◇幻想詩人YO=YO◇    □Visionary Poet Yo=Yo□

【死刑囚】エリク君が覚醒するような詩・死刑への依存と甘え なお著作権は放棄しておりません、無断転載はお断りいたします

 ◇ 子供の頃 ◇

2015-08-15 13:20:27 | 小説
子供の頃、いつもなぜか頭が痛かった。

突然の鼻血。

そして、記憶喪失の時代。

もうろうとした心の傷。

いつもどこかが調子が悪くて、起きていても、常に眠たかった。


それが、今は私はいっぱしの霊能者だ。

神の霊に打たれて、神の霊と交信した。

こんな私にも、なぜか不細工で、惨めで、

なんの面白みのかけらもない、輝きのない少年時代があった。

私は自分の死ぬ時のその最後の瞬間まで、さっき

わかってしまった。

私は霊能者として、世界中の宗教組織から

疎まれ、命を狙われているからだ。


ある程度の霊能力があれば、自然死できない運命を背負っている。

ジャンヌ=ダルクしかり、フスしかり、ジョン・レノンしかり。

民衆を導く能力は、自分自身の人生にはなんのためにもならないからだ。



そんな私の子供時代のたわいもない話をして差し上げよう。

霊能者にも子供時代はある。


 ◇ 和子の想い出 その43《完》◇

2015-08-09 02:09:25 | 小説
あとがき

『星の鞄』の中には硝子の義眼が2つ入っている。

ひとつは「瑛太」の義眼で、もうひとつは、イタリア人「ニモ」の義眼だ。

私に現れる、中央の亡霊は、イタリア旅行中にまた現れて、「ニモ」と言う

男娼と私を導いてくれた。

「ニモ」の義眼の話はまた別の方法で釈明しなければならない。

私がカズからこっそり盗んでしまった「和子の想い出」もラジオのリモコンと一緒に星の鞄の中にしまってある。

この鞄の中には虚無を飾ることから逃れた星々がしまい込まれているからだ。

                   
               《完》


 ◇ 和子の想い出 その42◇

2015-08-09 01:52:55 | 小説

「瑛太」は売り専でボーイとして働きながら、

他人の手で、いかされた事が、それまで一度もなかった。

初めて私にいかされた時、「瑛太」は何が起きたのか、自分でわからない様子で、

ぶるぶると震え、そして快感の砂の海の中に溺れていった。

何度も何度も吹き上がる噴泉のように「瑛太」の硬直したものから「生命体」が発射され、

そして、ゆっくりと萎えていった。

しかし、萎えた後も、いつまでもそれは、小刻みに振動を続けた。

「瑛太」の棒状の生殖器が振動の中で、溺れていく命のような気がした。

中央が写メで送って来た、津波に呑み込まれた幾千もの小さき命たちの姿がダブった。

「瑛太」の硝子の目と僕の目が見つめ合っていた。

「瑛太」の硝子の目から涙が一滴零れているのを見て、「瑛太」はもう生まれ変わらなくても

良いんだと悟った。

「他人の手でいかされる事が、こんなに気持ちいいなんて、死ぬまでに一度は経験しておくべきだね。」

中央が私に抱かれて、自殺する前に喋ったことと、一字一句同じセリフを「瑛太」が喋った。









 ◇ 和子の想い出 その41◇

2015-08-09 01:12:29 | 小説
「和子が来ている学ランは竜二の学ランで、その日の放課後俺たちは、

いつものように、一緒につるんでいた。和子と竜二がお互いの制服を交換して

写真を撮るなんて、言い出したのは、その前の日だった。

俺は、家からライカを持ってきた。母方のおじいちゃんからもらった

カメラだ。それで、2人の写真を撮る約束をした。

竜二が和子のセーラー服を着て、スカーフを和子に結んでもらっているのを

見て、俺は勃起していることに気づいた。

セーラー服の竜二に勃起したんだ。そして、制服のズボンの中で射精してしまった。

和子も竜二もそれに気づいて、俺のズボンの濡れている染みを見て、竜二もセーラー服のスカートの中で一瞬で果てていた。竜二の精液はドラムのような音を立て、教室の床に落ちていた。

青臭い匂いが教室の中に充満していた。

変な空気が漂って、俺たち3人の関係が終わった。それから、気まずくなって、俺は和子と竜二から逃げて、教室を出ていったんだ。」

学ランの和子の写真は、とても愛らしい無垢な少女の顔で、白黒の写真なので

時代を感じさせ滲んでて、私はこの人が同級生の目を画鋲で刺した人なのかわからなくなった。

カズの語った「和子の想い出」は思春期の青臭い濁った体液の匂いがした。





 ◇ 和子の想い出 その40◇

2015-08-08 21:26:47 | 小説
最終章


和子の読書感想文を、私はカズから借り、写経のように、精神病院の

閉鎖病棟の中で、書き写した。

「神とヨブは愛し合っていたのだ。悪魔が現れる前までは」と

言う書き出しから、私は一字一句感想文を暗記した。

私はカズに、和子の事を聞いた。

カズの鞄の中の和子の写真を見て、私はある疑念をずっとカズに言えずにいた。

和子は学ランを来ている少女だった。

和子は性同一性障碍だった。

私の疑念は、同級生の右目を画鋲で刺して、傷害事件を起こして、

医療少年院に入院させられた、当時マスコミに騒がれた少女と和子が同一人物だという

疑念だ。

カズに鞄の事を、聞いてみた。

カズの唯一の持ち物が、この鞄だったからだ。

カズは、これは「星の鞄」だと説明した。

黒い、ぺっちゃんこの学生鞄で、

クラリーノの革がところどころ、剥げていた。

カズは精神病棟の病室で私を抱いた夜、その鞄がどうして、『星の鞄』なのか

中学の頃の話を話してくれた。

「恋愛と言う虚無を飾る星を、3人でこの鞄の中に入れて持ち歩いていた。

俺は、和子の鞄を、和子は竜二の鞄を、竜二は俺の鞄を交換した。

俺たちは、その順番で片思いだったんだ。俺が竜二に恋をして両思いになる前までは。」