Can't Stop Loving SMAP

SMAPの「音楽」について何か書くブログ。(♪を付した文またはパラグラフは、引用部分です)

s55-b. 愛が止まるまでは

2016年11月07日 | シングル
『愛が止まるまでは』

リリース:2015年9月9日
作詞:川谷絵音
作曲:川谷絵音
チャート最高順位:週間1位(オリコン)
調性: Em


シングル曲についての投稿は最後になる。

タイトルを先に目にした瞬間は、てっきりバラード調の曲だと思っていた。
ところがどうして、アップテンポで駆け抜けるような曲である。
ゲスの極み乙女。の川谷絵音は、2016年に入ってから、実に様様な話題を振りまいてきたが(それこそSMAPと同じくらいの話題性を)、私は彼の作る曲がやはり、かなり好きである。
音楽番組で語るところによれば、川谷は曲を作る際、ギリギリ1~2時間前まで何も頭に浮かばず、ほとんどスタジオに入ってから即興で作詞・作曲してしまうことも多いという。
川谷はこれより一年前、アルバム『Mr.S』において、『アマノジャク』と『好きよ』を提供している。
いずれの曲も、ファンからの評価が高い。

1991年9月9日リリースのデビュー曲が『Can't Stop!! -LOVING-』というタイトルであり、24年後の同月同日にラストシングル(予定)が『愛が止まるまでは』という、名前の共通性がファンの間で話題になった。
ただしこれは偶然であって、川谷絵音はまったく意識していなかったとのことだった。

強い印象を残しているのが、2015年10月5日放送の『SMAP×SMAP』でのセッションだった。
♪よそ行きの服をしまって と歌い出したのが、香取慎吾ではなく川谷だったのである。
その、ウィスパーボイスはやはり非凡なそれだったと思う。
そして、ゲスの極み乙女。を囲むように踊るSMAPが、彼らの歌唱と演奏に色彩を与えるようだった。

『愛が止まるまでは』のPVを視聴した時も思った。
SMAPのメンバーが、歌うというよりも叫ぶように大きな鍵盤の上を疾走する。
音楽性だけではなく、音に彩りを放つ点が、SMAPの持ち味ではないか。
そう感じた。

香取慎吾はゲスの極み乙女。のドラムの音が非常に好きだとしばしば言う。
「僕はとにかくこのドラムが好きで…(中略)わかんない。もう、“うまく表現できない自分でいい!”って思うくらい、あのドラムにえぐられるんだ」
と、ラジオで語っていた。(『おはようSMAP』TOKYO FM、2015年9月9日放送)

この曲は、構成が変わっていて、<Aメロ→Bメロ→サビ>の繰り返しではなく、サビが1回終わった後で、<Cメロ→サビ→Dメロ>のように、サビを挟んでどんどん未知のメロディーが広がっていく。
この<Cメロ>にあたる箇所、

♪最後は もう最後は もう最後は
を、中居正広と香取慎吾が声を重ねて歌う。
この訴えるような力強さが、胸に強い衝撃を残した。

そして、稲垣吾郎のソロが光る。

香取の言葉をそのまま借りたい。
私たちはなぜこんなにSMAPに心を奪われたかわからない。
でも、もう“うまく表現できない自分でいい”! この私たちの思いが、ファンの数だけ連なって、大きなうねりとなればいい。
うねり続ければいい。

愛が止まるまでは!!


SMAPさん『愛が止まるまでは』の歌詞

s55-a. Otherside

2016年11月06日 | シングル
『Otherside』

リリース:2015年9月9日
作詞:Leo Imai
作曲:MIYAVI
チャート最高順位:週間1位(オリコン)
調性: Dm


Wikipediaに記された「ラストシングル」の文字を目にしただけで、胸がつまりそうになる。

『Top Of The World』に続く、MIYAVIの作曲である。
攻めるような曲調も似ているが、今回はさすがに4分の7拍子とは行かない。
木村拓哉のシャウトが響く。
木村好みの曲ではないかと予想するのは、余りにも気持ちよさそうに歌うからだ。

この曲の一番のツボは、中盤のダンスにある。
♪Hey Just stay Don’t go away!
 Hey Today’s another day!
 ……

