森下亮のアメイセンソウ

思い込みならしょうがない

佳境院典明

2017-04-04 | Weblog
毎日新聞(大阪版)にインタビュー記事を載せて頂きました。
こんな大きく取り上げて頂くなんて有難い限り。

「奥さま」稽古はスタジオ入ってのクライマックスシリーズ。
毎日が天王山。

今日もなんだかヘンテコなのにやたらグッときちゃうシーンが出来上がり、
稽古場はやたら盛り上がっております。

今回のクロム稽古で青木さんが言った言葉たちは箱に入れてしまっておきたいやつだらけ。
毎日感じた肌触りをそのままお客さんに届けたい。


さて、ではここでFacebookに載っている
青木秀樹インタビュー記事をご覧ください。

Facebook記事だけにしておくのはもったいないのでがっつりご紹介。

クロムを観るならデヴィッド・リンチもね。




>>>デビッド・リンチ的

ー今回の作品の見所を教えて欲しいのですが

青木秀樹 そうですね 相変わらずのデビッド・リンチっぽい感じですかね

ー過去のクロムの作品を語る時も青木さんの言葉によくデビッド・リンチっぽいという言葉が出てきますが、最近はそんなに映画作品を撮ってないリンチ監督のことをあまり知らない人もいるだろうし、もう少し突っ込んだ形でどのあたりがリンチ作品に似てるのか、青木さんが影響を受けたのかという点を聞かせてもらえないでしょうか

青木 もうすぐ「ツインピークス」の新作が発表されるらしのですが、90年代にリンチがテレビ作品として撮った「ツインピークス」はカルトなブームを巻き起こし、当時開局したWOWWOWに加入する目玉作品だったと記憶しています。その頃は「ワイルドアットハート」でカンヌ映画祭のグランプリも取ってますし映画ファンに強烈な印象を与えています。内容が解りにくい作品が多いのに人気があったところに憧れました。

ーそうそう、その解りにくいところがなんだかクロムっぽいのかなとも思いますが

青木 例えば「マルホランドドライブ」とかがいい例なんですが、夢や妄想が入り交じるくせにどこからが夢でどこからが現実かをハッキリと描いてないあたりが観る側にも妄想させてくれるというか、感じたり考えたりさせて貰える、そういう部分が好きですね。

ー答えがあるわけでは無く、観客一人一人が色々答えを出す感じですか

青木 スタンリー・キューブリック監督の遺作「アイズ・ワイド・シャット」もそのタイプですね、原作は「夢の話」だから夢の部分があるはずなんですがそうは描いてない、でも主人公が夜通し彷徨う部分は夢だと解釈すれば倍面白く観れる。でもそうだとは言い切ってない。

ークロムでも妄想部分は多いですよね

青木 ドラッグのイメージに取り込まれるとか、映画の劇中劇、催眠術の中、脳内ダイブ、など手を変え品を変え提出してきましたね
ここからが妄想ですよと分かりやすく演出したものもあればハッキリさせないタイプもありました

ーそういった作風を好む原点というか原風景というか、きっかけみたいなものはあるのですか?

青木 あんまり無いタイプというのがまずありますね。あんまり無いでしょうどこからが妄想か教えてくんない作品とかって。あと現実の辛さに立ち向かって打破していくという作品で元気を貰って家路に付くというのも嫌いじゃないんですが、妄想ものというのは現実逃避なんですよね、現実から逃げる卑怯者が自分と合ってるというか、逃避でもあるけれど、現実を別の見方をすれば違った楽しみにも変えられますよというか。

ー別角度から現実を見る、妄想を膨らませるという戦いなんですね

青木 そうですね、クロムをやってたり、作品を作ったりというのはここでは無い別の世界を作りたいということですからね。もう一つの世界、もう一つの芸能界、もう一つの自分みたいな。その妄想は現実離れした不条理みたいな世界に行き着くんですが、普段の常識の現実のというものを疑って掛かるというか、逆行してみるというのはとても楽しいなと思います。

ー例えば?

