述べられました。 その結果、宣言案は一部修正のうえ満場一致で採択されました。 修正された大きな点は「脱原発」がはっきり書き込まれたことです。 これは良かったと思います。
2日間のシンポジウムに参加して,やはり現地でなければ感じることのできない空気に触れられました。 特に
見えない災害、期限のない災害としての原発事故の本質をつかむことができました。
原発再稼働の動きがある中でなんとしても「脱原発」の方針を確立させなければならないという決意を新たにしました。 [集会宣言は基礎研HPに掲載一編集局] (おの みつる 所員)


なお、色字部分は掲載者(かみやま)の粗雑な心の網にひっかかった部分を恣意的に色字にしました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