◇幻想詩人YO=YO◇    □Visionary Poet Yo=Yo□

【死刑囚】エリク君が覚醒するような詩・死刑への依存と甘え なお著作権は放棄しておりません、無断転載はお断りいたします

 ◇ 悪夢 ◇

2007-11-30 09:32:30 | 
 心地よい音楽を聴きながら、悪夢を見ていた

人生はそんなものだ

 悪夢であることを、夢から覚めたら忘れていた

ゾシマ長老の死臭のように

 あと一歩で奇跡は起こらない

 うるさい雑音を聞きながら、甘美な夢を見るよりも

 寝覚めは良いだろう

 ◇ 小鳥 ◇

2007-11-25 16:23:24 | 
完璧に自由な空は、机の引き出しのようだ
空に飛び立った小鳥たちは、缶蹴り遊びをしているときの
一人残された鬼のようだ
 知らず知らずのうちに蓄積された過去はもはや
小綺麗に整頓されて机の引き出しの中にしまい込まれている
その時、その瞬間のへんてこりんな習慣も
何故とは言えないまでも、大抵のことは理由を付けて
しまってある
17世紀の絵画みたいに博物館の中に仰々しく展示されている

 過去はもう二度と日光の照らす戸外へ出されることはない
僕にはわかる、小鳥たちの見た夢もおおよそこんな物だったろうと
 解き放たれた、小鳥は唄う
枯れた木の梢高く
 「自分の事だけは許せるの」

 ◇ 旅人の夜明 ◇

2007-11-13 09:27:56 | 
夜がまだ明けやらぬうちに
冬の初めの低く垂れ込めた雲から
雨が降り出していた
すでに、朝はどこか緞帳の奥へ押しやられてしまったのだ

こんな、寒々とした寂しい夜明は、
詩を読まなければならない
僕は、昨夜から布団にくるまり、すでに考え疲れていたのだ
ただ、朝が来れば、マルテみたいに安心して眠れると想像していた
ひとりぼっちな僕は、不思議な眠気の中で、夜行列車から初めての土地へ
降り立った旅行者の戸惑いを知っている
朝の光が、暈しすぎて、新鮮さの心持ちを、大事にしたいのだ
だけど、その土地の人にとってみれば、いたって普通の朝が
ただ、いつもの通りやって来ただけなのだ

そして、誰かに声を掛けようとする間もなく
白々とした日の光が、夢見心地から僕より先に小鳥たちを醒ましてしまう
旅人にとって、小鳥はもう友達ではない 不安を駆り立てる道化師
は、いつも一瞬に旅行の楽しい目的も見えなくしてしまう

こんな朝もまた、詩を読むしかないのだ
糸状の月の端を瑠璃から透明な青磁に変えてゆく
一時を僕は夜通し待ちくたびれていたのだから

すると、不思議と安心して眠れるのだ
ふとせつない夢の中へ
引き込まれるのを楽しみながら