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Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

PRS SE Bernie Marsden チューンナップ3

2017-12-04 11:34:53 | GUITARS

PREバーニーマースデンモデルのチューンナップ第3弾はパーツ選定の巻。なかなか組み立てが進まないのはアジア規格とUSA規格の違いが原因。形状違いをマッチさせるためにボディやパーツ加工の下準備が重要になってきます。径を広げたりが大半なのですが。

一時期ビンテージコンデンサーにハマった時期がありコンデンサーチェッカーを自作していろいろと嗜みました。ビンテージ故のメリット、デメリットが音としてはっきりと確認出来ましたがこのおかげで楽しみも半減した記憶があります。そんなコンデンサーチェッカーを再度引っ張り出し現行モノのアタリを探したらまた新たな発見です。決まりはありませんがPUはハムバッカーなので定番の値の0.022μF。レスポールをモディファイしたモデルなのでビンテージライクとも思いましたが、選んだPUがドラゴンⅡなので現行のモダンアプローチでいきます。フロントPUのトーンを絞ってもゲインやアタックが下がらずメローになるトーンでは今のところデンマークメイドのオイルペーパーの「JANSEN」がナンバー1。トーン、ルックス共に最高ですが何せ高額。シングルPUもハムバッカーPUもこれを搭載することで完結しますが今回は別なアイテムも探ってみます。最近はビンテージコンデンサーのトーンを復刻させたレプリカやギター用に特化した新モデルも多く出ていてどれも気になります。アタリハズレの多いビンテージに手をだすよりも断然オススメ。音が良くてリーズナブルでビンテージマスタードをリイッシュしたSOZOブランドも最高です。迷ったときはオレンジドロップといわれるくらい有名なのがこのポリプロフィレンフィルム。この分野でのハシリのアイテムですが、写真はビンテージ。現行品と比べても遜色はありません。そんな中で見つけたのがフランス製の黒いヤツ。Solenブランド、Fastアルミニウムメタライズドポリプロピレンフィルム。耐圧は1000Vなので真空管アンプなんかにベストなアイテムですがハムバッカーに使うと最高です。トーンを絞っても逆にゲインが増すような質感。アタックと粘りでシングルノートに存在感を与えます。価格も手ごろで大きさもポットの上にハマるちょうどいいサイズなのでバーニーマースデンモデルにはこれで。

配線材は単線の現行ベルデン8530やUSA Remington Industriesで。トグルスイッチはスイッチクラフト。ボディーに直接マウントなので取り付けネジの長いショートタイプが無難ですが昔からのタイトなスイッチングのロングタイプでいきます。純正のネジだと距離が足りないのでディープトグルナットを使います。ディープトグルナットはワッシャー部分が上部にせり出すので純正インチノブだと径が大きくスイッチが入りきらずセンターポジションに落ちてしまう弊害があります。外周の径が幾分細いセンチサイズノブがギリギリな感じです。指に痛いですがノブ無しトグルSWなら問題ないですが。ロングタイプの接点プレートは厚いワンピースなので固めの質感が味わえ、ショートタイプの接点は薄い接点プレートを2枚重ねなのでソフトなスイッチングができます。こればっかりは好みですけどね。

ヴォリューム・トーンのスピードノブは純正のモダンなアンバーをやめてエンボス文字のビンテージタイプ。機能的にはストラトノブに続くベストな形状がスピードノブだと思いますがこのデザインは素晴らしいですね。レトロなのかモダンなのか。ギブソンスタイルのギターにしかマッチングしない汎用性ゼロのスタイル。ポットはCTSのカスタム500k・Aカーブとスイッチクラフトのミルスペックジャックはいつものパターンです。


