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トヨタの美術コレクションはすごい_豊田市 トヨタ鞍ケ池記念館

2019年04月08日 | 観光スポット

トヨタ自動車は、2019年現在まで永らくに渡って日本企業最大の株式時価総額をほこり、自動車の生産・販売台数でも世界トップクラスを維持しています。そんな超巨大企業の足跡を紹介する企業博物館は名古屋近郊に4つもあります。そのうちの一つ、創業時の歩みと所蔵美術品を披露する「トヨタ鞍ケ池記念館」を訪れました。

  • 4つあるトヨタ企業博物館では最古、創業以来の足跡と蒐集美術品にスポットをあてているのが特徴
  • 会社として蒐集した絵画を展示する「アートサロン」は人知れない名スポット
  • 自動車メーカーとしての礎を築いた豊田喜一郎の移築された旧宅は戦前モダニズムの名建築


豊田家の足跡と会社としての最も知ることができる博物館です。名古屋近郊の憩いの場として名高い鞍ヶ池(くらがいけ)公園の中心的な施設です。


トヨタ創業展示室

トヨタ鞍ケ池記念館は1974(昭和49)年、トヨタ車生産累計1,000万台達成を記念して造られました。1,000万台という数字は、2019年現在ではほぼ1年間の生産台数であり、45年前の企業としての業績とは隔世の感があります。

日本では関東平野に次いで大きい広大な濃尾平野の東の”端っこ”にトヨタ鞍ケ池記念館はあります。豊田市周辺に点在するトヨタの工場群を見下ろすことができます。


トヨタ自動車創業時の拳母工場(現:本社工場)のジオラマ

展示は「トヨタ創業展示室」と「鞍ヶ池アートサロン」の大きく2つに大別されます。トヨタ創業展示室では、製造機械や完成車を前面に押し出すのではなく、企業としてのトヨタの足跡を解説するパネル解説・写真・ジオラマの展示を主としています。こうした創業の歩みに主眼を置いた展示が、4つあるトヨタの企業博物館の中で際立っています。

中心には創業時の拳母工場(現:本社工場)のジオラマがあります。現在も度肝を抜かれるような大きさですが、戦前の創業時では度肝どころではなかったでしょう。まさにアメリカのように果てしない雄大さを感じさせます。

トヨタの自動車製造と経営に携わった歴代の人たちの写真パネルによる解説も丁寧です。トヨタという巨大企業の礎を築いた無名の先人たちの努力をしっかりと感じることができます。


外観

「鞍ヶ池アートサロン」では、テーマに応じた企画展を通じて所蔵品を披露しています。2019年春には「色彩と情熱の美 ~フォーヴィスムと日本近代洋画~」が開催されています。

日本企業は美術品を所蔵すること自体、世界の有名大企業に比べて多くありません。所蔵していても積極的なPRは見られません。「隠匿」という日本人にしか理解されない価値観がまだまだ根強いためでしょう。鞍ヶ池アートサロンで展示されているトヨタ自動車の所蔵品はかなりレベルが高いと感じますが、PRしないことでほとんど知られてないことは、ある意味残念です。

【鞍ヶ池アートサロン公式サイトの画像】デュフィ「パドック」

フォービズムの画家・デュフィの「パドック」は、紫色の描写が印象的です。森の中になる競馬場のパドックに集う人たちを、森の緑の中で紫色のスポットライトを浴びせたように描いている構成が秀逸です。

【鞍ヶ池アートサロン公式サイトの画像】佐伯祐三「洗濯屋」

佐伯祐三の「洗濯屋」は、佐伯らしいシックな建物の色彩の中で、実に奥深い碧色の壁の描写が際立っています。歴史を積み重ねた建築の特徴を見事にとらえた名品です。


旧豊田喜一郎邸

鞍ケ池記念館の奥に1分ほど歩くと、現在のトヨタ自動車の社長・豊田章男の祖父で、自動車メーカーとしての礎を築いた豊田喜一郎の旧宅の外観を鑑賞できます。名古屋の高級住宅街・南山にあった建築を移築したものです。名古屋で大正・昭和モダニズムを実感できる名建築です。室内が公開される機会を待ちたくなります。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



インテリアに。とても絵になる

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トヨタ鞍ケ池記念館(愛知県豊田市)
【公式サイト】 http://www.toyota.co.jp/jp/about_toyota/facility/kuragaike/

原則休館日:月曜日、年末年始
入館(拝観)受付時間:9:30~17:00

トヨタ鞍ケ池記念館 鞍ヶ池アートサロン
色彩と情熱の美 ~フォーヴィスムと日本近代洋画~
【美術館による展覧会公式サイト】

主催:トヨタ自動車
会期:2019年2月9日(土)~2019年5月26日(日)

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この展覧会は、今後他会場への巡回はありません。
※この美術館は、コレクションの常設展示を行っていません。企画展開催時のみ開館しています。



◆おすすめ交通機関◆

名鉄豊田線/三河線「豊田市」駅下車、東口バスから名鉄バス「鞍ヶ池公園前」下車、徒歩3分
東海環状自動車道「鞍ヶ池」スマートICから車で3分

JR名古屋駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:1時間45分
名古屋駅→地下鉄東山線→伏見駅→地下鉄鶴舞線直通名鉄豊田線→豊田市駅→東口1番バスのりば→名鉄バス「矢並線」33系統→鞍ヶ池公園前

【公式サイト】 アクセス案内

※バスは本数が少ないため、事前にダイヤを確認の上、利用されることをおすすめします。
※この施設には無料の駐車場があります。
※現地付近のタクシー利用は事前予約を強くおすすめします。


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