極私的映画論+α

+αは・・・日記です(^^;
最近はすっかり+αばかりになってしまいました(笑)

聖職の碑 (1978) 153分

2014-06-19 19:15:42 | 日本映画(DVD・TV)
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 中箕輪尋常高等小学校高等科二年生二十五名、青年会員九名、引率清水、征矢、赤羽校長の三十七名が、修学旅行中、暴風雨に襲われ、山小屋を急造して避難していた。赤羽校長にとっては、この中央アルプス駒ケ岳登山は執念の行事であった。それは彼の“子供は生まれついては強くも正しくもない、それを鍛え、困難を乗り越えられる人間にするのが教育だ”という方針の為である。しかし、清水訓導は、もともとこの登山には反対であった。彼は、同僚の樋口や伊吹やえとともに自由な理想教育を目指し、校長とは度々論争をしていた。


日映専 ★★★☆


 1913年(大正2年)8月26日に長野県中箕輪高等小学校の集団宿泊的行事として実施された木曽駒ヶ岳集団登山における気象遭難事故の実話に基づいた映画。新田次郎原作で監督が森谷司郎、しかも遭難モノといえば

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 この「八甲田山」がありますが、この2作品を2年連続で監督した森谷司郎はスゴイかも(笑)この1970年代から80年代にかけて、東宝配給の大作映画は森谷司郎監督というのが続きました。

 今回日映専で木村大作カメラマン特集・・・彼の監督第二作「春を背負って」の公開に合わせて、彼が撮影を担当した作品をいくつか放送していますが、今回はじめて「聖職の碑」を観たんです。1978年の作品なので私は当時高校3年生。公開当時は観ていませんがこの作品のことはもちろん覚えています。

 さて、今回初めて「聖職の碑」を観ましたが、「八甲田山」とは全く違う気持ちでした。要するに「八甲田山」はいわば職業軍人達の「仕事」での大きなミスのために多くの犠牲を払ったわけで、それは確かに悲惨でかわいそうな話ですが、「滅びの美学」すら感じられました。

 それとは逆に「聖職の碑」はやはり子どもたちが可哀想でなりません。真夏の登山とは言え、やはり山は恐ろしいということと、これだけ気象学が発達し、いろいろな装備も増え、「聖職の碑」の時代から100年経ったとはいえ、未だに年間何十人も登山での遭難や死亡事故は尽きません。

 それよりもなによりも、どのような理由があったとしても学校の先生は生徒の生命を奪ってしまうようなことがあってはなりません。この映画の場合、どこかで引き返す勇気があれば防げた事故だと思います。この映画の主人公である校長先生は自らの命も落としてしまいましたが、だからって今も昔も校長先生を擁護する必要はありません。

 ただ・・・
この「聖職」とはいったいなにか?
私は現在の現役の先生にこの映画を見てもらい、レポート提出をお願いしたいです(笑)先生ももちろん一人の人間です。いろいろな権利の主張もいいと思います。

 が、しかし、我が子の入学式を優先したり、のど自慢大会にでるようなことは、とてもじゃないけど考えられません。

 この映画の校長先生を始めとする教職員たちは10名以上の子どもたちの生命を奪ってしまったことを責められて当然ですが、私がより感動したことは12年後またこの夏山登山を再開させたこと。そして慰霊碑ではなく「記念碑」として碑を建てたこと。ここに感動を覚えました。


 阪神淡路大震災、東日本大震災などを経験するたびに危機管理能力を問われている現在、学校の先生、それをまとめる校長がいったいどうすれば正解なのかは正直わかりません。現在大阪市内では学校の授業中に「暴風警報」などが出た場合、途中で集団下校するみたいですが、これが全くわかりません。災害の避難場所に指定されている校内にいて、どうして下校させるのでしょうね。

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