はなかげ おとかげ

日本画家・書家 足立正平のブログです。

年末の個展

2012年01月05日 | お知らせ(展覧会)

昨年末の個展

京橋のアートスペース羅針盤にて。

10月の鎌倉での個展を踏まえ、「おとづれ -境ー」というタイトルで行った。

テーマについては鎌倉の回で触れたので詳細は省くが、短く言うと色や形、数字などでは掬えない「おと」=「神の声」(前回参照)を墨で譜面に起こそうと試みたのが「おとづれ」。

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そしてそんな「おと」を聞きうる場所として描いたものが「境」。

よくみれば「境」という字にも「音」が隠れているではないか・・云々という文章を展示に際し書いてもみた。

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そんな「境地」がどんな場所か?

陶淵明が1500年以上前に想像した桃源郷のような場所だろうか?

メモのように書き留めた陶淵明の「桃花源記」を「ノート」と題して出品したら、とある評論家に噛み付かれてしまった。

「君は陶淵明の『人となり』をどれだけ知っているんだね?」

『人となり』・・・?

そんなもの知っているわけがないから「知らない」と答えると、今度はひどい剣幕で

「陶淵明は君が考えるより遥かに高尚な人物だ。私はよく知っている!」

と強く断言されてしまった・・

だが僕はこの言葉を大いに不審に思った。

陶淵明といえば東晋、書聖 王羲之とほぼ同時代・・どんな専門家であろうと1500年以上前の人間の人となりを「よく知っている」と断言することが可能だろうか・・・

ふとこの数年お世話になっている美術史家のX先生のことが頭に浮かんだ。

X先生が僕の絵についておっしゃるひと言ひと言は、どういうわけか僕にはひどく響いてくる。

X先生には口癖がある。

「私は歴史屋だから現代のものは見ないんです。客観的に見れっこないから・・。」

現代は見ない、と言いつつも、いつも僕の心まで的確に見透かした評論をしてくださる。

もちろん響いてくる、と感じている自分の感覚が正しいわけではないが・・

何が正しいのかは誰にもわからない。

今回の展示を通じて、ただ「求める」姿勢だけは失わないでいようと強く思った。

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「求」・・・剥ぎ取った獣の皮の形。

この獣の持つ霊力によって祟りを祓い、望むことが実現するよう求めること。

うわべの知識や小手先の技を剥ぎ取ってしまい、はらわたをさらけ出して成長していきたい。



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