青木 今回の作品にも出て来る台詞なんですが「身体だけが目的の女」という言葉は失礼だなと常識では思いますが、よく考えてみれば身体が目的にされる女というのはどれだけいい身体をしてるんだ凄いルックスをしてるんだってことじゃないですか?女性にとっての褒め言葉じゃないかと思うのですよ

ーそうは思わないですが、そういう風に考えをちょっとずらしてみる楽しさということですね

青木 そうそう、何故女の人はスカートを履くのだろう、パンツを見られたく無いならスカートを履かなければいいじゃないか、男はパンツを見られても平気、でもズボンを履く、何故女の人はスカートを履くのだろう
そういうことです

ーセクハラな例えが多いですね

青木 嫌いじゃないもので。今回の作品などは「結婚制度」って本当にいるのかなって感じてもらえればいいですね。

ー先ほどのここではない別の世界を作るという考えはいつからですか?

青木 うーん 高校の時かなあ 別に珍しい考えでは無いのですよ
例えば田舎で燻ってる若者が、いつか都会に出て勝負してやるというのもある意味、ここでは無いどこかでしょうし

ーそれならここからの逃亡というより、自分の世界を広げるという意味になりますね

青木 そうですね、ここでは無い世界を作るというのは ここでは無いどこかを求めるのでしょうねえ
例えば普通に生きてればテレビがあったり、街の広告があったりして ヒットソングが流れて来たり、CMソングが聴こえてくる
そして今の流行が襲いかかって来る 何もしなくてもそういうものが自分を取り巻いてくる そこに巻き込まれずに、自分で別の所に何かを探しに行く
すると流行ってなくてもいいものもある インディーズの音楽に出会える 更に海外に興味を持てば まずアメリカやイギリス
それに飽きたらアフリカや南米やアジアや色んな音楽が聴こえて来る 家でぼうっとしてると絶対出会えないものにも出会える 演劇なんて絶対それだし
映画でも話題になってるから観ておこうじゃなくて、自分から探したいし

ーここで流行ってるものではないもの 自分で見つけたもの

青木 ユーチューブなんかで昔の物を観てると、丁度中学生までのころってのは自分は普通の中学生だったんだなあって分かるんです
スポーツが好きで普通の流行歌を聴いててみたいなね でも変なものが好きになって来るのは高校生のころからですね それがユーチューブで分かる面白さ

ー他にはデビッド・リンチ作品はどこがお好きですか?

青木 「イレイザーヘッド」は全ての映画に先駆けてノイズを使用したところがいいですね、気持ち悪い赤ん坊が出て来るのですが、どうやってあの赤ん坊を作ったのかというネタばらしを一切しないのも気持ちいい。「ブルーベルベット」は右の耳から入って左の耳に抜けるまでの話という構成が面白いし、50年代の歌や雰囲気が夢夢しくそれが悪夢に変わるところが好きです。「ロストハイウェイ」の主人公が別の人間になるとんでもない展開に付いて行けないところが最高です。

ー何だか無茶苦茶な監督ですね ネタばらしや解説をしないところが観客があれはどうなんだこれはこうだという論争を巻き起こしたりするんですね。最近の監督で気になる監督は居ないのですか?

青木 いつまでもデビッド・リンチでもないだろうと私も思うのです。それでニコラス・ウィンディング・レフン監督作品を観たりするのですが、何かもの足りないのですね。

ー「ドライヴ」の監督ですね

青木 「ドライヴ」も良かったんですが、その次の「オンリーゴッド」が狂ってて、「ネオンデーモン」も悪くは無かったのですがまだまだな感じがします。

ーリンチには遠いと

青木 あの頃デビッド・リンチの影響を受けたクリエーターは多いと思いますが、あんまり踏襲する人はいないのかもしれませんね。それに今の二十代では知らない人も多いと思いますので是非若い人にも観てもらいたいですね、それでそういう世界もあるのかと感じてもらいたいです。それまで謎は解くものなんだと思ってたのですが、リンチによって謎は解かなくてもいいんだ、一生もやもやするのもいいもんだと僕らは教えられたのです。

ークロムではそういう世界もあるんだということを演劇でやってるのですね

青木 デビッド・リンチの作品は演劇っぽいとも思います。日本の芝居は色んなタイプがあって面白いと思いますよ。クロムも地続きの話もありますしいつも脳内ダイブの作品ばかりやってるわけではありませんが、やはり妄想芝居が一番クロムらしいのかも知れません。

ー今回の作品は、そっち系だということですか 覚悟しておきます

青木 色々感じてもらえればいいのです。起承転結があって分かりやすい粗筋ではないのですけれど、それでも楽しんでもらえる作品にはしたいと思います。デビッド・リンチの作品もなんだこりゃなんですけど、どにかく楽しめるし格好いいし変態だし面白いのです。そのセンスに憧れました。

続く!!!!

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