「論」ブログヨシ樹

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「おふろcafe」見聞記

2021年12月10日 | オートバイ


「湯守座」建物入口


師走上旬の某日に三重県四日市市に行ってきた。例によってまたバイクでのソロツーリングである。前日に天気予報を確認するとツーリングの当日は晴れ、という予報だったので前夜に四日市市に行く思いを固めた。四日市市といえば当ブログの記事でも紹介した御在所ロープウェイがある御在所岳の近くである。御在所岳のある菰野町からそう遠くない距離の街だ。

四日市市に行ってきたのは御在所岳の麓にある湯の山温泉に行くためではなかった。もちろん湯の山温泉に行きたい気持ちはあった。そして、そう前の記事にも書いた。けれども、それ以上に四日市市にある評判の良い温浴施設に目を付けていたのだ。すなわち、バイクに乗って四日市は生桑町にある、おふろcafe「湯守座」に行きたかったのである。今から「湯守座」の見聞記を記していきたい。

ツーリング当日はまたしても愚図愚図していた。早くから起きてはいたが出発は午前10時を少し過ぎていた。もっともこれは意図的な行動であって、あえてゆっくり出発したのである。なんとなれば、それで十分、今回のバイク・ツーリングを愉しめる、と考えたからにほかならない。

今回は「湯守座」に一泊するつもりで行動したのだ。その日のうちに名古屋に戻らなくてもよいのである。「湯守座」はありていにいえばスーパー銭湯である。ただし、どこの街にもあるスーパー銭湯の類だと早合点してはいけない。ただのスーパー銭湯ならば遠路はるばる名古屋から四日市くんだりまで足を運ぶ必然性がないではないか。

くだんの温浴施設は、いわば付加価値がある銭湯なのだ。インターネットのサイトなどで既存のスーパー銭湯にはない魅力が謳われていたので興味を持ったのだ。この「おふろcafe」というのは最近、勃興してきた新手の銭湯グループで宿泊施設も同じ場所に設けられている。

四日市市の宿泊施設はカプセルホテルのそれであるが滋賀県大津市にある「おふろcafe」はビジネスホテルと一体化していた。大津市の「おふろcafe」は「びわこ座」と称し、ビジネスホテルと銭湯施設が隣接していてホテルの通路と銭湯施設の通路が繋(つな)がっていた。

わたしは、かつて滋賀県へバイク・ツーリングで旅した際に「びわこ座」に実際に宿泊している。詳細は当ブログの記事「滋賀ツーリング」を参照されたい。前編と後編に分けて詳述してある。この「おふろcafe」という施設は三重県や滋賀県のみならず他の地方にも展開している。

読者諸賢は「おふろcafe」という言葉をどういうふうに受けとめられただろうか。奇異に感じられはしなかったであろうか。さもなくば新鮮に感じられたであろうか。この言葉こそ普通のスーパー銭湯とは一線を画すキーワードなのである。ホームページでは「おふろ」と「cafe」との融合というふうに説明されていた。

しかしながら、わたしが思うにそれ以上の意味を持つ施設なのである。入浴はむろんのこと観劇や読書などをくつろぎながらできる。そのための痒い所に手が届くような工夫が随所に施されているのだ。施設内に食事処もあるのは、いわずもがなで様々な料理を食べることができる。単なるスーパー銭湯とは一味、違う施設なのだ。

料理については、わたしは外で安い弁当で済ましていて館内では食べなかったので詳しく説明することはできない。わたしは「湯守座」の近所にスーパーマーケットを見つけたので入館する前に、そこで飲み物や弁当を買った。和風豚ひれかつ弁当というのが、それで税込みで408円だ。安くてなによりだ。ワンコインでお釣りがくる。

弁当はスーパーの駐車場で鉄の柵に腰かけながら店でもらった割り箸で食べた。食費は切り詰める、というわたしの旅先での作法を実践したのだ。思うに貧乏人には貧乏人なりの旅行の作法があるのである。飲み物は、お茶とカフェオレを購入した。いずれもペットボトルで一本百円もしなかった。コンビニで買う、というのがいかに割高で経済的でないか、を思う。もちろん、お金に余裕があれば館内の食事処で食べるのも一興である。

館内の注意書きには風呂場に飲み物は持ち込まないように、とのことで館内に食べ物や飲み物を持ち込んではいけない、というふうには書かれていなかったので多分いわゆる持ち込みは大丈夫であろう。さような解釈は恣意的に過ぎる、と謗(そし)られるであろうか。

脱衣所で着ているものを脱ぎ、裸になって風呂場の入口の扉を開けた瞬間、天を仰いだ。期待を裏切られた気分だった。これでは普通のスーパー銭湯と違わないではないか。浴場自体が広くないのである。何なら狭いと述べても間違いにはなるまい。しかし結論を述べよう。さような思いとは裏腹に結局たっぷり一時間は風呂場で入浴を愉しんだのだ。

