フランスの詩

宮之森享太 翻訳

おびえた子たち

2010-06-15 | Weblog
         おびえた子たち

黒たち、雪のなかや霧のなかにいる、
明かりが灯る大きな採光窓で、
    それらのお尻が輪になり、

膝をついて、五人の男の子たちは、―ああ!―
見つめているのだ、黄金色の重いパンを
    パン屋が作るのを. . .

彼らは白く強い腕を見ている、それは
灰色の生地をひっくり返し、それを明るい
    焼き窯の穴に入れている。

彼らはおいしいパンが焼けるのを聞いている。
太ったパン屋は微笑んで
    古い曲を歌っている。

彼らは体をすり寄せ、ひとりも身動きしない、
赤い採光窓からくる、乳房のように温かい
    微風に向かって。

そして午前零時の鐘がなる間、
焼き上がり、きらきらして、黄色くなった
    パンが出てくるとき、

すすけた色の梁の下で、
香ばしいパンの皮とコオロギたちが
    歌うとき、

その熱い穴が命を吹きかけるときも、
ぼろ着の下で、彼らの心はとても
    大喜びする、

彼らはよく生きていることを強く感じる、
哀れなチビたちよ、霜に降られている!
    ― そこにいる全員が、

小さなピンクの鼻面を金網に
押しあて、穴の間で、ある事を
    歌いながら、

でも、とても低く、― 祈りのよう. . .
再び開かれた天のその光の方に
    うずくまりながら、

― とても度が過ぎたので、キュロットが裂け、
― 白いおむつが冬の風に
    かすかに震えている. . .