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Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

マーシャルペダル Bluesbreaker II

2010-12-06 16:30:08 | PEDALS

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歪を知り尽くしたマーシャルのオーバードライブペダル「Bluesbreaker II」。そんな本家本元から出た歪エフェクターなのに世界最高の過小評価品。数年前に出たオーバードライブ専門のムック本にも掲載されることなく、専門マガジンの歪エフェクター比べの企画にも採用されない希少価値の高い存在の一品。

マーシャルとしては20年前に初の歪エフェクター「ガバナー」をリリースし、JCもこれさえあればマーシャルに変貌すると即購入したが、そうならないことに気づいてすぐに手放してしまった過去がある。もちろん当時のモノは現在プレミアが付いている英国製。その後、モデルチェンジを重ねこのスタイルになったのは約10年前。メイドインチャイナで実売価格が定価の半額で売られていて、ビギナーギタリストがマーシャルブランドに魅かれ購入後すぐ売却するものだから中古相場だと定価の3割と驚きのディスカウントペダルになってしまっている。

ディストーションの歴史を作ってきた天下のブランド、マーシャルが送り出すオーバードライブペダルがそんな寂しい存在価値でいいのかを検証してみよう。

10年前までの黒い鉄板を曲げた軍用なデザインから一新。シルバーメタリックの人間工学に基づいたようなオリジナルデザイン。2mm厚の重量級ダイキャストで電池込みで588g。ボスのコンパクトエフェクターでも394gなのでその違いも歴然。内部基盤もコントロール部、SW・ジャック部、メイン基盤と3分割され全てがオリジナルなレイアウト。クリッパーはLEDを使用。電池BOX部分も基盤と隔離され内部で動くことは無い。

音はマニアックな「ブルースブレーカー」や「ハンドワイヤード1974X」などの後面開放型コンボアンプをシュミレートしていてマイルドでシルキーなオーバードライブを奏でる。そのためトーンコントロールも滑らかでマイルドだ。素人は抜けが悪いと言ってしまうがそこがポイント。ブルースモードでのゲインとヴォリュームはクリーンブーストも出来てクランチ設定のチューブアンプのドライブにも対応。その瞬間トーンコントロールは倍の効きに変貌する。さすが本家のマーシャルだからそのあたりも想定済みで使いやすい。ブーストモードはコンプレッションしないで単純に音量を上げるのでアンプをブーストするというよりセカンドドライブとしてソロにオンする使い方のほうがお勧め。あくまでメインはブルースモードでの使用がメイン。ソフトな歪とはいえゲインフルだとかなりのディストーションだ。アンプクリーン設定でゲインが9時から1時方向内がおいしいところだろう。

こう考えてみるとナチュラルにパワー管をドライブさせるような滑らかな歪のペダルは意外と無いのに気づく。ハイエンド物はドライブ単体で主張があり素晴らしいがトーンが抜けすぎて隠し味的には難しい。トレブルがザラつかない滑らかなコンプレッションはまさにブルースブレーカーだ。TS系のようにも見えるがあのミッドレンジをフラットにした感じでトーンのコンセプトと完成度は流石マーシャル。値段は格安だが音とBOXの頑丈さは業務用。

ケースの完成度がこんなに高いのにド真ん中の商品ラベルがなぜこんなにダサいのか。ラベルバッチのデザインも理解出来ないしプラスチックの貧弱な作りも最悪。これなら名前だけプリントするだけでいいのに。アンプのデザインはみんなカッコいいのになぜでしょう?


ZEN DRIVE

2010-10-13 14:32:52 | PEDALS

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毎度のことながら「究極のオーバードライブ」がまた登場。いままでにいくつもあったが、現時点で最高のペダルがこの「ゼンドライブ」。海外のハンドメイドペダルだがロベンフォードやカルロスサンタナがダンブルアンプをドライブさせるのに使っている代物。

外見もランド・グラフのようなペイントも無く地味でそれらの情報が無いと試しもしない。中身も高品質なパーツを使っているがあくまで普通のハイエンド的で自作マニアも簡単に作れてしまうようだが違いはまさに「サウンド」だ。

ハイエンドにありがちなのは完成までの過程(作り方や、厳選したパーツ)にこだわった割には出音のゲインが高いだけだったり、ヌケを強調するあまりキンキンしたトレブルだらけだったりと肩透かしが多い。またハイエンドモノは高額なだけにギタリスト本人が「いいに決まっている!」という暗示にかかり時間とともにその暗示が解けてがっかりしたりといろいろだ。ターゲットを特別なチューブアンプのドライブやギターに絞ったり(ハムバッカ―にはいいがシングルだと?)と一般的で無いのも多い。