PRS SE Bernie Marsden チューンナップ2

2017-11-15 11:55:20 | GUITARS

PRS SEバーニーマースデンモデルの組み立てです。いつものことながらSEの純正ポットはセンチ規格なのでインチCTSポット用に穴を広げます。棒ヤスリで軽く摩る程度で丁度いいくらいなのでやり過ぎに注意。気分的に削ったところにサンディングシーラーを塗ってコンディションの変化を防ぎます。ピックアップはEMGも視野に入れましたがやはりPRSの代表的アイテム、ドラゴンⅡのコンビネーションで。ビンテージなPUもいいですがトラッドな風味もありつつシングルノートでガッツのあるヤツではやはりこれですね。ファットでディストーションに照準を合わせたようなトーンでもヴォリュームコントロールでザラついたクリーンにもなります。純正のエスカッションにも寸法はバッチリでジャストフィット。

現行はわかりませんがSEシリーズのナットのエッジ処理は何故か施されていませんので左手に妙なひっかかる違和感を感じられます。USAのラインのように両サイドのエッジを丸く加工して滑らかに。ついでにフレットサイドの角のバリもとります。この辺りの処理はこのクラスではトップなのですが流石にザラつく箇所はいくつかありますね。

ギブソンやフェンダーのように歴史が生んだビンテージがある巨大メーカーは新しいモデルをリリースしてもなかなか賛同するギタリストは多くありません。奇抜なモデルも出せば全て当たった50~60年代と違い今は難しい時代です。ハイエンドモデルは昔の焼き直しにレリックを加えるかシグネイチャーのスタイルかの老舗メーカーは最新モデルを生み出せないジレンマに悩まされます。次第に販売数が低下して会社自体M&Aにさらされジリ貧化と復活を繰り返すのが今までの流れ。小規模な工房系のハイエンドメーカーの品質は素晴らしいですが販売価格と安定性に疑問が出る場合が多い。そのあたりでPRSは規模、品質、安定性が優れていますが完全なオリジナリティという点では老舗メーカーが生み出したスタイルのいいとこ取りな雰囲気も。しかし、そのビンテージやトラッドの風合いが現行のオリジナルモデルでも味わえるというのがこのメーカーの強みかもしれません。また、創業者がいまだに在籍しているのがブレない所以かも。フェンダーやギブソン等のビックメーカーはアジア製ビギナークラスと本国性ハイエンドとのクオリティの差が大き過ぎます。これだと程よい売れ筋の中級機種が無いため結局販売量の低下を生み出してしまいます。PRSは初級、中級をこのSEでラインナップしているようで販売量もあり毎年新たなバージョンも安定的にリリースしていますし品質も安定。しかし、PRSも中級機種がありません。ギターメーカーはハイエンドとビギナークラス2本立てというのが一般的ですが、それは市場をよく見ていない証拠で衰退するパターンなのかもしれません。巨大なメーカーになればなるほど商品群のバリエーションがシビアになってきます。その設定を間違えるとブランド消滅というのがよく聞く話です。


PRS SE Bernie Marsden チューンナップ1

2017-11-06 22:38:27 | GUITARS

少し放置気味なPRS・SEバーニーマースデンモデルですがパーツもそろったところなので組み立てを始めます。オリジナルパーツを外してみても木工の精度はかなり高いですね。なんとなくディープジョイントがわかるネックポケットやキャビティにも導電塗料がちゃんと塗られています。毎回なのですがアジアンSEはセンチサイズのパーツを使っているのでボリュームポットの穴をCTSにする場合大きく広げないとならなく、ひと手間加わります。純正のバーブリッジはアルミ製の軽量タイプでビンテージトーンを狙っているようですね。ブリッジスクリューは本家PRS程の精度はありませんがかなりタイト。PUキャビティから見えるタイガーストライプのべニアは薄いですがその下にしっかりとしたメイプルがマホガニーの上にラミネートされているのがわかります。品のある太めのワイドファットネックと245スケールは現行のリアルレスポールモディファイのきっかけのモデル。現在は既にバーニーマースデンモデルの生産は完了していますが同じ仕様はSE245に受け継がれています。

