むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター52

2019-08-17 09:59:24 | 小説
 昭和四年一二月未明。上海で人形を販売する店の店主が、陶器の人形で殴られて、死んでいる事件が起きた。凶器の人形は、高さ五〇㎝ほどの女性剣士像で重さが五㎏ぐらいある。人形屋には二〇代の女性店員が二人いて「午前九時に店を開けたら社長が死んでた」と言う。奥さんは現在行方不明。店は女性剣士の人形を専門に販売していて、遠方からマニアが買いにくることもあるという。公安(中国の警察)が、人形が置いてあった棚を調べていると、女性店員二人がなにかの作業をしている。大きさが二〇㎝ほどの、陶器の人形に砂を詰めているようだ。砂が入っている缶に、物理化学研究所のシールが貼られていて「ウラン」と書いてある。陶器の原料みたいだけどなにかがおかしい。そのとき店に電話がかかってきて、電話に出た店員が「社長が死んだ」と言う。電話は奥さんからで「いま香港よ。ウランちゃんを早く送って」と言って切れたそうだ。送り先は香港の思想改造集団だという。公安が「香港に行く」と言ったら、「これを届けて」とウランが入った陶器の人形を、詰めたトランクと地図を渡された。公安が香港に着いて、地図のビルに行くと、思想改造集団の事務所がある。公安は店員のふりをして「商品を届けにきましたが」と言いながら、事務所に入ると男が二人いた。公安がトランクを机の上に置くと、二人は人形をトランクから出して机の上に並べ始める。公安が「なにに使うんですか」と聞いたら、背広を着た三〇代の男が「気密性を検証して火薬にする」と言う。公安は、なにかおかしいと思ったが脳裏に、空中を浮遊している竜の姿が浮かんだ。竜の寿命は人間と同じぐらいだが、一〇〇年が一年だという。竜は人間に卵を産みつけて人間の思考で成長するらしい。公安が背広の男に「昨日店にきましたね」と聞いたら、作業服を着た四〇代の男が「大きいのを注文してできてなかったから殺した」と言う。男はズボンのポケットに手を入れた。男が拳銃をとり出した瞬間に、公安が手をチョップして、拳銃をはじき飛ばす。作業服の男が人形をつかんで公安に殴りかかる。公安がトランクで受けとめると、人形に入っていたウランが飛び散った。背広を着た男が「われわれは思想改造を目的とした集団で、その男は関係ない」と言う。作業服の男が拳銃を拾い上げようとして、足をすべらせてよろけた瞬間に、公安がトランクで男を殴りつけると、男は後ろに倒れて頭を打った。公安は男を逮捕する。



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