A.A.の暇つぶしブログ

暇つぶしの読書と遊戯王の記録

エドガー・ライス・バロウズ『類人猿ターザン』ハヤカワ文庫

2012年01月18日 13時46分14秒 | 読書
名前は知っていても、実際に読んだ事はない名作って結構ありますよね。先日、古本屋の本棚を眺めていたら、ターザンを発見したので買ってきました。

ターザンといえば、映画などでお馴染みなので、誰もがアーアアー!と雄叫びをあげる逞しいジャングルの王者を思い浮かべる事と思います。
また、様々なパロディにも使われました。わたしの世代だと、アニメ「スターザンS」やマンガ「ジャングルの王者ターちゃん」あたりが印象深いですね。
かくも有名なターザンの原作小説を今まで読んでいなかった事に自分でも驚きです。

さて、そんな映画やアニメで大活躍のターザンですが、原作の小説はターザンが生まれる前から始まります。イギリスの貴族の血をひくターザンが、なぜ?どのように野生の中で成長したかが語られます。
そもそも人間の子供が野生動物に育てられるお話は、ロムルスとレムスなど神話の世界ではわりとポピュラーなテーマですし、現実にも野生の狼や猿に育てられた子供の話がありますが、いずれも眉唾物でリアリティーに欠けます。
そんな荒唐無稽な話ですが、誕生から成長する過程をそうして丁寧に描いてくれているので、無理なくターザンという異質な存在を受け入れられます。

映像作品ではあまり掘り下げられる事のない、ターザンの内面の葛藤も小説ならではの楽しみです。
養母たち類人猿との違いに悩み、己が人間である事に気付いた時に誇りを抱き、同じ人間の野蛮な行為を目の当たりにして人間である事を恥じる。複雑な生い立ち故の煩悶が、ターザンには申し訳ないけど面白い。
ヒロインであるジェーンとのすれ違いの恋愛ももどかしくてよかったですね。ターザンは本を読んで独学で英語の読み書きを身につけたものの、英語を話す事ができなかったので、お互いに惹かれあいながら、その気持ちを伝えられないまま突然に別れが訪れる。そして、最後のどんでん返し。意外な結末に唖然とさせられましたね。

バロウズがターザンを書いたのは1912年とちょうど100年前になります。一世紀も前の作品ではありますが、今もなお多くの人を魅了する名作です。ぜひ本屋さんで見かけたら手にとって見てください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする