スケッチブック

写真と文章で、日常を記録に残す

家宝

2019-05-28 18:21:17 | Short shorts






家宝
著者: Ann Weems
翻訳: polo181

それは大御祖母ちゃんが残ししたもので、
また、とても大切なもので
手で触れてはいけないものだと知っていた。..

その花瓶は母の最も大切な宝物だった。     
母は彼にそのことを何度も厳しく話してあった。
それは、マントルの高いところに置かれてあって、
子供の手には届かないところだった。
しかし どうしたわけか、彼はやってしまった。 

彼はただ小さな可愛い薔薇の花が花瓶の周り
全体に描かれているのかどうか知りたかったのだ。
彼は5歳で、まだまだ不器用でどれほど壊れやすくて
しかも高価な骨董品だとは理解できていなかった。

それは床に落ちて粉々になってしまった。
そして彼は泣き始めたのだった。
その泣き声は最初はうめくようだったが、
だんだん大きくなって家中に聞こえるようになった。

二階にいたお母様が
その声を聞きつけて飛んで走ってきたのでした。
廻り階段を急いで駆け下りてそのコーナーにやって来た。   
彼女は立ち止まって彼を見て、
息子が何をしでかしたかすぐに分かった。
泣きじゃくりながら、彼はうめくような声で、
「僕が、あの花瓶を壊してしまった!」

間髪を入れず、母は彼を抱きしめて
「おお神様有難うございます!
私は息子が傷ついたと思っていたのです」
それから、彼女は彼を優しく背中をなでて、
泣き止むのを待ったのでした。
彼女は物事をはっきりさせていた。
息子が宝物だったっことを。

彼は今は立派な大人だけれど、
その日のことをしっかり覚えている。


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