肌を美しく再生するケミカルピーリング。
その原理は、傷んだ肌を薄皮一枚はがして、健康な肌の再生を促すというものです。
薄皮をはがすには、薬剤を用いて表面の細胞を痛めつけるわけです。ピーリング後は、しばらく肌が赤くなったりヒリヒリしたりしますが、これって肌に悪くないのかなと心配する方もいるかもしれません。
肌が赤くヒリヒリするのは皮膚の炎症です。そして、慢性の炎症が癌の発生に関与することはよく知られています。たとえば、膵炎は膵癌のリスク因子の一つですし、潰瘍性大腸炎では大腸炎の強さ、範囲、持続期間が大腸癌の発生とよく相関します。慢性肝炎と、肝炎によるダメージが蓄積した肝硬変からは、肝細胞癌が発生します。皮膚でも、炎症を繰り返している粉瘤の嚢胞壁に、まれではありますが皮膚癌が発生することがあります。
さて、ピーリングで繰り返し肌を痛めつけるのは大丈夫なのか。幸い、ピーリングで皮膚癌が増えるなどという報告はどこにも見当たりません。それどころか、逆に、ピーリングが皮膚癌の予防になるらしいという報告があるのです。
胃や腸でもそうなのですが、皮膚でも、深いところの細胞が分裂して表面に移動してきてそのうち脱落することで、表面の細胞は絶えず入れ替わっています。その過程で、ときどき何らかの、皮膚の場合は紫外線などの、ダメージを受けて前癌状態の細胞が生まれます。そうした細胞が胃腸の粘膜や皮膚にとどまり続ければ、それがやがて癌になるわけです。ピーリングでは、肌の表面を薄皮一枚はがすわけですから、ダメージを受けた細胞がはがれて皮膚癌ができにくくなるというわけです。
では、実際にピーリグで皮膚癌が減るのか。
Effect of chemical peeling on photocarcinogenesis.
J Dermatol (2010) 37:864.
日本のグループ(神戸大)からの論文です。はつかねずみ(マウス)を使って紫外線(UVB)を照射して発癌させるモデルで、ピーリングによる発癌抑制効果を調べています。グリコール酸、サリチル酸、トリクロロ酢酸の3種のピーリング剤のすべてで、皮膚癌の発生が抑制されました。さらに、癌のマーカーとも言えるp53と、発癌に関わる遺伝子であるCOX2の発現も減りました。こうした結果から、ピーリングが皮膚癌の予防になる可能性を論じています。
果たして人間でも同じ結果になるのか。疫学的データなどがでてきたら面白いですね。
その原理は、傷んだ肌を薄皮一枚はがして、健康な肌の再生を促すというものです。
薄皮をはがすには、薬剤を用いて表面の細胞を痛めつけるわけです。ピーリング後は、しばらく肌が赤くなったりヒリヒリしたりしますが、これって肌に悪くないのかなと心配する方もいるかもしれません。
肌が赤くヒリヒリするのは皮膚の炎症です。そして、慢性の炎症が癌の発生に関与することはよく知られています。たとえば、膵炎は膵癌のリスク因子の一つですし、潰瘍性大腸炎では大腸炎の強さ、範囲、持続期間が大腸癌の発生とよく相関します。慢性肝炎と、肝炎によるダメージが蓄積した肝硬変からは、肝細胞癌が発生します。皮膚でも、炎症を繰り返している粉瘤の嚢胞壁に、まれではありますが皮膚癌が発生することがあります。
さて、ピーリングで繰り返し肌を痛めつけるのは大丈夫なのか。幸い、ピーリングで皮膚癌が増えるなどという報告はどこにも見当たりません。それどころか、逆に、ピーリングが皮膚癌の予防になるらしいという報告があるのです。
胃や腸でもそうなのですが、皮膚でも、深いところの細胞が分裂して表面に移動してきてそのうち脱落することで、表面の細胞は絶えず入れ替わっています。その過程で、ときどき何らかの、皮膚の場合は紫外線などの、ダメージを受けて前癌状態の細胞が生まれます。そうした細胞が胃腸の粘膜や皮膚にとどまり続ければ、それがやがて癌になるわけです。ピーリングでは、肌の表面を薄皮一枚はがすわけですから、ダメージを受けた細胞がはがれて皮膚癌ができにくくなるというわけです。
では、実際にピーリグで皮膚癌が減るのか。
Effect of chemical peeling on photocarcinogenesis.
J Dermatol (2010) 37:864.
日本のグループ(神戸大)からの論文です。はつかねずみ(マウス)を使って紫外線(UVB)を照射して発癌させるモデルで、ピーリングによる発癌抑制効果を調べています。グリコール酸、サリチル酸、トリクロロ酢酸の3種のピーリング剤のすべてで、皮膚癌の発生が抑制されました。さらに、癌のマーカーとも言えるp53と、発癌に関わる遺伝子であるCOX2の発現も減りました。こうした結果から、ピーリングが皮膚癌の予防になる可能性を論じています。
果たして人間でも同じ結果になるのか。疫学的データなどがでてきたら面白いですね。