「張飛の井戸を見に行きませんか?」 歴史好きな私は誘いに
乗って出かけることにした。
張飛とはもちろん三国志の登場人物である。目的地は河北省
タク(啄*くちへんでなくさんずい)県。三国志の主人公の一人
劉備の故郷であり有名な桃園の誓いのあった場所でもある。
定かではないが25キロぐらいの距離だと記憶している。
移動手段は自行車つまりは自転車であった。太目のフレームに
黒・茶の塗装が多い中にあって、細めのフレームにブルーのメタ
リック塗装、極めつけは前輪の泥除け部分に付いたロケットの
エンブレム。製品名は「上海号」。相棒はモトさん2歳年下。私とは
正反対の行動派で時々一緒に旅をした。
井戸がどこにあるのか知らなかったし北京近郊までの地図しかな
かったのでそれを超えたら道路標識を見ながらひたすらタク県の
駅を目指した。自転車で北京市を越えた日本人はどのくらいいる
のだろう、ひょっとして違反行為じゃないだろうかなどと考えながら
ペダルをこいだ。