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妄想/アリスなルルーシュ 第16話

2010年05月16日 15時35分07秒 | Weblog
現実逃避妄想
ルルーシュinワンダーランド/その16>



「冗談じゃない!」
繋がれた手を放せと振りほどき、ルルーシュは猫スザクから一歩距離をおいた。
「でも、ルルーシュ・・」
「誰がお前の家に行くか!」
今までの自分の行動を良く考えてみろ!お前のような野蛮で粗暴、ハレンチ極まりないやつの巣に素直に着いていくと思うのか?!
と、ルルーシュは目くじらを立てて、びしりと鼻先に指を突きつけた。
「だって、だって、あれはルルーシュが・・・」
「俺が何だ!?」
「・・・・僕以外の男の名前を出すから、つい・・・」
横を向いて、むくれたその顔といったら。
童顔の顔が更に幼く見えて、なんだかとても可愛かった。
思わず口元が緩む。が、ふるふると頭を振る。こんな事でほだされるな。今、自分で言っただろう。こいつは外見はスザクにそっくりだが、中身はとんでもないケダモノだ。似ても似つかない。
(いや、まてよ?)
はたりとルルーシュは思い直した。
スザクも時々いじわるした、ような・・・。どんなことで、どんなときだったろう?



「ほら、こういうの知らないでしょ?ルルは」
「ひゃ・・・っ。や・・っだぁ」
「嫌じゃないよね?ルルーシュのここ、すごく喜んでるよ?」
「ス・・ザクっ、もぉ・・やめ・・っ」
「だったら、もう2度と僕以外のヤツにあんなことしない?じゃないと・・」
「あ・・ぁ、ああーっ」


「~~~~っ!!」
顔から火が出る!なんて事を思い出すんだ!
どういうシチュエーションか忘れたが(そのくらいのことだ)、とにかくスザクが自分以外の人間といちゃついていたと(身に覚えがない)言いがかりをつけて、そのままベッドに押し倒された。
「----っ」
ああ、もう!全部思い出してしまった。顔どころか全身が熱い。
普段は紳士的なくせに、時々とんでもない『俺様モード』になる。(ジノ、アーニャいわく「独占欲が服着て歩いている」)
思い出すといたたまれない。口になんて決して出せない、あのベッド上の恥ずかしい行為はスザクいわく「お仕置き」。
(なにが、お仕置きだ!)


「僕は君のことが大好きなのに、他の男と浮気なんて・・・って、大丈夫!?」
真っ赤になってうつむいているルルーシュに気がつき、スザクは慌てた。
「だ、大丈夫だ。何でもない!」
額に伸ばしてきた手を制し、平静を取り繕う。それでも体調を崩したのかと気遣ってくる目の前のスザクに、なんだか気が抜けた。
「つまり、だ。それは嫉妬したということなのか?」
「うん・・・そう」
しゅーんとうな垂れた猫耳。(猫のくせに、なんだか犬みたいだ)
「だったら、もっと平和的な行動をしろ!いきなり襲い掛かる男なんて最低だぞ」
「はい、仰るとおりです」
ますます縮こまり、しょげ返っている猫のスザク。
同じだな。あいつも翌朝には、猛反省している。
(「ごめんなさい!もう2度としません!」)
土下座されたこともある。でも、同じ事を繰り返す。
それでも嫌いになれないのは、惚れた弱みだ。スザクだって繰り返すのは、好きでいてくれているから。
くすりと漏れた笑いに、猫スザクが顔を上げた。不安そうに揺れている碧の瞳。
「二度と、するなよ?」
外見だけでなく中身もスザクとそっくりなヤツだ。だから、何度も繰り返すのだろうが。
とりあえず諭してやる。
「うん。ごめん」
傷ついたような表情。自分のやったことで俺(=アリス)に嫌われるのを心配しているのだろう。
スザクがそうだから。
「そうか」
ふわふわの頭を引き寄せ、抱きしめる。スザクは一瞬戸惑ったように身を硬くしたが、すぐ力を抜いた。
「安心しろ。『アリス』が想っているのは、お前だけだ」
きっと。瞳を閉じて、祈る。こいつがスザクと本質が同じであるなら、俺にそっくりなアリスもまた同じだろう。
頭でっかちで、妙にプライドが高くて素直に気持ちが伝えられない。
「っ・・・!」
腕の中の頭が、息を呑み言葉を詰まらせた。そして、背中にするりと手が廻されれ、強く引き寄せられた。
「・・・ごめんなさい」
耳元で呟いたそれは、かすかに震えた涙声だった。


<続く>