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兵庫県・城崎温泉「外湯めぐり」~街全体が非日常体験

2018年08月20日 | 体験・イベント

城崎(きのさき)温泉は、兵庫県の日本海側にある日本でも有数の温泉観光地です。明治時代を彷彿とさせるような街並みを、浴衣と下駄で外湯(そとゆ、共同浴場)巡りをするととてもワクワクします。飲食店や土産物店も多様なジャンルの店が揃っています。

新幹線・空港・高速道路といった交通インフラが必ずしも充実しているわけではありません。しかしいにしえの日本の街並みを体験できるスポットとして、日本人だけでなく外国人にも大変人気です。飛騨高山と同じです。


温泉旅館が駅前でそれぞれの下駄を飾っている

城崎温泉は奈良時代の初めには温泉が利用されていたとする伝承がある、日本有数の歴史を持つ温泉です。717(養老元)年からに創業した城崎最古の旅館「千年の湯古まん」は、718(養老2)年創業の福井県・芦原温泉「法師」、705(慶雲2)年創業の山梨県・西山温泉「慶雲館」と並んで、現在も営業している世界最古の宿泊施設として知られています。1300年前です。

庶民でも旅行にでかけるようになった江戸時代にはすでに数多くの湯治客で賑わうようになっていました。湯治による医療的な効果に加えて、海の幸・山の幸双方に充実が人気を呼んでいました。


駅前から温泉街へ延びるメインストリート

現在でも城崎温泉の人気の秘訣になっている「外湯めぐり」は、江戸時代までは日本の温泉のほとんどで普通のシステムでした。温泉の掘削。輸送技術がなく、自然に湧き出しているところにしか浴場を設けることができなかっためです。

明治以降は掘削するボーリングや輸送するパイプライン技術が発達し、旅館の中に設けて宿泊客しか入れない内湯(うちゆ)が日本の温泉街では一般的になっていきます。外出しないで入浴できることが贅沢だったのです。内湯が喜ばれる価値観は昭和の終わりごろまで優勢でした。個人住宅に家風呂がほぼいきわたり、日常の入浴に街の銭湯が使われなくなった時代と重なります。

城崎温泉でも昭和の戦前に、伝統に反して「内湯」を認めるかで長い論争が続きましたが、「各旅館の内湯設置は認めるが規模を制限する」ことで決着しました。日本人は昔から大きな湯船を好みます。大きな湯船に入りたい客は従来通り外湯に通うことになり、結果的に現在の城崎の人気の秘訣を保ちました。


地蔵湯

城崎には現在、外湯は七か所あります。駅前の「さとの湯」を除いて、温泉街の中心を流れる大谿川(おおたにがわ)沿いの1kmほどの範囲に6か所が点在しており、旅館を出て散策しながら外湯巡りをするには、湯冷めもせずちょうどよい距離になっています。

「地蔵湯」は主に地元の人に愛されてきました。「一の湯」は街の中心にあり歌舞伎座のような建物で、城崎の外湯の代表格です。「まんだら湯」は城崎最古の浴場です。

外湯は温泉街旅館の宿泊客は無料ですが、一般客は有料です。一日入り放題の「外湯めぐり券」もあります。

【公式サイト】 城崎外湯めぐり


川沿いの柳が実に優雅

大谿川の両岸は、旅館に加えて飲食店や土産物店が立ち並び、温泉街の中心です。写真撮影したのは午前中で、浴衣で散策する宿泊客は少なかったですが、午後からはとても賑やかになるようです。

【公式サイト】 お宿のゆかた大集合

各旅館とも外湯めぐりをコーディネートする浴衣のデザインにはしのぎを削っています。下駄で歩く”カランコロン”の音も実にリズミカルで優雅に聞こえます。日本人にとっては柳の並木道はほぼ見かけなくなっため、明治時代にタイムスリップしたような気分にさせてくれます。外国人にとってはパジャマでもある浴衣で街歩きをすること自体がとても斬新でしょう。こうした非日常体験は世界共通で楽しいのです。



秋になると城崎グルメの主役、カニの季節が近づいてきます。城崎が最も賑わうのは冬です。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



中条あやみ、冬の温泉で整う、現代の湯治


城崎温泉 外湯めぐり
【城崎温泉観光協会サイト】http://www.kinosaki-spa.gr.jp/
※外湯によって休館日と入館受付時間は異なります。

一の湯
原則休館日:水曜日
入館(拝観)受付時間:7:00~23:00

地蔵湯
原則休館日:金曜日
入館(拝観)受付時間:7:00~23:00



おすすめ交通機関:
JR山陰線「城崎温泉」駅下車、一の湯まで徒歩10分
JR大阪駅から在来線特急電車を利用した所要時間の目安:2時間50分
JR京都駅から在来線特急電車を利用した所要時間の目安:2時間30分

【公式サイト】 アクセス案内

※特急電車は本数が少ないため、事前にダイヤを確認の上、利用されることをおすすめします。


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