ソフトなレリック処理を施されたギターを入手しました。ネックを調整しようとビスを緩めたらかなり渋い。やっとの思いで外したらなんと木ネジ頭部はそれほどでもないのに内部のネジ切部分が赤錆。完全なヴィンテージ仕様ではないので気持ち程度のレリックですがビスのすべてが赤錆だらけ。
これは全くのビンテージを知らない職人の仕業です。マニアックな専門ムック本なんかではかなり弾き込まれた個体の写真もありますが金属パーツがここまで赤錆を帯びたものは稀です。野外か過度な湿度のある地下室で長く放置されていなければここまでの錆にはなりません。これだと腐食で折れる可能性もあるのですべてのネジは交換です。ブリッジやコントロールプレートはサンドペーパーで軽くこすってある程度なので使えますがネジは全てアウトです。コンディションの悪いビンテージアンプでさえここまで錆びません。たぶん食塩水か何かに浸けて酸化させたんでしょうけど。使い込まれたビンテージギターの金属パーツは確かにメッキも剥げますが黒く変色する感じで赤錆は出ません。出ても表面部分に出る程度でネジ部にまで錆がくると折れるだけです。
レリック処理自体、センスしかないので腕利きの工房職人でもそこがズレると台無し。ハードなレリック処理も錆で弦高調整不能になってしまえば楽器としての価値は無くなります。オールドギターに迫りたいのはわかりますがしっかりメンテしながら弾き込まれたギターか劣悪な環境で放置されたギターか落としどころが重要です。どちらにしても仮想ビンテージなので本来のギターの完成度とは別のところに位置しているのが難しいところ。しかし、経年変化を意図的に作り出すモノに付加価値を見出すという特殊な世界が楽器にはあります。車のようにビンテージをビカビカにレストアすると価値が半減。しかし、ビスの赤錆はいけません。
さてパーツを入れ換えてどんなギターになるかこうご期待。
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