SYUUの仕事部屋:ものづくりの世界のしくみをもっと深く知ろう!

製造業(メーカー)の仕事の仕組みをご紹介しています。

市販品メーカーへの道4・カタログ作成(2)

2024-03-31 10:01:38 | 888私の履歴書ー仕事編-

(よみうりランドジュエルミネーションより    2023年12月19日撮影)

 

 カタログの原稿作成方法はこんな具合です。

 ①ライバルメーカーの品番別一覧表に自社の品番を採番する。
 ②ライバルメーカーの車種別カタログの品番を自社品番に置き換える。

 つまり、最初はいたって単純な方法ですが、ライバルメーカーカタログをそっくりまねてカタログを作成したわけです。

 ここで①の作業はカタログ作成以前に行っていたことです。それは、開発すべき部品を選定するための作業として行ったものです。つまり、自社で開発積みの部品をライバルのカタログと照合して未開発の部品をリストアップする作業で行ったものです。新しい部品開発の初期段階で行った作業です+。

 しかし、この方法では、ライバルメーカーのカタログが発行されるまでは、新規の部品の開発も自社のカタログ作成もできず、ライバルの後追いとなってしまいます。

 ということで、初回はこの方法によりましたが。2回目からは違う方法つまり本来すべき方法をとりました。
 その方法は先に一部お話済みですが、次のとおりです

 ①カーメーカーの新車の発売時に、その新車の部品カタログを入手する。
 ②入手したカタログを確認して、純正の品目番を自社の品目番号に置換する。
 ③置換できなかった部品は新規開発部品としてリスアップし、品番を採番し開発計画に追加する。
 ④純正のカタログの純正品番を新規に採番した自社品番に置き換え、これにより新車のカタログ原稿を作成する。

 以上により、これまでライバルの市版部品メーカーの後追いであった開発もカタログ作成も少なくとも同レベルとなりました。

 この結果、新規部品の開発も順調に進み、カタログも整い。これに伴い売上も順調に拡大していきました。
 そして、私の仕事に内容も新規部品の開発、カタログ作りから次第に本来の営業の仕事へと広げていくことになりました。

 

(市販品メーカーへの道:おわり)

 

 

 

 

 


市販品メーカーへの道4・カタログ作成(1)

2024-03-17 09:51:43 | 888私の履歴書ー仕事編-

(よみうりランドジュエルミネーションより    2023年12月19日撮影)

 

 拡販のためのカタログ作りが始まりました。

 マーケティングの手法に3Pという用語があります。Promotion(販売促進・宣伝広告)、Price(価格)、Place(場所・販売ルート)の3つのPです。カタログはPromotionつまり宣伝広告手段の一つになります。ライバルに負けないカタログは必須のアイテムです。

 カタログといえば、一般的に自社の商品を品目のグループ毎にアイテム番号順に羅列した一覧表ということになります。そこには商品の写真や仕様などが記載され、そこから顧客が選択できるようになっているものが一般的です。

 しかし、自動車部品の場合は、一覧的なリストも必要ですが、それよりも大事なのは、車種ごと一覧で必要な部品の番号が分かるカタログが必要なのです。
 修理工場で、修理用の部品が必要になった時にその部品番号は分かりません。分かるのは、車種と年式と必要部品の3つの条件です。例えばクラウンDX、2018年式のタイヤが必要となったら、次の順で調べることになります。トヨタ→クラウン→DX→2018年式→タイヤの番号は?となります。
 おそらく現在は検索システムで番号が分かるようにコンピュータ化されているでしょうが、当時はこれを一覧リストで分かるようにカタログを作成したわけです。

 ということで、必要な情報は自動車メーカーごとの車種別の部品番号が分かるリストということになります。そのリストは、基本的には自動車メーカーが発行している車種ごとのカタログということになります。もちろん、全部の部品は不要で、自社で販売する部品だけでいいのですが、純正のカタログは部品別ではありませんから、原則として、全メーカー分の車種別カタログをすべて入手する必要があったわけです。
 と、これだけでも大変なことです。そこで、別の手段をまず最初のカタログ作成では取ることにしました。それは、ライバルの市販品メーカーのカタログを利用することでした。

