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Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

Titanium Telecaster BRIDGE PLATE

2018-09-17 20:09:14 | GUITARS

ビンテージモディファイ風のワーモスのテレキャスター。ローラー製ビンテージピックアップが太いトーンを醸し出しますが、ワーモスのサイドからネックアジャスト機構がある特殊なネックの為、モダンな鳴り方のギターです。ネック自体も太く細かく調整しなくてもビクともしないのがその機構があるためか、オーバースペックなのかは謎です。重心が下にあるモダンなトーンのテレキャスターでいいのですがもう少しトゥワングな感じに。

テレキャスターのチューンナップでPUの交換の次に一般的なのがブリッジ回りです。元々はビンテージスタイルの83gと少々重めなプレススチールのニッケルメッキ・ブリッジプレートが搭載されていました。エッジがレリック風で手にやさしくない仕上げなため交換。昔のブームだったシェクターのブラス6wayブリッジプレートも引っ張り出したら驚きの172g。余計な倍音を止めハイパワーでピュアなピックアップのトーンを出す仕様なのですがサドルを装着すると軽く200gオーバーの重量級。時代を感じますね。サイドエッジが無いプレートだと変形を防止するために厚くしていかなくてはなりません。両サイドエッジのほとんどをカットした厚めのスチールプレートも国産であるのですが、今回は初めての素材のチタンをセレクト。重量はこれまた驚きの39g。スチールでこの重量だと変形してしまうスペックです。新素材でのトーンの違いをよく耳にしますがそのほとんどは気持ちの問題です。素材が生み出す音質ではなく重量や形成技術が問題なのです。チタンは医療にも使用される材質なのでフィジカル的にもいいイメージですが、ポイントは重量と強度です。ブリッジプレートを薄くして軽量にするとローエンドは削られトーンはハイミッドにシフトしサスティーンも程よく複雑な倍音がまさにトゥワンギーになっていきます。これはPUを交換したかのようなイメージになるくらい変貌しました。ストラトのフローティングブリッジからハードテイルにしたよりインパクトがあります。今まではパーツ重量を上げてドンシャリなハイゲインにさせるチューンでしたが今回はその真逆。

古くからのサイドのあるプレスブリッジプレートはブリッジカバーを受ける部分とプレートの変形を防止する効果もあるレオフェンダーの傑作デザインですがもう一つの秘密が隠されています。リアPUが吊り下げられた部分がボディにキッチリとビス止めするとブラスのような厚いブリッジプレートと同じ倍音が少ないトーンになってしまいます。サドルの後方のみのビス止めでプレートを支えリアPU部分がボディの上に載っている感覚がトゥワングのポイントです。そこに隙間があると余計な共鳴を生みハウリングを引き起こすので薄くフラットなプレート形状を維持するチタンがテレキャスターにベストマッチしたことに。

ギターパーツとしては新参者のチタンがビンテージサウンドの再現に役立つとは。この先何が起こるかわかりません。


ストラトパーツ

2018-04-10 14:08:20 | GUITARS

パーツの集合体でもあるストラトキャスターには実に様々な交換用・ドレスアップパーツが存在します。80年代からの本家フェンダーカスタムショップのスタート等、古き良きヴィンテージの復刻がスタートしましたが当時はまだプリCBSとの差が歴然で何か違う雰囲気。現在ではレリックやピックアップまで現存しているオールドフェンダーと同じトーン再生まで可能なものがリリースされています。

ビンテージモディファイという経年変化を再現することは全く基準が無くピンキリなクォリティーがたくさんありますがこれがまた付加価値を生みます。ただ現行品を汚くしただけで数倍の値段に跳ね上がり、全くの言いなり価格がまかり通るのがこの分野です。ほとんどがハンドメイドなので全て人件費なのでしょうがこれは無いだろうというものも数知れず。これらのモディファイパーツのほとんどはフェンダー純正品か一部のパーツメーカーモノを加工するのですが、フェンダー自身からもレリックではないリアルな当時のパーツを再現したアイテムも数年前に出しています。「Pure Vintage Strat Accessory Kit」という50年代、60年代のPUカバーやノブのセットなのですが54年製の一時期しか作られていなかった形状を復刻させた「Pure Vintage 54 Strat Accessory Kit」なるアクセサリーキットを今回入手。

