心理カウンセラーの眼!

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「自閉症だったわたしへ」が表わす限界!

2009-10-13 16:23:38 | のほせんの心理カウンセリング
こんにちは、テツせんです。
夜に歩くと寒さを覚えるようになりましたが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

今回は、読書の秋の夜長ということで、
「自閉症だったわたしへ」(1992年版)という本を読んでみましたので、お伝えしようとおもいます。

本の序文には、
『ドナ・ウィリアムズという若い女性が自分の子ども時代について綴った本で、自閉症をはじめ、
数々の試練を乗り越え、深い思慮と洞察力を身につけた彼女がみずみずしい文章で描いてみせた力作』とあります。

また、『特に自閉症治療の関係者にとっては願ってもない貴重な情報の宝庫となっている。』と歓迎されています。
この序文を書かれたローレンス・バータック博士やアンソニー・クレア博士はともに、

自閉症については未だ解らないことが多いと前置きしつつ、

胎児期や乳幼児期に生じる脳の発達障害によるもので、
外界からの情報が的確に処理されないために相手の表情や感情が読み取りがたいのだという考え方をのべられています。

そして自閉症はよく情緒障害と混同されるけれども、じつはきわめて稀な障害であるという。
統計的には1万人に4人の割合であり、
他の精神障害の割合から見れば非常に稀な障害だという知見をのべて自閉症の範囲を狭く絞っています。
( この診断基準に、病理解明のあてもない分類主義が入っていないことを祈りたい。)

たしかにそのような脳の発達障害(というよりも機能障害と観るべき)と厳密に説明できる症状が稀であるとするならば、

自閉症と混同されるような『情緒障害』とは、何を物語っているのだろうか?

『情緒』などという曖昧かつ生やさしい呼称に反して、
本当は離人症をあらわす分裂病と考えざるをえないが。・・・


また博士らの自閉症診断に該当する脳の機能障害ではなくて、
強固な発達障害ととらえられる場合は、
少なくとも <心的な母子関係> というものが大きく影響していると考える必要があるでしょう。

つまり胎児期や乳児期の間の母親とのあるべき良好な関係が維持されなかった場合、

なかでも母子の間に深刻な葛藤があれば、
胎乳児は無意識の核に絶対的な孤立を抱えて、生をさまようことになる。・・・
 
そのような心的に重い負荷をあたえられた胎乳児の中で、
< 自閉 > を自己保存の盾にして生存を求めるという
転倒した<適応>行動が起こされることに瞠目させられると同時に、
類としての< ヒト> の生への執着のはげしさを見せられるおもいがします。

このような感慨を抱いて、わたしは、
バータック博士らとはちがった視座でこの自閉症というものをとらえられないかとふと考えてみました。

“ その人(自閉症の人)は、
外界世界を前にして人類の原初の体験をいま認知しようとしているのではないのか?

言い直せば、われわれの祖先の<ヒト>に喩えられるべき人” になったのではないだろうか?

わたしたちは最初の < ヒト> 以来、数百万年の学習をかさねて、共通の記憶を継承してきました。
そして進化の過程の早い時期に、人間同士の表情認知を可能にし、
ついには人間固有の社会性を獲得してきたわけですから。

そうすると、自閉した子どもは少なくとも何万年か遡った地点の
『相手の顔の表情認知』形成の時点から学習しなおすことになるのだろうか?

まさしく自閉することとは、
胎児に備わったはずの『< ヒト> 以来の共通の記憶』の回路をも閉ざしたことを示唆しているのだから。・・・

それはまた次に現代人に何事を示唆しているのだろうか?

はたしてそれにしても、
この本に粗雑に書かれている、あくまで主観的な内容について、
どのように応えてよいものか悩ましいかぎりだ。

どこまでも内向する自我と、
社会(性)に葛藤しつつも何とか半身の姿勢で向き合う自我との苦闘。

それらは発達障害の有り様そのものとみとめられるゆえに。・・・

しかしまた一方で、
『ではなぜ、ずっと頑なに固く自閉することが不可能なのか?』という逆説こそを、
この本の序文を書いた先生たちも、よく考察してみれば、

発達障害の本質に関わってくる < 人間の本質としての社会性 > というものに

あらたに出会える契機が得られるだろうとおもうのだが。・・・

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