コヨイノサンブン

日記のような、私信のようなもの。あるいは、記憶の記録。

ドキュメンタリー映画を観ました。

2006-10-10 09:38:57 | movie

観てきたのは、
『ツヒノスミカ』

人は、否応なく何か大切な色々なものや人とわかれながら
生きていくんだ。

観ながらそう思いました。



新聞の一こまで見つけたこの作品を観に行ったのは土曜日。
「ポレポレ東中野」というかわいい名前の小さな映画館で上映されていました。
ドキュメンタリーを中心に上映している館らしく、
それらしい作品のチラシが置いてありました。

ドキュメンタリーって、それまで実は少し苦手でした。
「実際に起こった事」だけに
映像の美しさという魅力の反面、
啓発的だったり押し付けがましかったり説教じみていたり、
生々しい痛みをそのまま開いてみせているような、
あるいは逆に退屈すぎるような、
「映画」という娯楽として観るにはバランスが
とれていないものが多いというイメージがありました。
今までそういうものしか目にしてこなかったせいもあるのでしょうけれど。


でもこの作品は、そのイメージを払拭してくれました。

ストーリーは、それまで暮らしてきた家を建て替えようとしているのに、
色々なものを捨てちゃいけないと言っているおばあちゃんの周囲の風景を、
孫である監督がカメラを携えて記録したもの。

始まったとたんに、
自分のなかの「懐かしい世界」みたいなところにトリップさせられてしまって
涙が止まらなくなってしまいました。
館から出た後も、まだ溢れてくる。
こんなに泣くのも、久しぶりです。

終始、優しくて、懐かしくて、暖かい家族の空気が
溢れている作品でした。
お茶畑の濃い緑。
古い家や商店街という日常の風景。
そしておばあちゃんが、カメラ(を構えている人)に向ける視線や言葉が
愛おしい。


音楽もシンプルで素敵だったし、
編集も洗練されていて、
安心して観ていられるつくり方でした。

ドキュメンタリーのよさ、みたいなものに目覚めてしまった気がします。

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