全体に角の丸いピックアップカバー、独特のショートスカートノブ、丸穴のバックプレート等マニアにしか興味のない内容。音には一切影響はなくノブの操作性は微妙な感じですがストラトのデビュー仕様を味わうにはいい雰囲気です。写真にある角が丸いクリームに変色したPUカバーは80年代フェンダーパーツのDIYなのですが雑にやると角が割れているレリック仕様のビンテージ風パーツのようになってしまいます。こんな適当な加工でも既製品の数倍の価格で販売していますからタマリマセン。オリジナルにそこそこ忠実で雰囲気を味わえるには本家フェンダーのパーツが安心できます。素晴らしいレリック仕上げでも基になっているパーツがB級品で形状に違和感を感じるパーツもあるのでたいへん奥が深い。

初期のスペックが重要視されるギター業界ですが明らかに後半の仕様のほうが改良されて完成度は高いです。そこにメーカーのコストダウンのエッセンスが入った瞬間にビンテージ信仰が生まれてしまい工業製品のエレクトリックギターには避けては通れない宿命が始まるわけです。1950年代から70年代前半に開発・改良されたエレクトリックギターの普遍的なデザインはその時点でより革新的なモノを否定する側に回ってしまった感があります。しかし、あまりにも完成されたレオフェンダーやテッドマッカーティーのデザインから逃れるにはハイエンドとはいえスタインバーガーのような突飛なギターじゃないとそれ以外はみなコピー商品的な見方をされます。しかし、トラッドな匂いがないと満足しないギタリストがほとんどですからPRSのようなある意味トラッドの風合いそのまんまでPRS製というくらいのほうが潔いという感じもしますね。


Steinberger Synapse SS-2F Custom

2018-02-15 14:28:14 | GUITARS

最近の市場にはあまりお目にかかることが無くなったスタインバーガー。約40年近く前に奇抜なデザイン、EMGピックアップ、グラファイトネック&ボディというエレキギターの概念からかけ離れたものがリリースされ驚いたのが遠い昔。メーカー自体も時代と共に変わり、製造が韓国に移り現在はギブソン傘下ですが日本国内の輸入代理店も不透明でこのニューモデルといわれたシナプスシリーズも2016年に生産終了していたとは知りませんでした。内情は解りませんがいまだにデザインしたネッドスタインバーガーが現在も絡んでいるようなのが救いですか。2018年からはトラッドなスタインバーガースタイルを世襲したスピリットシリーズのみの生産のようです。2006年に新モデルとしてのこのシナプスは今となっては過渡期の10年間の間に出た特殊な仕様のようなモデル。スタインバーガーの中でこのシナプスはネッドスタインバーガーが1990年に立ち上げたエレクトリックアップライトベースで有名なNSデザインのスタイルを元にしているような雰囲気。

元々のスタインバーガーデザインは24フレット仕様のためフロントピックアップがブリッジ寄りにセットされ固めでモダンなフロントPUサウンドでしたが、このシナプスは若干大きめのボディに22フレット仕様、トレモロアームが無いオリジナルブリッジからレスポールに通じるトラッドな2ハムバッキングトーンが特徴です。ストラップピンの位置をヘッド側にアジャストするストラップアームがギターを持った時のバランスを最高に保ちます。このギターはリアPUをEMG81から85にチェンジして配線、SW、ポットもEMGオリジナルのハンダフリーなコネクター配線に変更し、ジャックもボディ裏のプラグが隠れる位置。ネックは今となっては珍しい手間のかかる3ピースハードロックメープルのスルーネック構造。両側からボディ材のメープルでネックをサンドしてタイガーストライプのメープルべニアを張り付ける仕様。特殊グラファイトを仕込みフェノール樹脂の指板という革新的な複合素材構造のネック。硬くタイトなオールメープル材でボディとネックの余計な倍音や振動を排除してクリアなEMGのアクティブトーンを出すというコンセプトはグラファイト材を使っていた時からの流れ。ボディ裏にはコンター加工まで施しそんな先端を行くデザインコンセプトとビンテージトーンの融合なのですが生産終了が残念でなりません。実売価格とコストが合わない現実も理解できます。