大きく分けるとオーバードライブはチューブアンプを元のトーンを変えずにきれいにブーストするタイプとトランジスタアンプもチューブトーンに変貌させるタイプとに分かれる。ナショナルブランドなどはそのどちらも網羅し、大量生産するようにデザインされているのも凄いが「もう少し!」的なところがよくある。しかし、この「ZEN DRIVE」はそのどちらのトーンも完璧に制覇してしまっている。派手さは全くないがエレクトリックギターを心地よくコンプレッションをかけるのに抜群だ。

ザックリいうとミッドがフラットなTS系なのだがローミッドに倍音がかかってきている太めのトーン。ピッキングのハーモニクスに大変反応が良く、ハムバッキングもシングルもギブソンもフェンダーもどれもいい音になる。お約束のクリーンブーストももちろんでコントロールがどのジャンルでも使えるところに設定されている。ゲインも高くファットでギターのヴォリュームを絞るときれいに歪が消えていく。それはローカットコンデンサーが効いているようではなくあくまで太く、芯があるように変化する。

Voiceコントロールはミッドブーストでこれによりいろんなギターの癖を調和させられる。単純に音がいいというよりは往年のブルース・ロックの名盤に聴かれるトーンがして、ダイナミクスをつけるブルースロックギタリストが大好きな音だ。残念ながら正規代理店は無く、個人輸入のオークションや一部のショップでしか購入できないのがまたいい。

ロベンオタクのT先輩が先日、ブルーノートの最前列でみたロベンフォードの足元にはこのゼンドライブがしっかりあってダンブルアンプをブーストしまくっていたとのことです。ショーが終わってローディーからもらったのがこのロベン愛用のピック。本人が使ってはいないがダンブルアンプの上に置いてあった代物。

なんてことない普通のピックの肩の丸い部分で弾くのがロベン流。


FUZZ THE SOUND THAT REVOLUTIONIZED THE WORLD

2010-09-08 21:58:58 | PEDALS

FUZZ: THE SOUND THAT REVOLUTIONIZED THE WORLD(ファズ:世界を変えた音)(初回限定1000部) [DVD+BOOK]

マニアックには大賛成だがこれは行っちゃい過ぎたマニアックDVD。FUZZが好きだったり興味がある人にとっても濃すぎてスカしてしまうシロモノだ。

このタイトルからするとFUZZとコンパクトエフェクターの歴史と普通は考えるがチョッと違う。冒頭の映像からは一瞬だけファズが生まれた背景や60年代当時の開発者の貴重なコメントが観れるのかと思いきやただのイメージビデオ。内容のほとんどが最近熱いハンドメイド・ハイエンドメーカーの製作者の嘆きや自慢、将来の悲観、楽器業界の問題など世界のFUZZスぺシャリストの愚痴や生立ち、自慢話のオンパレード。専門誌の特集にも出てこない汚い工房をさらけ出したりとエフェクターを自作する人たちには最高に傑作作品。エレキギター弾きでもこの路線に少しでも外れると価値ゼロだ。数々のモデルを試奏しているがギタープレイがお粗末。細かなセッティング例も無。ジミヘンドリックスも無。しかし、映像処理やBGMの使い方はさすが本場MTVだ。

ビルダーがこぞって「TS系のコピーばかりでいいのか!」とかコピー防止の基盤を隠す樹脂を付加価値を高めるアイテムだとか、なんてことない基盤にわざと樹脂を乗せている!などの愚痴の言い合いの場面がこのDVDの最高潮。エレクトロハーモニクスのマイクマシューズが登場して巨大な工場の女性スタッフをいじるところはほとんど酔っ払いオヤジで楽しい。

日本でこの手の映像を作ってしまうとどうしても学術的か子供向けになってしまうがFUZZのキャラクターをそのまま映像にしたようなファンキーなところはカッコいい。出来れば字幕じゃなくアニメ風な日本語吹き替えにしてほしいところだ。

出てくるビルダー全員がかなりのアニメ風。


カスタムファズフェイス

2010-09-06 22:33:01 | PEDALS

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アービターファズフェイスのクローンを自作してみた。回路はプリント基板を使わずオールハンドワイヤリング。線材も単線を使用しトランジスタはもちろんゲルマニウムAC128。今回のクラフトの中身はハイエンドペダル製作家のT氏が組み上げ、自分で施したのは外装の穴あけと鏡面仕上げのみ。ケースはタカチ製のMXRより一回り大きいタイプ。

