甘い人間

本★ときどき★パン

いのち短し、踊れよ男子 安倍雄太郎

2019-06-30 10:52:38 | NetGalley
いのち短し、踊れよ男子

安倍 雄太郎 出版社名:小学館 発売予定日:2019年7月29日

〈 書籍の内容 〉
日舞に魅了された男子学生の恋と友情!
 一目惚れした清香に誘われて舞い上がり、興味のなかった日本舞踊の発表会を見た大学生の駿介。だが駿介は、清香とともに舞台に立つ吉樹から目が離せなくなってしまう。
華やかな舞台で堂々と踊る吉樹に比べて、まるで冴えない自分……。清香に「踊りの上手い人が好き」と言われた駿介は、二人がいる日舞教室に通うことを決意する。
 下心たっぷりの稽古通いが始まるが、容赦なく欠点を指摘する吉樹とはソリが合わず、喧嘩ばかり。しかも清香は吉樹ばかり気にしている。憎いライバルだが、吉樹の踊りの上手さは認めざるを得ず、駿介にはモヤモヤが募った。
 そんななか、発表会で駿介は「橋弁慶」を踊ることに。参考にと見せられたビデオの中で、のびのびと弁慶を踊る少女に感動する駿介。昔、教室にいた女の子らしいが――。
 芸事には縁のなかった男子が飛び込んだ、厳しくも魅力的な日舞の世界。
駿介は吉樹と上手く踊ることができるのか。日舞の名取でもある著者がリアルに描く、恋と友情の日舞男子小説!
〈 編集者からのおすすめ情報 〉著者の安倍さんご自身が、藤間流・名取の日舞男子です。踊りの紹介では、どこがこの演目の胆かがわかりやすく説明され、踊り方の欠点なども具体的に示されています。日本舞踊の魅力がよく分かる




駿介やライバル?吉樹の家族との確執が深くて重いが、
主人公の岡崎駿介が日舞を習い始めたきっかけや会話からラノベ感が漂ってきて、
その重苦しさを紛らわせてくれる。
二人が精神的に成長していく姿や心を通わせていく姿が、踊りの上達とともに読み取れて、読後感がよい。
清香が好きなのは駿介ではなく姉の瑛梨奈なのでは?

#いのち短し踊れよ男子 #NetGalleyJP

女優の娘 吉川トリコ

2019-06-28 20:47:03 | NetGalley
女優の娘
内容紹介
母が伝説のポルノ女優だという事実を隠して活動していたアイドルの斉藤いと。
しかし母の急死により、事実が明かされ、いとは一躍時の人となる。
そんな中、著名な映画監督から、母のドキュメンタリー映画の案内人に指名されて、
いとは母の半生を追うことになり――。

「マリー・アントワネットの日記」シリーズで全女性の共感をさらった著者が、
世界の不条理と闘うすべての人に贈る、真摯な希望の物語。


おすすめコメント
「アイドル」をテーマに、女性の置かれている環境や女性を取り巻く問題をあぶりだしつつ、
それでも一歩を踏み出そうとする彼女たちの輝きを描き切った傑作長編です。



女性アイドルには“卒業”があることに何の疑いも持たずに受け止めていた。
自分と同世代のあの人もこの人も、「卒業します」と言って引退した。
女性活躍云々が言われる今でも同じことが続いている。
さらにランク付けも加わって、彼女たちの若さは搾取され続けている。
いとがヨモギモチのメンバーに心の中で語りかけた
『ねえ、まいまい、私ね、ママが死んだって聞いたとき、
ほっとしたの。これでもうママに会わなくてすむと思ってほっとしたんだよ』
家族はこう振る舞うべきという枠に縛られることなく行動できるいとは、
きっとこれからも「アイドル」でい続けることができるだろう。

旧友再会 重松清

2019-06-27 07:13:25 | NetGalley
旧友再会

あの人にいま会えたら、何を伝えますか?
年を重ねると増えていく「再会」の機会。
再会は、一度別れたからこそのもの。
どう別れたかで、再会の仕方も変わってくる。
会いたい人、会いたくない人、忘れていた人。

子育て、離婚、定年、介護、家族、友達。
人生には、どしゃぶりもあれば晴れ間もある。
重松清が届ける5つのサプリメント。


どの作品もさみしさと苦さの残る味わいのある話です。

重松さんらしい、ノスタルジー漂う「あの年の秋」
「恍惚の人」、横井庄一さん、上野動物園の日本初パンダ。
小野田さん・小塚さん・島田さんの件は初めて知ったことがほとんど。
遺族の心情についての、
《日本中で何百・何千もの人が横井さんのニュースを観て、ひょっとすると..と期待して、でも、あきらめをつけていた》
心がしんとした。歳を取っても、時間が経過しても、記憶の深い部分に残されている。