好みもありますが10万円以下のビギナーからスタンダードクラスまでのクォリティではダントツのSE。ルックスに重点をおいたり、ビンテージを意識しすぎたり、きいたことのない材料でコストダウンをしているギター等もありますがそんな中では素材、価格、スタイルも王道を行く存在のSE。レギュラークラスのカスタム、マッカーティー等の価格設定が現実的ではないのでSEが安く感じるのかもしれませんが80年代の国産ハイエンドギターと比べても確実に上をいっている感があります。

本家ギブソンではメンフィス工場の売却や負債の増大、音響メーカーの買収等迷走を繰り返しているようです。M&Aを繰り返すアメリカ的経営方が我々ギターマニアの聖域メーカーまで怪しくさせているようで予断を許せません。我々からするとアメリカといえばギブソン、フェンダーとなるくらいの聖なる象徴ですがビジネス的にはアップルなんかとは比べ物にならないくらい小さいのでしょう。驚く値段のハイエンドモデルは日本のマニア向けで本国や欧州のギタリストはみんなアジア製でいい音を出しています。「メイドインUSA」にほかならぬイメージを持っている日本のギターマニア向けの限定的な商品群がヒストリックやマスタービルド、プライベートストック等のハイエンドモデルなのでしょう。

とはいっても本家のビンテージに限りないコンプレックスを持って再現していたジャパンメイドも技術が成熟したのが80年から90年代のごくわずかでそのままアジアに生産がシフトしていき、今ではいろいろな業界で詐称疑惑の問題になっていてもしょうがない気がします。しかし、今のアメリカを見るとメイドイUSAにこだわるのはギターくらいなのでしょうね。USAメイドのiphoneや車は逆に胡散臭い気が。先進国での生産とは職人の工房的生産で価格は言い値で不安定、アジアや東欧生産が高品質で低価格、品質安定でトラッドなんていう時代に確実に突入しています。


Teisco スペクトラム5 やっと完成

2017-09-20 20:17:04 | GUITARS

スペクトラム5の配線スイッチ改造を試みてほぼ一カ月。チューンナップをしながらそのギターの本質が次第にわかってきました。普通はピックアップからのケーブルをポットやスイッチでまとめるのですがこのスペクトラム5はスライドスイッチにすべてが集中していてそれが最大の難所。オリジナルにあった独特の小さなトランスを撤去し3ピックアップをフルに使えるようにレイアウトしたのが問題の始まりです。複雑なスライドスイッチは代替パーツが無いのでスピーディーにハンダ付けをしないとすぐポストが熱で不安定になります。このギター専用のスイッチなのでコストは意外とかかっているかもしれません。ポストの穴も小さく、3本の結線があったりなので細い単線を使いますがかなり難航。

ワイヤリングのレイアウトは6個あるシングルコイルをそれぞれペアでまとめて通常のPUのようにセッティング。5個のスライドSWはフロントPU、センターPU、リアPUを単独で出力、全部をシリーズ配線、リアPUとフロントPUのミックスシリーズの5パターン、それぞれ隣のスイッチを同時に押すとハーフトーンとストラトとテレキャスターが融合したハイスペックなスイッチになりました。最初に250kΩのポットに配線しましたが膜が張ったボケたストラトサウンドになったのでボリューム、トーンともに500kΩに交換。するとブライトでクリスピーなビザール臭を残した質感になります。ポットの抵抗変更は地味なチューンですが効果絶大です。しかし、トーンが全く反応しない状況になりポット不良と思いきや正常。そこでピックアップの直流抵抗を測ると0.07kΩと通常のピックアップの100分の一という値。要するに強い磁力のマグネットにコイルの巻き数はチョットだけという仕様。専門サイトではテスコのこのPUは400ターンと書かれているのもあり、フェンダーの20分の1程のターン数。この当時の日本での製造過程ではこれでターン数や巻形状でのトーンのバラつきを最小限にして強いフェライトマグネットと小さなトランスで出力を安定させる狙いだったのでしょう。

