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働く女性たち「パワーシャベルの女 重子」…しなやかな指先で重機は動く 駆け込み寺居酒屋ポン吉 45話

2022-09-18 14:52:26 | 日記
働く女性たち「パワーシャベルの女 重子」…しなやかな指先で重機は動く 駆け込み寺居酒屋ポン吉 45話

 駆け込み寺居酒屋ポン吉と呼ばれている「ポン吉」のマスターの音吉が経営しているマンションの真裏のマンションの解体工事が始まった。その工事の挨拶に工事を請け負った建設会社の現場監督が音吉に挨拶にきた。その監督はまだ30前と思われる色白美人だった。昨今はこの男の職場でもあった建設現場にも女性がかなり進出していることを音吉は知っていたが、こんな若い女性の監督まで進出していることは知らなかった。

 その監督は田中建設の田中重子の名刺を音吉に渡してから、
「この解体工事は約20日かかります。それまでなにかと重機の騒音などで迷惑をおかけしますが、なるべく静かに工事を進めます。そこでもしこのマンションに空いている部屋があったら20日間ほど女性の更衣室、それに洗面所を使わしてほしいのです」
「はい、丁度1階の部屋が空いています。この部屋のリホームはそれ以後にしますから自由に使ってください。ところでこの工事の作業員の女性は何名ですか?」
「はい、この現場はすべて女性で作業員は3名、産業廃棄物を運ぶ4トンダンプが2台で運転手も2名、それにガードマンが2名の合計監督の私を入れて8名になります」
「ほう、すべて女性ですか?」
「はい、元受けの建設会社は大手ゼネコンの竹内工務店ですが、私ども田中建設はすべて女性で運営しています」

 こうして解体作業は始まった。解体は大型のパワーシャベルで3階建てのマンションを容赦なくぶっつぶす工法だが、このパワーシャベルを操作しているのがあの華奢な色白美人の「重子」だったので音吉は目を疑っていた。やがて1日目の作業の昼になりこの8名の若い作業員らは音吉のマンションで食事と休息をしていた。

 1日目の作業は丁度大型の重機が格納できる程度でこの重機は20日間はここに停めて置くという。そして作業を終えた後に重子は音吉に、
「私の家は向日町ですのでJRで帰ります。その西大路駅周辺で食事のできる店はありませんか?」
「はいはい、それなら私が経営している居酒屋があります」
「あらら、そうでしたの、それなら工事でご迷惑をかけていますから私がごちそうしますから一緒にいかがですか?」

 現場監督の制服から私服に着替えた重子さんは花柄のヒラヒラしたワンピースで店にきた。音吉は一瞬重子さんとはわからずブログに記事を書いていた。重子さんはカウンターに座りママの幸子に自己紹介している、
「へ~あのマンションの解体工事…そのマンションはここのマスターの真裏のことよね…」
「はい、その音吉さんに会いにきたのですが…無視されています」

 そこでやっとわかった音吉は、
「へぇ~あの重機を操縦していた重子さんとは思わないほど品がありますね~♪」
「そんな~でも、私の会社では仕事中は元より女としての化粧やお洒落を推奨しています。ほとんどの現場はやはり女性はまだ少ないのです。そんな現場に花を咲かす運動ですが、それが成功してもう現場では男同士の喧嘩や博打はなくなりました。そればかりか作業着で通勤して帰りに居酒屋で柄の悪い言葉で酒を飲むこともなくなり、みんな私服に着かえてお洒落するようになりました」
「そら~そうでしょう、現場にこんな綺麗な女性が出現すれば…」
「工事現場の近くの住民らとの諍いも女性のガードマンを配置することでほとんどなくなりました」

 それから毎日のように重子はこのポン吉で夜の食事をするようになっていた。その間に幸子に色々な人生相談をしていた。それによると重子の家は小さな建設会社をしていたが父親がクレーンから落ちて来た鉄板の下敷きになって亡くなった。その後、長女の重子ら女3人姉妹で女性だけを雇用した建設会社に変更したという。それが成功して今では従業員50名を超える建設会社になりこの雇用している女性らの悩みも聞いていた。

