アセラ農薬部ブログをご覧いただきまして、ありがとうございます。
通常、定期的に配信しております農薬通信が遅れての配信となりました事、深くお詫び申し上げます。
今回配信する農薬通信は水稲用除草剤の新剤となります。
|||||||| 新・水稲用 初中期除草剤「天空」 ||||||||
水稲除草剤「天空」は日産化学工業株式会社が開発した有効成分メタゾスルフロンを含む4成分配合の製剤です。
2013年より農薬登録を取得した新成分メタゾスルフロン「アルテア*」は次世代のALS阻害剤といわれ、従来のALS阻害剤では防除しにくくなったSU抵抗性雑草に対しても有効で、幅広い草種の水田雑草に対して優れた効果を発揮することから、いくつかの商品が販売されています。
「アルテア」剤として農薬通信2016年4月号の水稲用初中期除草剤「銀河」、2017年6月号の水稲用中後期除草剤「ゲパード」を紹介していますが、新たに販売された初中期除草剤「天空」を紹介します。
製剤は1キロ粒剤、ジャンボ剤、フロアブル剤があります。
多年生雑草の地上部だけでなく、地下部も抑える除草成分「アルテア」配合。しかも「ノビエへの効果持続力」「SU抵抗性広葉雑草への効果」どちらも強化されました。
*アルテアはメタゾスルフロンの愛称です。
※ALS阻害剤とはアミノ酸合成に関与するアセト乳酸合成酵素を阻害して除草活性を示す剤で、一般的に知られているのがSU剤(スルホニルウレア)です。
◎アルテアの代表的な草種別除草効果 メーカー試験
|
ノビエ |
クログワイ |
コウキヤガラ |
ホタルイ* |
コナギ* |
広葉* |
ウリカワ* |
セリ |
従来型ALS阻害剤 |
△ |
◎ |
◎ |
— |
— |
— |
— |
◯ |
アルテア(新ALS阻害剤) |
◎ |
⚫︎ |
⚫︎ |
⚫︎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
*SU抵抗性の場合、感受性の場合は従来型ALS阻害剤でも十分な効果が期待できます。
⚫︎:非常に効果高い ◎:効果高い ◯:効果あり △:効果やや低い —:ほとんど効果なし
特長
◇ SU抵抗性雑草もしっかり枯らし、ノビエの後発生も長期にわたって抑えます。
◇ 翌年の発生要因となる多年生雑草の地下部も抑える。
◇ 田植同時散布にも適した、新しいアルテア剤です(1キロ粒剤)。
製剤 |
有効成分 |
容量 |
||
フェントラザミド |
ベンゾビシクロン |
メタゾスルフロン |
||
1キロ粒剤 |
3.0% |
3.0% |
0.6% |
1kg |
フロアブル |
6.0% |
6.0% |
1.2% |
500mℓ |
ジャンボ |
10.0% |
10.0% |
2.0% |
300g |
[1キロ粒剤]
適用雑草と使用方法
適用作物 |
適用雑草 |
使用時期 |
10アール当り 使用量 |
本剤及びそれぞれ の有効成分を含む 農薬の総使用回数 |
使用方法 |
移 植 水 稲 |
水田一年生雑草 及び マツバイ ホタルイ ウリカワ ミズガヤツリ ヘラオモダカ ヒルムシロ セリ オモダカ クログワイ コウキヤガラ シズイ アオミドロ・藻類による表層はく離 |
移植時 |
1 kg |
本剤 1回
ベンゾビシロン剤 2回以内 フェントラザミド剤 1回以内 メタゾスルフロン剤 2回以内 |
田植同時散布機で施用 |
移植直後〜 ノビエ3葉期 ただし、移植後 30日前まで |
湛水散布又は 無人ヘリコプターによる散布 |
[フロアブル]
適用雑草と使用方法
適用作物 |
適用雑草 |
使用時期 |
10アール当り 使用量 |
本剤及びそれぞれ の有効成分を含む 農薬の総使用回数 |
使用方法 |
移 植 水 稲 |
