美の五色 bino_gosiki ~ 美しい空間,モノ,コトをリスペクト

展覧会,美術,お寺,行事,遺産,観光スポット 美しい理由を背景,歴史,人間模様からブログします

幽玄な曜変天目の宇宙が待っている ~京都国立博物館 国宝展Ⅱ期

2017年10月17日 | 美術館・展覧会

京博があるエリアは「大仏」と深い縁がある。

 

 

京都国立博物館「国宝展」のⅡ期目がスタートした。展示作品がすべて国宝という圧巻のスケールを4期に分けて展示する2017年の日本国内開催美術展の横綱だ。ご都合がつく限り、京都まで4回お出かけになる価値はあると思う。

 

そんなビッグイベントであるがゆえにⅠ期目から週末を中心に混雑が目立つので、以下の4点をぜひ事前に知っておいてほしい。

 

1)可能な限り分散訪問を

週末の午前中は1時間ほどの待ち時間が発生しているようだ。平日午後や金・土曜の夜間開館(入場19:30まで)が比較的すいている。

 

2)京博公式Twitterで混雑状況を事前にチェック

リアルタイムに発信しているので、訪問予定の曜日と時間帯の混雑の予想が付きやすい。

京都国立博物館 @kyohaku_gallery

 

3)入場券は事前購入

公式サイトやコンビニで購入できる。チケット売り場と入館の両方での行列を避けるためだ。

 

4)手荷物は駅やホテルで預ける

宿泊先ホテルやJR京都駅や京阪三条駅、阪急河原町駅などで預けられたい。博物館内のコインロッカーはキャパが小さい。

 

 

 

事前に展示替えスケジュールの確認を、公式サイトでPDFをダウンロードできる。

 

 

3Fの「考古」展示室は会期中の展示作品の入れ替えが比較的少ない。「仮面の女神」は八ヶ岳山麓で出土した縄文土器で、逆三角形の頭部と胴体部分の渦上の紋様が幾何学的な印象を与え、神秘的な縄文土偶の中でもことさら強いメッセージを発しているように感じさせる。全期展示なので会期中はいつでも会える。

 

仮面の女神

 

 

2Fの「六道と地獄」展示室では「餓鬼草紙」がⅡ期のみ展示で注目される。現存する東博本・京博本のいずれも出展されており、生前に強欲だった人の生まれ変わりとされる飢えに苦しむ鬼(=餓鬼)の姿を赤裸々に描いている。後白河法皇が建立した蓮華王院(三十三間堂)にあったものと考えられ、平安末期に上流階級の間で流行した輪廻転生(=六道)思想がどのようにイメージされていたかを知ることができる。輪廻転生の思想が現代人にも連綿と受け継がれていることがわかる。

 

餓鬼草紙

 

 

「中国絵画」展示室の「秋景・冬景山水図」は、北宋最高の書画家として知られる皇帝・徽宗(きそう)の筆と伝えられ、風の音を画中に閉じ込めた名作と言われる。余白がとても大きく、中国的な雄大さと奥深さを感じさせる。室町将軍家が所蔵した「東山御物」の一つで、江戸時代初期に徳川家康のブレーンだった金地院崇伝(こんちいんすうでん)の所蔵となった。

 

秋景・冬景山水図

 

 

国宝展Ⅱ期の目玉は「曜変天目」だろう。国内に三椀ある国宝のうち、京都・大徳寺の塔頭・龍光院(りょうこういん)の所蔵作だ。私は静嘉堂文庫・藤田美術館蔵の曜変も観たことがあるが、この龍光院蔵が最も地味に見えた。陽変の特徴である宇宙の星雲のような神秘的な青の輝きが最も弱いのだが、逆に奥深い幽玄さを感じる。作品は展示室の中央にあり、360度見ることができる。混雑しているであろうが、ぜひ一周して観てほしい。器に現れる宇宙が見る角度によって異なり、実に神秘的だ。龍光院からは他に鎌倉・建長寺を開いた蘭溪道隆真筆の「金剛経」と竺仙梵僊筆「墨蹟(諸山疏)」も出展されている。龍光院は観光目的の公開をしない寺院であり、鑑賞できる機会はきわめて少ない。

 

1F「絵巻物」展示室の「絵因果経(上品蓮台寺本)」は、仏教を開いた釈迦の伝記のような経典で、中国で描かれた原本を奈良時代に写したものだ。日本最古の絵巻と言われており、奈良時代の絵画としても1200年以上前の作品だ。中国にはほとんど現存しないことから、その生命力に驚きを隠せない。とても古いものだが発色は非常に美しい。絵はとてもシンプルで、コミカルな印象さえ受ける。同じ展示室にある他の日本の絵巻と比べると、中国との文化の違いを感じて興味深い。

 

絵因果経 上品蓮台寺

 

 

 

日本や世界には、数多く「ここにしかない」名作がある。

「ここにしかない」名作に会いに行こう。

 

 

日本にある天目茶碗の流転と美しさを茶道文化の伝道師「淡交社」が解説

 

 

京都国立博物館 開館120周年記念 特別展覧会 国宝

http://www.kyohaku.go.jp/jp/special/index.html

http://kyoto-kokuhou2017.jp/#

会期:Ⅱ期2017年10月17日(火)~10月29日(日)

   Ⅲ期2017年10月31日(火)~11月12日(日)

   Ⅳ期2017年11月14日(火)~11月26日(日)

原則休館日:月曜

※展示作品には展示期間により異なります。事前にご確認ください。

 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 女性的な優しいデザイン ~... | トップ | 江戸絵画に愛嬌を求めるなら... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

美術館・展覧会」カテゴリの最新記事