この箇所で、一人ずつ声を重ねて行き、2小節ごとに振り付けも変わる。
そして、最後の2小節で、中居正広以外の4人が正方形を成す形でボーカルをとる間、中央で中居がソロダンスを踊る。
ここがたまらない。
中居のキレの良いダンスにグッときた。

解散騒動の経緯を聞くに、この時期、SMAPはその後の進退についてかなり揺さぶられていたということになる。
何が行われていたか、何を話し合っていたかは、知る由もない。
それが歯痒くてならない。
踊る中居正広をセンターに据えて、他の4人が囲むように歌うその姿は、たったの2小節とはいえ、何かスリルのような、ハラハラするような際どさを感じさせた。


SMAPさん『Otherside』の歌詞

s54-b. ユーモアしちゃうよ

2016年11月05日 | シングル
『ユーモアしちゃうよ』

リリース:2015年2月18日
作詞:権八成裕
作曲:市川喜康・マシコタツロウ
チャート最高順位:週間1位(オリコン)
調性: E♭


王道アイドルソングの一つ。
個人的に残念なことは、この歌をもっともっと、テレビで歌ってほしかったということである。
メディアで初披露されたのは、2014年から2015年に明けたばかりの『CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ2014→2015』(TBS系、2014年12月31日~2015年1月1日)であったので、両A面を成す『華麗なる逆襲』よりも先に聴いていたはずだった。
公式的には、この曲はSMAPのシングルでは最後の長調の曲となる。

特に印象的だったのが、2015年4月10日に放送された『僕らの音楽~羽ばたく君へ~』(フジテレビ系)で、フジテレビの入社式で歌唱されたことだった。
緊張した面持ちの新入社員を前に、突然この曲のイントロとともにSMAPが登場したのである。
鮮やかな深紅のスーツが、目を引いた。
途端に会場が興奮と歓喜に湧き、新入社員の中には長年SMAPのファンだったという者もおり、感激のあまり涙を浮かべていた。
社会へ羽ばたく人々へのエールに相応しい、明るいリズム曲調である。
『SHAKE』のような、楽しいお祭りのようなテイストも感じさせる。

♪その笑顔 笑い声 どう考えても反則でしょ(笑)

「(笑)」など、改めて読まないと分からない。
ユニークな歌詞である。

振り付けも楽しく、
♪経済的成長 人間的成長? 人はなぜ生きるの
のところで、歌う香取慎吾が歩を進めるのに合わせ、他の4人が後退する振りが面白い。

♪地位とか名誉とか高ぶる株価とか… 幸せって何なの

この、ちょっと社会を風刺するような“ユーモア”を担う役割が、SMAPには合っている。

『笑っていいとも! グランドフィナーレ 感謝の超特大号』(2014年3月31日)で、香取慎吾がタモリへ向けたスピーチを思い出す。

「本当はすごくつらいことがあっても、いいともに来たら笑ってる自分がいて…」

と、号泣寸前で香取は語っていた。
えっ、あの香取でも、そんなつらいことがあったのか、と驚かずにいられなかった。
いくら、香取慎吾のような底抜けに明るいキャラクターでも、当時37歳である。
それは悲しいことなどあるに決まっている。
そうはわかっていても、であった。

この『ユーモアしちゃうよ』を歌った時期を振り返ると、SMAPが岐路に立たされ始めた頃と思われる。
そんな様子は微塵も感じさせず、彼らはテレビやステージで、笑顔を振りまいていてくれたのだった。

こんな風に満面の笑みで、ファンに向かって歌ってくれる日が、二度と来ないと考えただけで、心が搔きむしられる。


SMAPさん『ユーモアしちゃうよ』の歌詞

s54-a. 華麗なる逆襲

2016年11月04日 | シングル
『華麗なる逆襲』

リリース:2015年2月18日
作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎
チャート最高順位:週間1位(オリコン)
調性: F#m→G#m


昨日、12月21日発売予定の『SMAP 25 YEARS』の収録曲が発表された。
収録曲はファン投票による選曲であり、この『華麗なる逆襲』は11位に選ばれた。
1位が『STAY』(アルバム『Pop Up! SMAP』に収録)という結果に、ある種の感慨を覚えないファンはいないだろう。