水田一年生雑草 及び マツバイ ホタルイ ウリカワ ミズガヤツリ ヘラオモダカ ヒルムシロ セリ オモダカ(ヘリコプター除く) クログワイ コウキヤガラ シズイ(ヘリコプター除く) |
移植後3日〜 ノビエ3葉期 ただし、移植後 30日まで |
500mℓ |
本剤 1回
ベンゾジシクロン剤 2回以内 フェントラザミド剤 1回以内 メタゾスルフロン剤 2回以内 |
原液湛水散布又は無人ヘリコプターによる滴下 |
[ジャンボ]
適用雑草と使用方法
適用作物 |
適用雑草 |
使用時期 |
10アール当り 使用量 |
本剤及びそれぞれ の有効成分を含む 農薬の総使用回数 |
使用方法 |
移 植 水 稲 |
水田一年生雑草 及び マツバイ ホタルイ ウリカワ ミズガヤツリ ヘラオモダカ ヒルムシロ セリ オモダカ クログワイ コウキヤガラ シズイ |
移植後1日〜 ノビエ3葉期 ただし、移植後 30日前まで |
小包装 (パック) 10個 (300g) |
本剤 1回
ベンゾビシクロン剤 2回以内 フェントラザミド剤 1回以内 メタゾスルフロン剤 2回以内 |
水田に小包装(パック)のまま投げ入れる |
多年性雑草・藻類に対する散布適期
雑草名 |
1キロ粒剤 |
フロアブル |
ジャンボ |
ホタルイ |
3葉期まで |
3葉期まで |
3葉期まで |
ウリカワ |
2葉期まで |
||
ミズガヤツリ |
3葉期まで |
||
ヘラオモダカ |
|||
ヒルムシロ |
発生期まで |
発生期まで |
発生期まで |
セリ |
再生始期まで |
再生始期まで |
再生始期まで |
オモダカ |
ヘラ葉期まで |
ヘラ葉期まで※ |
ヘラ葉期まで |
クログワイ |
草丈10cmまで |
草丈10cmまで |
草丈10cmまで |
コウキヤガラ |
|||
シズイ |
草丈10cmまで※ |
||
アオミドロ・藻類による表層はく離 |
発生前 |
− |
− |
《効果・薬害等の注意》
○ オモダカ、クログワイ、シズイに対しては、必要に応じて有効な後処理剤との組み合わせで使用する。
○ 移植前後の初期除草剤による土壌処理との体系で使用する場合には、雑草の発生状況をよく観察し、時期を失しないように適期に散布する。
○ 浅植え、浮き苗が生じないように、代かき、均平化及び植付作業はていねいに行う。未熟有機物を施用した場合は、特にていねいに行う。
○ 散布に当たっては、水の出入りを止めて湛水状態のまま本剤を水田全面にゆきわたるように散布し、少なくとも3〜4日間は通常の湛水状態(水深3〜5cm)を保ち、散布後7日間は落水、かけ流しはしない。
○ 下記のような条件では薬害が発生するおそれがあるので使用をさける。
① 砂質土壌の水田及び漏水の激しい水田(減水深2cm/日以上)
② 軟弱な苗を移植した水田
③ 極端な浅植えの水田及び植付け不良で根が露出している水田
○ ジャンボ剤を使用する場合、パックに使用しているフィルムは水溶性なので、濡れた手で作業したり、降雨で破袋することのないように注意する。
○ 本剤はその殺草特性から、いぐら、れんこん、せり、くわいなどの生育を阻害するおそれがあるので、これらの作物の生育期に隣接田で使用する場合は十分注意する。
○ 本剤散布後の田面水を他作物に灌水しない。
○ いぐさの栽培予定水田では本剤を使用しない。
○ 本剤の使用に当たっては、使用量、使用時期、使用方法などを誤らないよう注意し、特に初めて使用する場合や異常気象時は、病害虫防除所等関係機関の指導を受けることが望ましい。
○ だいず、あずきにかかると葉に薬害を生じるおそれがあるので、かからないように注意する。
○ 蚕に対して影響があるので、周辺の桑葉にはかからないようにする。