 ライバル市販品メーカーからは次の2種のカタログが発行されていました。一つはメインの車種別・自社の部品番号対応表(カーメーカーのカタログに相当)、もう一つは、自社の番号順の一覧表で、この一覧表にはカーメーカーの純正番号が参考情報として記載されています。
 つまり、この二つのカタログを入手すれば、カーメーカー相当のカタログを作成することが出来ることになります。

 ということで、2社のカタログを入手して自社のカタログ作成がスタートしました。
 2社のカタログのフォーマットは基本同じでしたが、販売している品目が多少違うため、A,B2社の内、A社のカタログを基本として作成しました。

 

 ということで、原稿作りがスタートしました。(続きは次回に!)

 

 

 

 

 


市販品メーカーへの道3・調達ルートの開拓

2024-03-10 11:20:52 | 888私の履歴書ー仕事編-

(よみうりランドジュエルミネーションより    2023年12月19日撮影)

 

 自動車メーカーへ納入する部品メーカー(純正部品メーカー)からの調達作戦がスタートしました。

 といっても、自動車メーカーでもないのに、いきなり純正部品メーカーに電話して、「部品売ってください。」というわけにはいきません。

 そこで調べてみると、純正部品メーカーの中でも、自社ブランドで市販品の販売を行っているメーカーが数社あることが分かりました。つまり、同じようなビジネスを行っている純正部品メーカーはほかにもあったのです。
 そういった部品メーカーは、自社と同じように品揃え苦労しているはずです。そこで、部品メーカー間の会合などの横のつながりを利用して、それらのメーカーに部品販売の可否を確認してみたのです。結果、2社からOKとの回答を得ることが出来ました。

 そこからは、話はとんとん拍子で進みました。まず2社それぞれと具体的な品目と価格の調整を行います。当然、相手からも購入要望の品目が提示されますから、そこから相互購買がスタートすることになりました。
 つまり、なんと、調達が可能になっただけでなく、新たな販売ルートの確保も出来ることになったのです。
 そして、その後、2社と相互に調整するよりは、3社で同時に集まって調整する方がより効率的ということで、「三社会」が作られることになりました。

 「三社会」では月1程度の定期会合を持ち、そこで情報公開を相互に行う会合としました。具体的には、相互購買する部品グループを決め、その対象部品が新規に出た時にそれを相互に紹介することにしたのです。価格は、最終売価(市場で売られる標準価格)に対する一定の割掛けとすることとしました。これにより、新車の発売と同時期に、新規品を市販部品メーカーより早期に調達が可能になったのです。

 さらに、「三社会」では、純正部品としても設定されていない新しい部品グループ、つまりは新商品の開発も進めました。
 もちろん新たに設計して製造するというわけではありません。自動車の部品でもすべての部品が補修用として売られているわけではありません。純正では設定されていない部品の中で、補修用設定のニーズがあるものを調査して、新商品として発売したのです。この新商品も商品構成を決めて、相互の購買対象としました。

 以上、「三社会」は順調に機能しました。内製化すべき部品も設計が順調に進んで、カバレッジ拡大策も順調に進んでいき、新規部品は開発の都度、問屋を通して部品商に案内されていきました。
 そこで、カバレッジ拡大とともに、強い要望が出されたのが、「部品カタログ」でした。

 すでにカタログも出来て配布されていたのですが、品揃えが増えることで、当然、古いカタログには記載されていない部品がどんどん増えていったのです。
 「カタログが使いない!」という話が部品商からどんどん上がってきたのです。

 ということで、カバレッジの拡大策とともに進められたのが、「カタログ作成」でした。

 次回はこのカタログ作成についてお話します。今日はここまでです。

 

(「カタログ作成」につづく)