 この女性らの悩みというのはやはり愛とか恋の話にはなるが、これは重子もそれなりにアドバイスをしていたが、こと男女の性の悩みについてはいいアドバイスはできなかった。それはこの重子はまだ男も知らない処女だった。父親が事故で亡くなったのは重子がまだ女子大学在学中のことで恋人さえいないまま稼業を継いできたという事情になる。幸子は重子に、
「そんなものを知らなくても性の悩みなんてものは愛とか恋の裏返しでそれを解決すればすべてが解決できます」
「そんなものですか…」
「そう、好きな男がどんなセックスを求めてきてもそれを女は受け入れられます。しかし、一旦、嫌いになるとキスさえ汚くなります」
「そうですか~私なんて現場で男の嫌な部分しか見ていないから結婚なんてものは絶対にしたくはありません」
「そうよね~私も男なんてものは懲り懲りだから…とはいってもそれは結婚を一度経験したからいえること、男のすべてがあの音吉さんのように優しければ日本で泣く女はいなくなるわ…」
「あの~ママさんと音吉さんの関係は?」
「それね~恋人でもないし、愛人でもないし、気の合う仲間同士の関係になるわ…」
「それはお互い束縛も干渉しないということですか?」

 マンションの解体も予定通り終わった最後の日に重子は音吉に、
「音吉さん、ありがとうごさいました。次の工事は亀岡で約1年ほどかかる大工事になります。この20日間でママや音吉さんからの人生のアドバイスで私は自分でもわかるほど成長しました」
「いや~それはママのおかげだと思う。このママはすべての女性が幸せになることを心から願っている」
「それは私も同じです。女性を現場で雇用するのはこの運輸、建設業には賃金などの男女差別がないからです。そしてパワーシャベルなど重機のオペレーターには女性の細やかな感性が必要になります」
「そう指先一つであの巨大な重機がしなやかに動くのに私は時間を忘れて見ていました」

 そこで幸子が重子に、
「どう、こんな老人だけど…音吉どんのそのしなやかな指先で男を体験して重子さんの心の中のモヤモヤを解消しない」
「はい。ママさん喜んで音吉さんをお借りします。そして私も結婚したいなと思う人生を送ります」
「そう、そうしなさい」

 こうしてまたまた音吉は安物のホストのごとく幸子の策略にはまっていたが、男の現場で現場監督をするということは男そのものを知らなくては話にならないとこれは本当にそう思っていた。この20日間で理論的には成長した重子もやはり実地体験をしなければここぞという時にこれがハンデーになるのは経験上音吉は知っていた。重子のほうも男を知っているか?知らないかでなにかとハンデーを感じていたので男の戦場でもある工事現場でもう一つ迫力というか、押しがなかったことを悩みとしていた。たった一夜で人生が変わるということもないが、重子にとっては人生の記念の日になりそうだ。

 音吉と重子は幸子に見送られて店から音吉のマンションへ歩いて移動していたが、重子は音吉の腕に手を回して恋人の気分を味わいながら、
「私ももう30にもなっているが初めて男の人と腕を組んで歩く人が音吉さんで良かった!」
「いゃいゃ、重子さんは素敵な人だからこれからも良い出会いがあります。私は去年古希になってるので重子さんとは40歳の差があるが、後悔はしない?もし、不安があるならいつでも言って!」
「いえ、私にもいずれ恋人が出来てもその彼氏が私が処女だと知ったら軽蔑されるだけです。それに、仮にその人と結婚してもそれがハンデーとなり一生涯軽くあしらわれますが、それが嫌で離婚したカップルを何組も知っています」
「ほう…昭和の時代とは真逆で時代はもうそこまで進んでいるのか?」
「はい、これがもし反対で夫が童貞で妻がセックスの本質を知っていたら夫は女性に頭が上がらず、一生涯働き蜂で終るでしょう?」
「ささ、そこらが私には分からない?…幸子ママも同じ意見か?」
「はい、ですからママは私に音吉さんにセックスの本質を教えてもらいなさいと…それには最低でも3回は経験しなさいと…」

 二人は音吉のマンションの部屋に入ったが、音吉が、
「その〜3回とは?」
「はい、私は明日から暫く現場に缶詰ですから…今夜…」
「えっ…!」
 という声が口から出る前に音吉の口は重子の唇で塞がれていた。音吉は心の中で、
「何が〜処女や〜もう、セックスの本質はとっくに知っているカマトトやん〜だから女は怖い〜」と思ったが、重子の濃厚なキスのテクニックで音吉はその気にさせられていた。






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