よく分かる 住まいづくり・・(檀建築コンサルタント)

私達の考える住まいは、住まいづくりの原価を探り、無駄のない資金で、遊び心のある家を作る事。

とりとめもなく

2011-08-04 06:55:34 | とりとめもなく

 朝5時に起き、犬達を散歩に連れ出す。
日中の暑さとは違い 肌寒い風が吹き、時々エンジン音が通り過ぎる。
今日も一日が始まり人はこれから動き始める。

この静けさの中で 子供の頃のちょうど今頃、夏休みに入ると、
両親の働く山小屋で寝泊りするのが楽しみの一つでもあった。

その時の静けさと、肌寒さと、どこか物悲しい感覚が蘇ってくる。
40年も前の事、テレビもなければ当然パソコンすらない。
その頃はまだ電話もそんなに普及していなかった。

殆ど情報の入ってこない山小屋で、わくわくしながら夏休みを過ごした。
竹を切り縫い針を曲げて釣り針を作り、ミミズを堀り釣りにでかけ、
バケツいっぱいの魚を釣った。

うなぎは何時も釜戸のそばに串に刺さってカリカリに焼きあがっていた。
今から思えば、なんて豊かな生活をしていたんだろうと昔を懐かしさと共に思い起こす。

時はゆっくりと流れ、せきも慌てもしない時の流れが、当たり前のように
その頃は感じていた。
その頃は幻想的と言う言葉さえ出なかっただろうが、今から思えば
幻想的な世界で暮らしていたのかもしれない。

朝もやがたち、鳥のさえずりが聞こえ始め、水の流れの音とが
静まりの中にかすかに響き、心地よい時間を与えてくれた。

陽が登り始めると 両親達は腰に ナタとヨキを腰に差しノコギリをぶら下げ山の斜面を登って行く。
歩くたびに ノコギリの鞘と刃物の柄がぶつかり合う音がリズム良く
山に響く。

山の臭いがあった、風に中に交じり合った山の臭いは心地よかった
それぞれの季節の臭いがありその臭いが体に染み込み、
夜一緒に寝る布団の中でその臭いを嗅ぐのが好きだった。

炭焼きの臭いのなかには、木酢の臭いがあり、木々の臭いがあり
季節の臭いが一緒に交じり合っていた。

この事務所にも時々風向きによっては 木酢の臭い、つまり炭焼きさんの臭いが風に乗って流れてくる。
その時、親父の臭いを思い出す。