レイアウトは1ゲイン1SWで歪量は完全にギター本体のボリュームだけのコントロール。ジャックの位置はフェズフェイス直系のインプットが左側。だがしっかりケース内にはアウトプットボリュームとバイアス調整を隠してある。ポットは東京コスモス製。

サウンドはフルテンのUK極太モーモーブチブチから鈴鳴りクランチまでカバー。FUZZレベルは2時~MAXまで変わらずクランチに変わるギターボリューム位置の可変ポイントになる。歪みを落とした時のプレゼンスはシングルコイルPUに抜群な相性になりクランチした極上チューブアンプになればなるほどマッチングはいい。

そう考えるとFUZZが出てきたのはチューブアンプの成熟期の60年代。チューブをドライブさせるのが最大の目的だった時代だから当然といえば当然。

またもう一つの謎がゲルマニュウムトランジスタが引き起こすファズの個体差。パーツによってこうもトーンが変わるとは逆に楽しくなってくる。試作段階でもストックしたAC128すべてのトーンの違いが露骨に表れた。こうなってくるとブランドにこだわらずロシアやチェコ製などのアタリが低価格で埋もれていそうだ。だけどこれってほとんど宝くじ。


FUZZ FACE的考察 JH‐F1

2010-07-21 17:41:19 | PEDALS

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80年代からジミヘンドリックスブランドのファズフェイスクローンはいくつか存在した。特に登録商標を持っているジムダンロップからのファズフェイスはいつも不完全燃焼したようなアイテムばかりだったが2006年にリリースされたこのJH‐F1 JIMI HENDRIX FUZZ FACEは素晴らしい。何より本家ジムダンロップがかなりの本気を出して制作したのがよくわかる。JIMIが一番脂っこいサウンドを出していたエレクトリックジプシー時代のファズフェイスに焦点を合わせてリイッシュするなんてマニア心をくすぐるコンセプトだ。

ファズフェイスといえばゲルマニウムトランジスタと相場が決まっているが、ハードで安定したシリコントランジスタBC-108を使うなんて洒落ている。

しかし、このゲルマニウムトランジスタはアタリハズレの極致ようなパーツ。このパーツが心臓部のようなものだからファズフェイス自体がとんでもない個体差を生む結果になったのは承知の通り。特に気温での落差は激しく低い温度や高温に反応するとサスティーンがぶつ切り状態になる。いくつも持って季節や場面によってチョイスするなんてこともJIMIはやっていたようである。

時代とともに安定性を求め改良を重ねていくと問題は生じないがトーンが犠牲になっていくという相反するものがやってくる。そんな中でのシリコントランジスタ仕様のこのモデルは熱狂的なビンテージ支持者も取り込むサウンドを持っているのはさすがジムダン。

ケースの塗装、このリイッシュに特別に型を起こし直したノブ、イギリスクリフ製のジャックやポット、ワンランク上の電池スナップ、裏ぶたのネジの処理やハンドワイヤリングの基盤等至れり尽くせり。外箱も捨てるにはもったいないくらいの完成度。

さてトーンはファズフェイス特有のギターヴォリュームの反応もスピーディーでクランチ、クリーンもグラッシーだ。ヴォリュームフルでのトレブルが落ちてローがわき出る感じも最高だ。シングルノートの強めのピッキングで弦をすくいあげたときの倍音にミッドが乗っかる感じはどのギタリストも至福の時。アンプをクランチセッティングにしてのFUZZレベル7あたりがまさしくBold As Love。

ソフトなリアルビンテージモディファイより多少音が立っている。パンチがありミッドレンジが少しだけブーストされているのでクランチアンプに対してさらに相性が良くなっている。スペック重視のハイエンドモデルと比べたらコストパフォーマンスは素晴らしく高い。

ファズフェイスはエフェクター自作マニアが最初に手掛けるビギナー向けの個体だが部品点数の少ないいたってシンプルな構造ほどパーツチョイスが難しい。回路図と同じに作っても何か音が違うなんてことがよくある。だから永遠にクローンがリリースされ続け、マニアは買い続けるしょうがないエフェクターでもある。

オーバードライブペダルよりもレンジがひろく、常にかけっ放しでギターヴォリューム8.5~10の間でのコントロールがまさしくファズフェイスのポイント。