◇幻想詩人YO=YO◇    □Visionary Poet Yo=Yo□

【死刑囚】エリク君が覚醒するような詩・死刑への依存と甘え なお著作権は放棄しておりません、無断転載はお断りいたします

 ◇ 祈り ◇

2009-03-28 23:22:18 | 
この世で一番美しいとも

哀れとも言える悪習の美徳を

僕は忘れてしまった

僕の精神構造の中から消えてしまった

空をつかむように

むなしく僕の身に振り戻ってきてしまう

祈りは

一つのそれ自身として完結した精神から

抜け出せないのだ

これから僕はどこへ行くのだろう

 ◇ ジンのにおい ◇

2009-03-28 14:03:50 | 
時間は残酷だ  誰が時間を数える事を始めただろう  神がいくまでの時間に 僕は何度この部屋でいくのだろう ジンの匂いはどうだろう  地球や時間に関係して  (あと何億回回転したら、地球は回転をやめるだろう)  いつかは消えてなくなるだろう  ジンの匂いの残る部屋で  僕は眠るように死にたい 

 ◇ 呪い ◇

2009-03-20 01:23:59 | 
二度と戻れない青春の海に

漕ぎ出して

港に帰ったときには、すでに親は死んでいて

思春期の頃に探した四葉のクローバーも

枯葉剤に熔かされ

耳朶から血を流しながら

農夫が歩いた道を

僕はまた歩き出す

路鳩の蛆のように

僕は恐れない何ものをも

かつてモグラが目が見えたように

かつて海から這い上がったトカゲのように

呪われて地の底を這い回っていても

 ◇ ノアの子孫たち ◇

2009-03-15 21:49:34 | 
2人はまさに死のうとする2人だった

虚しく2人の思いは途切れ

かずかずの夜も、みな命のないものに

してしまった

今、僕らは僕らの未来に不誠実だった

罰を受けようとしている

無思慮な者の子孫の無知と

はしたなさは

両親を許し、弔うすべを忘れてしまった

命の重みもすべて灰に替えてしまう

罪の血の濃さ

もうこの血は、拭い去ることができず

ただおろかさを重ね

狂い死ににかすかな望みを抱くのみ

 ◇ 再生できないテープ ◇

2009-03-08 21:34:07 | 
4月になると、新しい畳の部屋に暮らすだろう
その畳の匂いや
黴が一度生えて擦って落とした
壁紙や
荷物も何もない部屋に暮らすだろう
天井や柱に染みついた
煙草の匂いや、誰かの脂の匂いや
神経質な隣人の掃除機の音に悩まされて
暮らすだろう
 
機械の身体が欲しい
油を差して
油を差して下さい
もう1と2と3の間に
関数は存在しない
 
4月になると、申し訳ないと春の闇が
誰も知らない世界が、僕を押し続けるだろう
咳をするから
身体から、血が流れてゆく
 
僕は、再生しないテープなんだ
誰か僕を巻き戻して
傷が付いてさっきから
キュルルルって音を立て続けてる