わたしはスーパー銭湯、否、銭湯を評価するときに当該銭湯の水風呂に注目する。水風呂がない、というのは論外であるし、たとえあったとしても水風呂が小さかったり貧相であるならば他の湯舟がどんなに良くてもその銭湯は、わたしにとっては評価の低い銭湯になるのだ。

そうであるならば、くだんの銭湯に一時間程度、滞在した事情も判るのではないか。そう、水風呂が良かったのである。「湯守座」の水風呂は「冷水風呂」という名称であったが浴槽が広かった。大人ふたりなら余裕で入れるくらいの広さで無理をすれば三人、入れないこともない。ともかくも、わたしがこれまでに行ったどの銭湯よりも水風呂が大きかったのである。

わたしは銭湯では熱い湯舟に浸かった後は冷たい湯舟に身を埋める。交互に入るのだ。夏でも冬でもそれは変わらない。自動車を所有していないので春夏秋冬どのシーズンもわたしの旅は基本的にバイクでの移動になる。バイクで移動する際どの季節であろうが湯冷めを怖れる。とりわけ冬は湯冷めしないように用心する。湯冷めは風邪に直結するからである。

それゆえバイクでのツーリングの際、原則として頭を濡らすことはしない。頭を濡らすとヘルメットをかぶっていても十中八九、湯冷めするからだ。さらに湯冷め対策として熱い湯舟と冷たい湯舟に交互に入ることが意外にも有効なのである。さような対策はわたしの経験則から導き出されたものだ。このふたつの対策を怠らなければ冬場であっても風邪を引くことは、まずない。

湯舟に浸かりながら浴場に来ている人々を観察をしていると腹が出ている人が少なくなく、わたしも腹が少し出ている点で彼らとは五十歩百歩なので複雑な感慨を覚えた。まあ、平日の昼に銭湯に浸かっている酔狂な人間などリタイアされた年輩の方々が、ほとんどで若い人は稀なので仕方がないことなのかも知れない。

風呂から上がって脱衣所で近所のスーパーで購入した安い値段のカフェオレを飲みながら、しばらくゆっくり一服していた。ほどなくして脱衣所を出て館内をぶらぶら歩いた。その後、休憩場所に身を横たえて目を瞑っていた。だが数分も経たぬうちに目を開けて起き上がって帰ろう、と考えた。館内に二時間以上滞在すると1400円を支払わなければならぬ。その時間が迫っていた。

さらにカプセルホテルで宿泊するとなると4000円近いお金を払わなければならない。実は一泊する予定でいたことは確かだがカプセルホテルには泊まらずに休憩スペースで夜を明かそう、おそらくは眠れるのではないか、と考えていたのだ。けれども急遽、二時間分の料金で失敬しようと考えたのである。

今回のツーリング当日は完全にオフの日だったので泊まっていってもよかったのだが時間が惜しかった。自分の住まいに戻って様々な用事を片付けなければならない。さような思いが去来して結局「湯守座」を早々に辞した。以前から気になっていた「湯守座」での入浴を存分に愉しめたので今回の旅行に悔いはない。午後二時半に帰路に就いた。二時間近くの滞在で支払ったお金は金890円也。

そういえば往路も復路も国道1号のバイパスである「北勢バイパス」を初めて利用した。くだんのバイパスは今回のツーリングで走って心地よかった道路のひとつである。バイク・ツーリングのときに常に携えている『ツーリング・マップル』というバイク用の地図には「北勢バイパス」の記載がなかった。

携帯していた『ツーリング・マップル』は2018年版の地図だったので、むべなるかなである。少し古い地図なのだ。しかしながらインターネット上のグーグルマップを利用して「北勢バイパス」のことを知ることができたのだった。おそらくは最近できたばかりの新しいバイパスなのだろう。御在所岳に行くときにも利用できたらよかったが終わった話である。

自分の住まいに戻ったとき腕時計に目をやると時計の針は午後4時を回っていた。陽は傾きかけていたが明るいうちに帰ることができて良かった。今回のツーリングも期せずして、また名古屋発の日帰り旅行になった。正月にはホテルに宿泊することはもちろん高速道路の利用も視野に入れた本格的なバイク・ツーリングに出かけたい、と考えている。乞うご期待。

もしかすると旅行の見聞記というこの類の記事は、あまり人気がないのかも知れない。今や動画でツーリングの模様を配信しているような時代だ。さはさりながら文字による旅行記というのも悪くないのではないか。わたしはそう思ってここまで書き進めてきたが読者諸賢は、どう思われただろうか。あなたのご意見を是非きかせてほしい。



「湯守座」玄関扉

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