SYUUの仕事部屋:ものづくりの世界のしくみをもっと深く知ろう!

製造業(メーカー)の仕事の仕組みをご紹介しています。

モータースポーツ4

2024-06-23 09:46:44 | 888私の履歴書ー仕事編-

(神代植物公園のバラ)

 

 プロモーション活動にはカーショップ会の支援も含まれますが、お主な活動は宣伝広告です。

 一般的には専門誌などへの広告ですが、最も直接的に効果のあるのは、カーレースなどへの協賛です。カーレースといえば、やはりF1ですが、これには多額の資金が必要でまったく無理な世界でした。
 とは言え、国内の主要なレースでないとマニアは集まりませんので、それらのレースに協賛することにしました。

 実際の協賛の仕方は、それらのレースに参加するワークスとスポンサー契約して、自社のロゴをレースカーに表示してもらうことです。その車が良い結果を出せば、マニアに自社のロゴがインプットされ商品の拡販に繋がるというわけです。

 スポンサー契約は2社としました。一社はトヨタ系で、メインはとても資金的に無理なため、サブスポンサーでしたが、それでも年間1千万円の契約料でした。ワークスとしては一流で、主要レースの結果も上々でした。この車のミニカーも市販されていて、今も私の机の上に置いてあります。

 もう一社はメインスポンサーでした。当時、富士グランチャンピオンレースというのが行われていて、これに参加していた、こちらは個人に近いワークスでした。そのため、スポンサー料は安かったのですが、残念ながらリタイア続きで、TV中継されてもほとんど映らないという散々な結果でした。

 結果的に断りましたが、今でも現役で、車好きで知られるある有名な芸能人のメインスポンサーの話もありました。契約約金は1千万円でした。

 モータースポーツ、派手で水商売的な世界でもあります。投資に見合った効果があったのかかなり疑問ですが、問屋さんの協力もあって、次第に、ブランド名がカーショップにも浸透、個人ユーザーからの問合せも来るようになりました。
 そんなこともあって、スポンサー契約はトヨタ系のワークス1社に絞り、プロモーション活動は、カーショップへの働きかけ・支援を中心へと次第にシフトさせていきました。

 地道な日々の営業活動が大事ということを教えられる結果となりました。

 

(モータースポーツ:完)

 

 

 

 


モータースポーツ3

2024-06-09 09:57:12 | 888私の履歴書ー仕事編-

(神代植物公園のバラ)

 

 まずは販売ルートの開拓です。

 自動車用の商品は大きく2つに大別されます。一つは修理用の部品です。もう一つはファッション用などの用品です。アルミホイールなどが代表でしょうか。モータースポーツ用の商品も用品に分類されます。
 この大別は、販売ルートにおいても言えることで、修理用部品に強い問屋・部品商と用品に強い問屋・部品商があります。モータースポーツに限定すると、カーショップといわれる専門ショップもあります。
 幸い、当時取引のあった問屋は用品ルートにも強かったため、新規の問屋の開拓は当面不要でした。ただし、カーショップとの関係は強くなかったため、カーショップへの働きかけ方の検討が行われました。

 検討結果としては、カーショップの組織化でした。主要なカーショップを選別、それらのお店に「○〇会」と命名した組織への加入を働きかけたのです。当然仕入価格など加入特典を付けての勧誘だったわけです。結果として、30社ほどの加入となりました。

 次に目指したのは大手の用品店との直取引です。

 修理用の部品商においては大規模店は無いのですが、用品については、オートバックスなどの大手の用品店が存在します。
 そこで、まず、それぞれの用品店の本部への売込みを図りました。結果はいずれもNOではありませんでしたが、各店補と交渉はOKとの回答をもらっただけで終わりました。
 その理由は量販店ということで、商品の手離れの良さという点でも問題があったようです。タイヤやホイールのように一般の商品と違って、機能用品は商品知識の店員への教育など広範囲な準備が必要で、それに見合った売り上げが予想できないためとのことでした。商品には魅力を感じる、店舗によってはモータースポーツなど高機能品の知識が高いメンバーもいるので、各店舗にあたってくれとの回答もありました。

 したがって、このルートは、各店舗への働きかけを行いましたが、そのためにはパンフレットなどのツールが必要のため、販売ルートの検討とともに、プロモーション活動が行われました。

 

 (つづく)

 

 

 

 

 


モータースポーツ2

2024-05-26 10:30:59 | 888私の履歴書ー仕事編-

(神代植物公園のぼたん)

 

 

 モータースポーツ向けの商品開発がスタートしました。

 まずは、品ぞろえです。とはいっても、修理用と違って車種は限定されます。一般大衆車用や、まして商用車用の商品を発売しても売れません。もっとも、日本では少ないですが、ピックアップトラックなどで走りを楽しむユーザーもいますから、トラックだからと大くくりで対象外とはできません。当時で言えばカローラやサニーなどの大衆車にもスポーティーなグレードがありましたから、大衆車だからと一概には対象外とはできません。