このラインナップを、あるアナウンサーが「歌の嘆願書」だと絶妙な表現を用いた。同感である。
また、『華麗なる逆襲』の得票数の高さにも、言わばファンの乾坤一擲、良い意味の“諦めの悪さ”が垣間見えて痛快である。
ちなみに、収録順では最後の曲となる。

♪面白おかしく 俺は勝ち逃げするよ
が、SMAPが出す最後(になってほしくはないが)のCDのフレーズとなるのである。
にくい構成としか言いようがない。

草彅剛の主演ドラマ『銭の戦争』(フジテレビ系)の主題歌として起用された。
父親を自死へ追いやった敵への復讐を誓う男を、主人公としている。
そのため草彅のソロボーカルが多い。

ただしこの曲の見どころは、その振り付けにある。
宝塚歌劇団の振り付けも行う、桜木涼介が担当したという。
非常に個性的な華やかさを伴うだけでなく、ちょっとした演劇風の振り付けである。

また、衣装(紫色のスーツ)のネクタイやジャケットを、振り付けのアイテムとして用いるところも面白い。
間奏のバトルダンスは、アドリブが入ることもあり、目を離せない。
そして終盤ではジャズ風の曲調に変わり、センターを占める草彅剛がポケットから札をバラまいて終わる。
『銭の戦争』というドラマ要素が入っているところも新しい。

椎名林檎の作詞・作曲と前評判も高く、期待以上の作品ができた。
椎名は日本語を大切にする作詞家でもあると聞くが、道理で歌詞の中に、熟語がよく見られる。
「無防備」「未開拓」「開戦前夜」「予兆」「皆の衆」など、珍しい言葉が目立つ。

一人称に「俺」を用いている点でも、シングル曲に限っては前例がない。
『俺たちに明日はある』では、曲名に「俺」が含まれているだけで、歌詞の中に一人称は出てこない。
SMAPのシングル曲は、歌詞の一人称はほとんどが「僕」で、例外的に『Hey Hey おおきに毎度あり』の「わて」がある。

「俺」という響きに、したたかさが感じられて、なかなかいい。
そして「華麗なる逆襲」は、今日日の我々ファンの合い言葉にもなった。
ファンよ。ガッツだ。
面白おかしく、勝ち逃げしよう。


SMAPさん『華麗なる逆襲』の歌詞

s53-b. Amazing Discovery

2016年11月03日 | シングル
『Amazing Discovery』

リリース:2014年7月16日
作詞:中田ヤスタカ
作曲:中田ヤスタカ
チャート最高順位:週間1位(オリコン)
調性: B♭


ユニバーサルスタジオジャパンのテーマソングに起用された。
Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅの音楽プロデューサーとして有名な、中田ヤスタカの作詞・作曲である。
もっとも、本人は音楽プロデューサーではなく「DJ」と名乗っている。
過去には、2008年発売のアルバム『super.modern.artistic.performance』収録曲『ココロパズルリズム』も書いている。

2011年の『僕の半分』以降、ハイペースでのリリースが続いていた。
もちろんそれはそれで嬉しいことなのだが、タイアップが多いのが、「どうしたのだろう」という一抹の疑問を感じさせた。

中田ヤスタカの曲は、良い意味で中毒性がある。
『関ジャム完全燃SHOW』(テレビ朝日)(2016年10月16日放送)で、蔦谷好位置やヒャダインが語るところによると、「反復が多くて覚えやすい」という点が特徴的だという。
そして、中田自身は、「歌詞にまったくこだわっていない」とも言う。
この『Amazing Discovery』でも、歌詞の細部にまでこだわっているものは感じさせず、日本語と英語が混合した詞である。
メッセージ性は強くないが、その分、極めてリズミカルであり、サウンドが楽しい。

歌詞にも登場する「ワンダーランド」はUSJを指しているのだろうが、そう呼ばれるに相応しい華やかな曲である。

だが私たちにとってのワンダーランドとは、SMAPのいるこの世にほかならない。
今、それが失われようとしている事実に耐えられないのだ。
悪足掻きと呼ぶなかれ。
松任谷由実がTwitterで呟いた「不条理」という言葉にまるで後ろ盾を得たかのように、ファン魂が燃え続ける。



SMAPさん『Amazing Discovery』の歌詞