青田がタクシーに乗せた客は小学校の時に同じクラスだった「旧友再会」
施設に入居している母親に会いに来た。会っても、自分のことを認識していないので心が折れると語る川村。
父親は自宅で一人住まいだが、外に出たまま戻らない。捜索にはタクシー運転手も協力するそうだ。
青田:自分の両親は、老いを持て余さなかっただけ幸せだったのかも知れない。
無事見つかってから、川村さんのお父さんが、母さんのカルピスは薄かったと川村さんに話す場面にしんみり。

「ホームにて」はアンソロジー「そういうものだろ、仕事ってものは」に掲載された作品。
仕事つながりのアンソロジー作品と並べられて読んだときとは違った心持ちで読む。
駅の立ち食いそばの店を定年後の再就職先に選んだ父とその息子と孫の
“負け”のやるせなさが巧みに描き分けられている。
“休む元気”には考えさせられた。仕事を休むにも気力が必要。分かる気がする。

「どしゃぶり」
家具店の店主と中学時代の野球部だった友人との話。
アーケードが取り壊されるサンロード。私の街も、去年この話と同じことがあった。
子どものころのお出かけと言えば、マツビシと大門。夕食には中華楼(漢字合ってる?)が我が家の定番だった。
作品にもどって、いまどき中学部活の取り組みや何を目指しているかには驚いた。
思い出作りやみんなで楽しく。それはそれで、いいのかもしれないが。指導者の方針次第かな。
「くん」「さん」「ちゃん」の話題にはそうだそうだ、呼び分けするのが間違ってるよと強く同意。

「ある帰郷」
これが一番よかった。ツバメの巣をとおして見えてくる祖父母と父のさみしさ。
もう孫に会えない祖父母の気持ちが痛いほど伝わってくる。
余韻のある終わり方にしんみり。
もう孫に会えない祖父母の気持ちが痛いほど伝わってくる第5話「ある帰郷」の余韻のある終わり方にしんみりした気持ちになりました。


重松さんらしい、ノスタルジー漂う「あの年の秋」、
小学校の時のクラスメイトをタクシーの客として乗せた「旧友再会」、
街を通して、親子三代の“負け”のやるせなさが巧みに描き分けられている「ホームにて」“休む元気”仕事を休むにも気力が必要。分かります。
中学校の野球部の臨時監督を引き受けた話は世代・時代の価値観の違いがリアルでこれでいいのか?と考えさせられた。
もう孫に会えない祖父母の気持ちが痛いほど伝わってくる第5話「ある帰郷」余韻のある終わり方にしんみり。NetGalleyJP


川っぺりムコリッタ 荻上直子

2019-06-26 10:00:34 | NetGalley
川っぺりムコリッタ


北陸地方のイカの塩辛工場での仕事に就いた山田が、出会った人たちとの関わるうちに、心の奥に潜んでいた自分の気持ちに気づく。

心地よい読後感の残る作品。
山田が「僕は、まだ、大切なものを失ってはいないと思う」と感じる場面や九九の七の段を逆さまから唱えて自分を励ます場面が印象的。
母が家を出てから場面緘黙になった溝口の息子:洋一がピアニカで返事をしたり気持ちを伝えたりする姿に心が痛んだ。


“せつな たいせつな ろうはく むこりった”仏典に記載の時間の単位。
ずっと一人きりだった青年は、川沿いの古いアパートで、へんてこな仲間たちに出会う。
友達でも家族でもない、でも、孤独ではない。
“ひとり”が当たり前になった時代に、静かに寄り添って生き抜く彼らの物語。


山田が「川べり」にこだわるのはなぜなのか。
「おまえとはもうこれで終わりだよ」と高校生のときに母から捨てられた山田が
“川べりの暮らしがしたい”と思った理由が読み取れなかったり、
話がどんな方向に転がっていくかがなかなか見えてこなかったりで、前半は気詰まりな気分で読んだ。
強引な隣人島田、工場のベテラン中島さんや社長を通して周囲の人と関わり始める山田。
家賃半年滞納の南父子がすきやきを食べているところへ、アパートの住人が茶碗と箸を手に乱入した日が面白かった。

イカの加工工場のベテラン中島さん。口調は厳しいが、山田に丁寧に仕事を教えてくれる。
余計なことは言わず、イライラせず見てくれる。
まちがったときだけ、きっちり注意する人。社長やこの人にも救われた。

ノーサイド・ゲーム 池井戸潤

2019-06-25 17:56:37 | 読書
TBSでドラマ化される。
カバーをはずすと、ラグビーのコート。
ポジションと背番号の図解も載っている。

目次が愉快。これまでの池井戸作品とは趣が異なっている。


アマチュアラグビーのことやラグビー協会のことなど、知らないことがたくさん出てくる。
ルールは何となく知っている。ラグビー、わりと好き。サッカーよりも好き。

今日の朝日朝刊に、600ページをばっさり削った作品とインタビューが出ていた。
それにしても、怒濤の展開。あっという間に監督就任了承・観客席満員など。

「陸王」も、競技中の心理がばっさりカットされていた。
書籍化でがっかりしたが、連載と本とではやっぱりちがうのだなぁと、そのときは納得した。

カドフェスのクリアファイルももらった。