トリノオリンピックが幕をおろす前日、愛読してる読売新聞で、こんな編集者の一節を見つけた。
昨年死去した歌人の塚本邦雄さんが正と負について語ったことがある。近代短歌が禁忌として避けた技法を大胆に用い、生前は「負数の王」という異名もあった人である◆「負数の王で結構だ」と塚本さんは言った。「負の10と負の10を掛けると正の100になる。その100と、正の10を10個集めた100は違う。正を積み重ねたものには陰翳(いんえい)がないのだ」と◆トリノ冬季五輪のフィギュアスケート女子で金メダルを手にした荒川静香選手(24)の笑顔を眺めながら、歌人の言葉を思い浮かべた。荒川選手のたどった道にもいくつかの負数がある◆前回のソルトレーク五輪では選に漏れた。2年前には引退に心を揺らしている。今季の国際大会では15歳の中学生、浅田真央選手に2連敗し、プライドに傷を負った。掛け算の符号は、悔し涙をかみしめる奥歯のあたりに宿っているのかも知れない◆若手が伸び悩み、ベテラン勢には疲れが見え、深いため息とともに日を重ねた祭典も、まもなく幕を閉じる。ひとりひとりが、陰翳の刻まれたなにがしかの負数を持ち帰ることだろう
(2006年2月25日の読売新聞の編集手帳より)
失敗や、挫折は決して裏切らない。
もっと人生転んでみたり、遠回りする価値ありだと思わされた記事だった。
私の持論。
この世の全ての出来事に無駄はなく、最後に全てがリンクする・・・・。
昨年死去した歌人の塚本邦雄さんが正と負について語ったことがある。近代短歌が禁忌として避けた技法を大胆に用い、生前は「負数の王」という異名もあった人である◆「負数の王で結構だ」と塚本さんは言った。「負の10と負の10を掛けると正の100になる。その100と、正の10を10個集めた100は違う。正を積み重ねたものには陰翳(いんえい)がないのだ」と◆トリノ冬季五輪のフィギュアスケート女子で金メダルを手にした荒川静香選手(24)の笑顔を眺めながら、歌人の言葉を思い浮かべた。荒川選手のたどった道にもいくつかの負数がある◆前回のソルトレーク五輪では選に漏れた。2年前には引退に心を揺らしている。今季の国際大会では15歳の中学生、浅田真央選手に2連敗し、プライドに傷を負った。掛け算の符号は、悔し涙をかみしめる奥歯のあたりに宿っているのかも知れない◆若手が伸び悩み、ベテラン勢には疲れが見え、深いため息とともに日を重ねた祭典も、まもなく幕を閉じる。ひとりひとりが、陰翳の刻まれたなにがしかの負数を持ち帰ることだろう
(2006年2月25日の読売新聞の編集手帳より)
失敗や、挫折は決して裏切らない。
もっと人生転んでみたり、遠回りする価値ありだと思わされた記事だった。
私の持論。
この世の全ての出来事に無駄はなく、最後に全てがリンクする・・・・。