甘い人間

本★ときどき★パン

お誕生会クロニクル 古内一絵

2020-09-16 13:04:17 | NetGalley


年代で異なるお誕生会の思い出。
ある世代から徐々にエスカレートし始めたお誕生会。過熱する親を制御するには学校が頼り。
4年生学年主任の西原〈果たして学校に持ち込まれるべき問題なのか〉ねぇ...。

お誕生会コーディネーターの存在に驚いた。

第5話:お父さんの手作り『ドールハウス』のルーちゃんの言葉がよかった。
「世界でただひとつ、朱理ちゃんのお父さん、本当にすごいです」うんうん、
ちょっと朱理ちゃんの欲しいものとずれていたけど、お父さん、がんばったんだよ。AIもいい仕事してる。

小学校の図工専科岡野尚子が自分なりに子どもたちに接している姿もよかった。


内容紹介
3.11に双子を出産した遠野多香美。4歳になる双子を保育園に預け仕事に育児に奮闘する日々だが、
3.11に生まれたということで仙台に住む実母との間にわだかまりがずっと残っている。
多くの命が犠牲になった日だが、多香美にとっては大切な双子の生まれた祝いの日。
しかし東北に住む母は素直に祝う気持ちになれないようで――「あの日から、この日から」

娘の小学校ではお誕生日会を開くことが禁止されている。
しかし、中国籍のクラスメイトがそのことを知らず、クラス全員を誘ってお誕生日会を開くといい――「ドールハウス」

実は戦後の文化であるお誕生日会。その有様をみることで、家族が、人間が見えてくる。

全7篇の短編集。

えにし屋春秋 あさのあつこ

2020-09-15 17:46:32 | NetGalley

結ぶのも 解くのも 繋ぐのも 切るのも仕事のうち
「えにし屋」登場。いや、暗躍かな。

人への情の濃さを感じる「花曇り」と
離縁話の裏に隠された婚家の哀しく生々しい事情が次々と暴かれる「夏の怪」
対照的な二つの話に絡めて、
主人の才蔵、初と太郎丸、通いの女中のお舟、
四人のえにし屋の面々の紹介。
才蔵と初の関係が少しだけ明かされるのでこれはシリーズ第1弾なのかな。



内容紹介
人生の光と影……
人間のまことに迫る、身も心もふるえる「時代」ミステリー
縁結びも縁切りも、自分らしくあるために

縁を商いとするひとびとの物語。

ある縁談に秘められた切なる祈り。

淺草の油屋、利根屋の娘・お玉と、本所随一の大店の主人との縁談が持ち上がったが、
見合いの前日にお玉は置手紙を残していなくなってしまう。
利根屋の命運を掛けて、身代わりとなったのは奉公人の・おまい。
当日、”えにし屋”を名乗る謎めいた女が現れて、おまいは美しく着飾らせてもらうが、
その後もお玉の行方は一向に掴めないままだった……。