 ということで、まずはある程度の量産車で、スポーツタイプの車種、グレードの中から10点程度を品目選定しました。

 いずれも、修理用で発売済みの商品だったので、内部の調整でスポーツ用に変更が可能なため、開発は比較的容易でした。一番のポイントはどの程度のレベルに調整するかという点でした。

 このため、試作品を数点作成し、テスト走行を繰り返しました。カーメーカーのような本格的なものではありませんが、山梨工場にはテストコースがありました。
 当然。交通規則にのっとった範囲ですが。路上テストも行いました。箱根などの山道でのテストもしています。

 こうして。10品目の仕様が決定されました。いよいよ発売です。

 といっても、これまでの修理用部品とは違います。不特定多数の顧客向けということではありませんが、一般消費者向けの商品です。単純にこれまでの販売ルートで、プロモーション方法で、拡販が可能ではありません。

 ということで、商品開発と並行して、販売ルートの開拓とプロモーションの準備が進められました

 

(つづく)

 

 

 

 

 


モータースポーツ1

2024-05-19 09:27:48 | 888私の履歴書ー仕事編-

(神代植物公園のぼたん)

 

 モータースポーツというとまずは「F1」と頭に浮かぶでしょうか?モータースポーツの最高峰ですから。
 ただ、F1にかかわるのは、相当な資金が必要なんでしょうね。部品メーカーレベルでは容易なことではありません。
 もっとも、F1などのモータースポーツが大好きで、自分も少しはハードな走りがしてみたいという車好きはたくさんいます。
 つまり、モータースポーツへの進出とは、こういった車好きの人向けの部品の提供をしようというものです。
 幸い、製造している部品はいわゆる足回り部品のため、モータースポーツ向けに魅力ある商品として提供することが可能だったのです。

 実は直接ではありませんが、モータースポーツとのかかわりはかなり古くからあった話です。それは、カーメーカーが、サファリラリーなどに参戦していた時に、それ用の部品を提供していたことに始まります。つまりは半世紀以上前から経験のあったことでした。
 同じように、F1ではないですが、国内の自動車レース用の車向けにも、各ワークスの要望する部品の提供をしていたのです。さらに各ワークは、一般モーターファン向けの商品販売もしており、それ向けの商品提供もしていたのです。

 つまり、自社ブランドではありませんが、間接的にモータースポーツ用の商品開発の経験はあったため、これらの経験をもとに、自社ブランド品の開発・販売をしようと方針を決めたということです。

 ということで、モータースポーツ向けの商品開発が始まりました。

 

(つづく)

 


新商品開発2

2024-05-11 09:12:17 | 888私の履歴書ー仕事編-

(MyGardenのフリージア)

 

 

 新商品の開発を決めた4商品のうち1商品は既存の部品を市販化することにしたものです。この商品、発売から40年以上経っていますが、会社自体は合併などでなくなっていろものの、今も当時のブランド名で発売されています。
 既存商品ですが、先に話した3社会の自社以外の2社が市販化していて、ある程度市場はできていたのですが、市販品専門メーカーは商品化しておらず、差別化のために発売することにしたものです。結果ロングセラー商品となりました。

 もう一つの商品は、装置物です。一部に自社の部品が使用されていますが、装置全体としては自社では新規設計品となります。他社では純正品として生産されていますが、市販はされていないため、市販品として発売することにしたものです。
 価格も10万円程度と高く、結果は数台売れたことは覚えていますが、転籍してその後のことは分りません。

 残りの2商品は、修理工場で使用する工具です。当然、自社製品との関連商品ですが、どこのメーカーも発売していない、完全新規開発商品です。

 新規開発商品ということで、これまでのようにカタログがあればいいというわけにもいきません。一応宣伝広告が必要になります。プロに依頼して商品の写真を撮ってチラシを作ってと、部門としてもこれまでにない経験となりました。後に一般消費者向けの商品の開発も行うことになりますが、この時の経験が役立ちました。
 価格をどうするかも論議となりました。いわゆる98でしょうか?商品価格に合わせて目標原価は、自社の利益、問屋、部品商の取り分を考えると相当抑え込まないといけなくなります。内製は難しいので、丸投げ外注ということになります。これぞ私のバイヤーとしての能力発揮時でした。

 この2商品も発売までかかわることになり、初回はかなりの売り上げになったと記憶しています。新商品は問屋も部品商も期待値が大きかったようです。
 ただ、その後については、まもなく転籍で営業部門を離れることとなって把握していません。

 4商品の発売にこぎつけてまもなく、部長に呼ばれます。自社の主力自動車用部品は2種あるのですが、これまでかかわってきたブレーキ部品以外の部品にもかかわってくれという指示でした。
 その理由は、その部品を一般消費者向けの市場で発売する方針が決まったためでした。より具体的にはモータースポーツ向け商品の発売です。

 ということで、本日はここまでです。次回はモータースポーツのお話です。

 

(新商品開発:おわり)