ギターには機能性とスタイリングとトラッドがどのような混ぜ合わせ方なのかで評価が変化します。アーチドトップのギブソン全盛期の50年代にソリッドギターのフェンダーが出た時の衝撃はある意味、ソリッドギターは何でもありの楽器というポテンシャルが証明された時期でもありました。70年代後半、スパニッシュスタイルのギターなのにこの形状とアクティブPUというデザインもある意味50年代のフェンダーに近いアプローチが漂います。

いろいろ言っても入手以来6年間DAW作業での使用頻度ナンバー1がこのシナプス。コンパクトボディとEMGがオーディオインターフェースに直結してもノイズが無いのとゲインが安定しているのでアンプシュミレーターのポテンシャルを最大限に上げます。また少なくなりましたがダブルボールエンド弦とオリジナルブリッジが究極のローアクションと全く狂わない正確なピッチを保持する高い完成度が録音に最適です。このボディ形状でもウエイト3kgとスピリットより一回り重い重量感。PCと格闘しながら弾いていると結構肩がこります。


ギターの表情

2018-01-29 22:57:51 | GUITARS

許容範囲というものがありますが市場に出ているそれなりのストラトキャスターはメーカー問わず良い音がするものです。マニアックな楽器店がスピリチュアルな付加価値を付けるために「鳴る、鳴らない」などというフレーズを語りますが弾き手の好みのトーンかということが重要です。パーツの集合体のストラトではその取付状態で弾き心地は180度変わりハイエンドのストラトでも評価は今一つということも多いです。

ネックグリップの違いやボディ重量等で様々な表情を見せるのがストラトですがその中でトーンに一番影響を与えるのがピックアップ。最近だとコイルやマグネットのパーツまでも当時のマテリアルで作り上げた究極なモディファイPUまで登場。80年代初期のフェンダーカスタムショップのピックアップはまだレギュラーの純正品でした。なのでビンテージと現行品の音の差は歴然でしたが今は力が抜けた古いピックアップよりハイエンドモディファイのほうが安定性はあります。マグネットにコイルを巻くシンプルな構造だけに50年代のような手による加工の精度でトーンのバラつきが出やすくマシン加工は当然の流れでした。ビンテージギターの様々なトーンは経年変化よりこのピックアップ製造の不安定さによるのも大きいでしょう。50~70年代にかけてのフェンダー社でのピックアップの製造工程の変化はなくレシピ―も同じなのに時代によってトーンが変わるのが製造時のバラつきとギタリストの追い求める音のイメージがそれを複雑にしています。60年代後半のヘンドリックスからワンストリングスガイドのラージヘッドをファットなイメージにとらえてしまいがちですがスモールヘッド時期とは製造工程・方法は同じなのです。当時は周辺機器も含め時期によって意図的にトーン設定を変える必要も有りません。

さてこの55年製ストラトに新しいネックを取り付けて1年経過しましたが再度設定してみます。ネックは硬くシェイプがファットにジョイントもよりタイトになった分モダンなトーンの質感も。これはこれでいいのですがトラッドさを強調するにはフローティングしたブリッジのテンションを緩くすると倍音成分が持ち上がります。ネックポケットが浅めな50年代のストラトはピックアップのアジャスト幅が広いので微妙なPUバランスが可能。出力の低いピックアップになるほど弦とポールピースの距離調整でかなりのトーンの違いを作ることが出来ます。これは好みですがザラついたクランチするチューブアンプでストラト特有のセンターPUを中心にチューンしていくのがいいですね。