その極限にまで少ないターン数のPUの弊害でトーンに使用するコンデンサーの値では機能しなかったのかもしれません。100倍の2.2~4.7あたりの電解コンデンサーだとしっかりトーンポットとして動きます。しかし、電解コンデンサーはカッコいいコンデンサーがありません。ルックス良くても大きすぎたりトーンが今一つだったりでしたが実際にセレクトしたのはどこでも手に入るニチコンの2.2ufの電解コンデンサー。3.3uf以上だとゲインも下がってしまうので2.2ufが芯も残ったままマイルドでちょうどいい感じです。難点はこの電解コンデンサーだとトーンが最後に急激に効いてくるので微調整が難しくBカーブでもほとんど同じ効き具合。ポットの抵抗値がまだミスマッチなのかは今後の課題です。このギターには特にトーンを絞ることはまれなのですが正常に機能することが大前提です。また、ギターに美味しいトーンポット用コンデンサーは外見や価格が全くと言っていいほど音質と一致しません。ビンテージもいいですが最近のギター用に作られたチョット高額な洒落たコンデンサーはボラれ感満載ですが安定度合いもありトーンもいいので好きですね。

時代を感じるオリジナルスペクトラム5の個性の一つのステレオアウトは今回廃止しました。今回の5wayスライドスイッチでは全てオフではアースが浮いている状態なので新しいスイッチでon-off仕様に変更し接触不良も改善。配線材はおなじみのWEのビンテージ単線でハンダはアルミット。

元ネタは60年代フェンダーなのでしょうが独特のオリジナルなアプローチとこのモデルだけの特殊ピックアップ構造からテスコの強い意気込みが感じられます。ストラトキャスターのようですが一歩手前の刺さるトレブル感が太く感じられ新しい雰囲気。しかし、60年代当時このモデルを出した後にテスコが衰退していったということで起死回生を狙うより最後のご褒美的なギターがこれだったのでしょう。


Teisco スペクトラム5 ネックメンテナンス

2017-08-24 10:29:04 | GUITARS

以前に軽くメンテナンスしたのですが今回はキッチリとフレット調整します。スペクトラム5のネックポケットにシムを仕込み低いアクションに設定するとどうしてもこの手のギターのフレット処理が悪いのに気づきます。特に10フレットより高い側の乱れが目立ち、製造されてからちょうど20年目に入るのでメンテするにはいい機会です。また、フレットサイドはネック痩せしていないのにサラッと削っただけなので指に引っかかります。フレットエッジを少しまろやかにするだけで雰囲気がガラッと変化します。またビザールによくあるゼロフレットも経年変化で溝ができてチョーキングのたびにキンキンと溝から弦が外れるノイズが出ます。ゼロフレットは他のフレットよりも高くジャンボなので溝が無くなるまで研磨できますがやり過ぎるとナット部分でのビビりを発生させますのでほどほどに。

ネックは意外とタフに作られています。3ピースメイプルに硬いローズ指板でネックの重量もあります。弦を外しても状態があまり変化しない程頑丈ですね。この97年リイッシュのスペクトラム5は60年代後半、本家テスコを吸収したカワイ楽器が製造で当時のオリジナルよりガッチリと作られている感じもします。60年代オリジナルのテスコ製スペクトラム5を弾いたことはありませんが他の当時のオリジナルテスコと比べると重厚な感じです。カワイ楽器は2000年に入ってからはギター生産から撤退しているようなので現在の復刻スペクトラム5はアジア製造の可能性がありますね。

いろんな意味で他のギターパーツの流用が無く新たに型を起こしてパーツを作った可能性もあるので意外とコスト高のギターです。パーツを外したボディも軽いカスカスのラワンというより重量があるマホガニーに近い雰囲気で鳴りも明るくサスティーンも豊富。あの独特の板バネでサスティ―を減少させていますがダイレクトなブリッジだとヘビーな音がしそうな雰囲気がありますね。