フランスの詩

宮之森享太 翻訳

忍耐の祭り

2011-07-08 | Weblog

          忍耐の祭り


          1.五月の団旗
          2.最も高い塔の歌
          3.永遠
          4.黄金時代


          五月の団旗

       菩提樹のまばらな枝々に
       猟師の病的な叫び声が消えて行く。
       だが魂の歌々は
       スグリの実々の間に飛び回っている。
       ぼくらの血が血管で笑うがいい、
       葡萄のつるの絡み合いになる。
       空は天使みたいにきれいで
       青空と海はひとつになる。
       ぼくは離れる。光線がぼくを傷つけるなら
       ぼくは苔の上で死のう。

       我慢しても退屈しても
       それはあまりにも単純だ。ちぇっだ
       ぼくの苦労なんか。ぼくは劇的な夏が
       運命の戦車にぼくを結ぶことを望んでいる。
       とてもおまえによって、おお自然よ、
       ― ああ! 孤独や無価値を少なくして!―
       死にたい。それなのに羊飼いらは、妙だが、
       社会によってほとんど死んでいる。

       ぼくは強く願っている、季節がぼくをすり
       減らすことを。自然、おまえにぼくは屈する。
       ぼくの飢えもあらゆるぼくの渇きも。
       そして、どうか、食べさせて飲ませてくれ。
       まったくぼくに幻想を抱かせるな。
       親たちに微笑みかけることだ、太陽にそう
       することは。だがぼくは何も微笑みたくない。
       そして自由であるがいい、この不幸は。

                    5月 1872



         最も高い塔の歌

          無為の青春
          すべてに屈従していた。
          繊細ゆえに
          ぼくは自分の人生を失った。
          ああ! 来てくれ、みんなの
          心が夢中になる時が。

          ぼくは自分に言った、ほうっておけ、
          そして誰にもおまえを見せるな、
          もっと強い喜びの
          約束なしに。
          何もおまえを止めてはいけない、
          厳かな引退だ。

          ぼくはさんざん我慢した
          いつまでも忘れていたいくらいに。
          恐れと苦痛の数々は
          天国に飛んで行った。
          すると病的な渇きは
          ぼくの静脈を暗くした。

          たとえば草原、
          忘却にゆだねられた、
          生い茂り花開く
          香る草と毒麦のある、
          かすかに凶暴な音のする
          百の汚いハエどものいる。

          ああ! 千のやもめ暮らし、
          そんなに哀れで
          聖母に
          似せただけの魂の!
          祈りを捧げるのか
          聖母マリアに?

          無為の青春
          すべてに屈従していた。
          繊細ゆえに
          ぼくは自分の人生を失った。
          ああ! 来てくれ、みんなの
          心が夢中になる時が!

                   5月 1872




              永遠

         見つかった。 
         何が? ― 永遠だ。
         太陽といっしょにいった
         海なんだ。

         見張り番の魂よ、
         告白をささやこうよ
         こんなに無能な夜について
         燃え上がる昼について。

         賛同する人々から、
         ありふれた高揚から
         そう君は解放され
         飛んでゆけ。

         だって君らだけから、
         サテンの燠らよ、
         義務は発散されるんだ
         ようやく、と言う間もなく。

         まさに希望はない、
         いかなる生誕もいらない。
         辛抱強く学問だ、
         責め苦があるのは確実だ。

         見つかった。 
         何が? ― 永遠だ。
         太陽といっしょにいった
         海なんだ。

                5月 1872          




             黄金時代

       声々のひとつは
       いつも天使のようだが
       ― ぼくについて ―
       厳しく説明する。

       その千の問いは
       枝分かれしていて、
       結局は、陶酔や狂気にしか
       ならない。

       見分けろ、この芸当を    
       とても陽気で、とても容易だ。
       それは波、植物相でしかない、
       そしてそれがおまえの家族だ!

       それからそれは歌っている、おお
       とても陽気で、とても容易だ、
       そして裸の眼には見える. . .
       ― ぼくはそれと共に歌う、―

       見分けろ、この芸当を
       とても陽気で、とても容易だ。
       それは波、植物相でしかない、
       そしてそれがおまえの家族だ!. . . 等々. . .

       そのうえまた声だ
       ― それは天使のようだ!―
       ぼくについて
       厳しく説明する。

       そしてすぐに歌う
       呼気に似て。
       ドイツ調だが
       熱烈で充分だ。        

       この世は悪徳だ。
       それがおまえを驚かすだって!
       生きろ、そして火にくべろ
       暗い不運なんか。

       おお! きれいな城よ!
       何とおまえの人生は澄んでいることか!
       いつの時代からおまえはあるのか、
       君主の自然
       ぼくらの偉大な兄の! 等々. . .

       ぼくも歌う、ぼくも。
       様々な姉妹たち! 声
       まったく公開されていない!
       ぼくを取り巻け
       慎み深い栄光で. . . 等々. . .

                6月 1872