むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター62

2019-08-27 09:47:49 | 小説
 昭和五年五月未明。北京の居酒屋で、超能力者の男が、窒息死している事件が起きた。死体は鼻と口がゴムのりを厚く貼りつけた布でおおわれている。殺し屋の手口だ。公安(中国の警察)は前向きに捜査を始める。現場は間仕切りがあるテーブル席で、死体は長椅子にうつぶせの状態で、翌日に発見された。死んだ男は古代の皇帝を超能力で念写できて新聞に載ったこともある。公安は若い公安が場かずを踏むのにいい機会だと思って、あちこち手配したが全員麻雀荘に出払っていた。食事代のトラブルは殺人事件に匹敵するから途中で抜けることができない。小学生の息子(被害者幽霊を小学生に変換して対話する特殊能力がある)が出てきて「脳みそのひだが、つるつるになるような正義のために戦うことも悪くないよ」と言う。公安は死んだ男の家へ行く。二階建ての一軒家にひとりで、住んでいるようだった。二階の部屋が、合成写真のアトリエになっている。壺のなかにノートがあった。誰にどんな写真をいくらで売ったか書いてある。公安はノートに、「用心棒風」と書いてある男が気になった。地主が小作人を管理するために、流れ者の殺し屋を雇うことがある。買った写真は楊貴妃だった。公安は楊貴妃を買った男の農場へ行く。納屋の入り口に、ゴムのりの缶がある。死体が吐き出すガスのような、死臭が漂っていた。公安が納屋に入ると、潜んでいた男がつかみかかってくる。公安が飛びはねてかわすと、ズボンにゴムのりがべたりとつく。男がゴムのりの缶をつかんで、片手をなかに突っ込んでいる。公安が「どうして殺した」と聞いたら、男は笹の葉を口にくわえながら「似てないので殺しにゃあ」と言う。男がゴムのりのかたまりをつかんで公安に突進してきた。公安が足払いを食らわすと、男がよろけてゴムのりのかたまりを、公安の首付近に投げつける。溶剤のにおいが鼻について、公安がひるんでいると、男が蹴り上げてきた。公安はかろうじて両手で受けとめたが後ろに飛ばされる。男がまたゴムのりの缶を手にとった。こんどは両手にゴムのりのかたまりをつかんで突進してくる。公安は飛びはねてキックをしたが両手で「べたっ」と受けとめられて倒された。男が公安の口を目がけて、手を伸ばしてくる。公安は男の両手首をつかんでこらえた。男が口にくわえていた笹を、いちど口に入れてから、公安の目に向けて吐き出す。男が下あごを半開きにさせて蹴り上げようとしている。公安は足をたたんで、キックを男の顔面にヒットさせた。公安は男を逮捕する。




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