スケッチブック

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人間なのだ!

2019-06-09 16:54:40 | Short shorts





人間  

作者: R.C.Sproul
翻訳: polo181

 私は脳性麻痺の犠牲者である大学生を受け持っていました。
彼は歩くことは出来たが 手や足があらゆる方向に飛び散って
厳しい困難を抱えていたのでした。

 実際手足は制御不能でヒラヒラと蝶のようにして歩くのだった。
彼の言葉は不明瞭でとてもゆっくりで、実に苦しそうで 
聞き手にとって理解するには大変な集中力が要求されるのだった。

 彼の心には何の問題もなかったし、彼の善良な人間性や、
輝くような個性や、自然な笑顔は彼と出会ったすべての
クラスメートや人々に好感を与えていたのです。

 ある日彼は何か困った問題を抱えて私に助けを求めてきたのでした。
祈祷するときは、私は悩み事を聞く前に、きまってこう述べます。
「おお、どうか神様この悩める人間を救い給え」と。 

 私がそっと目を開くとその学生は静かに泣いていたのです。
私は彼に、何が気に触ることを言いましたかと尋ねると、
彼は、「あなたは今私のことを“人間”と言ったでしょう。
これまでに、私は“人”とか“人間”とかと、呼ばれたことが
一度もなかったのです」と返事が返ってきたのでした。

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