トールDポールピースの55年製PUは現行のビンテージモディファイPUより出力は控え目ですが倍音成分は多くチューブなクリーンからクランチまでの設定がオイシイポイントです。独特な各PUのキャラクターが突出せずセンターPUにトーンがよってくる雰囲気。しかし、ストラトサウンドは鈴鳴なビンテージトーンが全てではありません。少しファットな出力でアタックにすくい上げるバイト感がついてくるブルーストーンも外せませんがそれだけ全ジャンルに対応するギターがストラトの奥深さなのでしょう。しかし、ビンテージモディファイのピックアップを追及すればするほどEMG・SAの工業製品としての完成度の高さを感じます。


PRS SE Bernie Marsden チューンナップ4 完成

2017-12-07 12:07:02 | GUITARS

多少放置気味でしたがやっと完成です。ストラトと違いタイトなキャビティでの単線使用は大変です。細い単線で何度も位置決めをしていると折れやすいのでダブルでツイスト加工するとハンダ接合部分が太くなりシングルの太い単線より柔軟性があり強度も出ていい感じです。音には大きな変化はありませんがノイズが少なく太くラウドになる気分が味わえます。深いキャビティでもレスポール位面積があればいいのですがこの細長い形状は別のプレートである程度配線してからトグルSW、PUからの結線をして定位置に沈みこませる方法ですが収まりつかせるのに一苦労です。

搭載したPRS DRAGONⅡはロータリースイッチ専用のようなタップもできる3コンダクター。そのためひじょうに細いデリケートなケーブルなのでポット結合前に単線ケーブルに変換しています。タップ用の赤いケーブルは絶縁しレギュラー配線で。PRSの3芯以上のPUはリアとフロントでホットとグランドが逆になっているのが要注意。やっとの思いで完成後、センターポジションでフェイズになっていて驚くこともあるので慎重に。ドラゴンⅡ純正のリアPUの高さ調整ビスが短く、ローアクションでのPUの高さが低く設定出来ないので長いタイプに交換です。実際付けてみないとわからないポイントがチューンナップにはつきもの。

さて、サウンドは狙い通りのラウドなレスポールでビンテージの質感を残しながらもハイパワーなタッチ。DRAGONⅡのハイパワーなリアPUはゲインというよりクランチ感に設定してあるトーンなので数値上の直流抵抗ほど出力差を感じず、センターミックスもスウィート。ピッキングのアタックに絡みつくバイト感を強調するミッドレンジにポイントを持ってきたPRS独特なトーン。ドライブしたシングルノートがオイシイようにセッティングされていますがギターのボリュームを絞るとPAF系のビンテージに変化するところは考えられていますね。ハイエンドですがビンテージを追及し過ぎて非力で腰が無くキンキンするハムバッキングPUが多い中、どんな環境でも裏切らない安心感がこのDRAGONⅡ。レスポールサイズの厚いマホガニーでドッシリとした4.2kgの重量がより粘る濃厚なミッドレンジのシングルノートを生み出します。同じシングルカットのSEはカスタム直系の薄いボディの3.5kg。こちらはPUがダンカン59なので一概には言えませんが軽いシャープな印象です。同じDRAGONⅡ搭載のカスタム22も3.4kgとライトウエイトなのでバーニーマースデンモデルと比べると音は明るめのSGライクです。ギターはそれなりの適正重量が必要で特にアンプリファイドでいく場合トーンに与える影響は大きいです。どちらが良いか悪いかではなく、好みのトーン、ディストーション、身体に対する影響等評価は様々。ここが面白いところです。

からだにやさしいのですが最近のライトウエイトレスポールにあまりいい印象が無いということはマホガニー&メープルのギターはそこそこの重量が必要だということかもしれません。昔所有していた80年代のカスタムは4.7kg以上ありましたがサウンドは抜群に良かった記憶が。ギターは手放さないことが一番です。後悔先に立たず。