とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

日本で認知症が「ぶっちぎりで多い」のは「遺伝のせい」なのか…?日本人が「ストレス中毒でボケる」悲しすぎる理由 週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)

2024年07月26日 10時43分43秒 | 老人介護・心の不調・ストレス
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)

人が認知症になるかどうかは、体質や遺伝といった「運命」で決まると思われてきた。だが最新医学の知見によれば、決してそれだけではない。日々の積み重ねが健やかな脳を作るのだ。

前編記事『日本人に「認知症がぶっちぎりで多い」のはナゼなのか? 最新脳科学でわかった、黒幕とされる「ある脳内物質」の名前』より続く。

負のスパイラル

日本人の認知症患者の割合は、1000人あたり23・3人と世界で最も多い。その理由として注目されているのが、「ストレスホルモン」とも呼ばれる脳内物質のオレキシンだ。不安やストレスを感じたり、眠れなかったりすると増える物質で、認知症発症と関係しているとの説が近年唱えられている。

問題は、日本人にはオレキシンが出やすくなる「やむにやまれぬ事情」があるということだ。遺伝である。

じつは日本人には、不安を感じやすくなる遺伝子「S型遺伝子」を持つ人が特に多く、その割合は80%を超える。一方アメリカ人は45%、南アフリカ人は28%しか「S型遺伝子」を持っていない。おくむらメモリークリニック理事長の奥村歩氏は、理由をこう推測する。

「日本では地震や洪水が起きると夜中でも目を覚まし、身を守らなければなりません。さらに逃げ場のない島国なので、人間関係で失敗すると生きていけなくなるリスクもあった。そのため、外界や他人に対して『戦闘態勢』をとりやすい遺伝子を持つ人が増えたのではないかと考えられます。

 

コロナ禍ではこうした日本人の性格が感染抑制に役立ちましたが、一方で過剰に周りの人の顔色を窺ったり、他人にルールを押し付けようとする人が少なくないことも明らかになりました。年をとってイライラしやすくなったという人も、『S型遺伝子』が悪さをしているのかもしれません」

なぜ大谷翔平は10時間寝るのか

覚醒作用をもつオレキシンが脳の中で増えると、不機嫌になったり、怒りっぽくなったり、寝つきが悪くなったりする。それはもともと、オレキシンが「敵と戦うため」の脳内物質であるせいだ。

大谷翔平は「毎日10時間寝る」ことを目標にしているというが、彼はいわば、スタジアムで日々闘う戦士。眠るべきときにしっかり眠り、オレキシンをコントロールすることこそ、最高のパフォーマンスの秘訣だと分かっているのである。

反対に、オレキシンのコントロールがヘタな人の脳内では、アミロイドβは増えてゆく一方だ。イライラして眠れず、それがストレスになって、さらに眠れなくなる……そんな「負のスパイラル」にはまってしまう。

前出の奥村氏は「日本人はいわば、常にオレキシン中毒のような状態」だと警告する。だが、どうしようもないと諦めてしまうのは早計だ。

寝る前スマホはNG

最も重要なのは「夜にしっかりと眠り、脳を休ませること」。最悪なのは、夜になってもスマホ、パソコンを眺め続ける生活だ。脳神経外科医の稲葉泉氏が言う。

Photo by gettyimages© 現代ビジネス

「脳内物質をコントロールして、よく眠るために大切なのは『光』を意識することです。人間は、朝に日光を浴びてから約15時間後に眠くなるようになっていて、これを概日リズムと呼びます。

スマホやパソコンなどの液晶モニターは、強い光を発していますから、夜にその光を浴び続けると、概日リズムが狂って寝られなくなる。遅くとも寝る3時間前になったら、スマホとパソコンはやめましょう」

目が覚めたら、朝の光を浴びることも欠かしてはいけない。日光は、オレキシンと反対に脳の興奮やイライラを抑え、睡眠を助ける働きをもつ、脳内物質のセロトニンを増やしてくれるのだ。

「セロトニンは分泌されてから十数時間ほど経つとメラトニンという物質に変わり、オレキシンの効果を抑えてくれることが分かっています。昼間、しっかりと日光を浴びることで、夜に寝つきがよくなるのです」(稲葉氏)

アミロイドβを洗い流せ

つまり、昼間になるべく外出をしたり、散歩や農作業をしてお天道さまの下に出ることが、長く深い睡眠をとるための早道なのである。

「現役時代には、昼間に仕事をしているとき、闘争心をつかさどるオレキシンやノルアドレナリン、快楽をつかさどるドーパミンなどの脳内物質がたくさん出て、夜になると少なくなるというサイクルが作りやすい。ところが定年してヒマになると、そうした脳内物質のサイクルが崩れてしまい、眠れなくなりがちです。

たっぷり時間があるからといって生活のリズムを崩さず、朝は早めに起き、昼間に活動する規則正しい生活を心がけてください」(稲葉氏)

実は、アミロイドβは寝ているあいだに文字通り「洗い流される」ことがわかっている。アミロイドβそのものは子供のころから脳内で生じているのだが、若いときには認知症を引き起こす前に、自然と脳から取り除かれるのだという。

「人間の脳は、脳脊髄液という液体に浸かった状態で守られています。近年、この脳脊髄液が脳の中を循環し、老廃物を本当に洗い流していることが分かりました。

その作用は、睡眠中に最も盛んになります。若者はよく眠れるので脳脊髄液の循環がよく、アミロイドβが溜まりづらいのですが、40代を過ぎると眠りが浅くなったり短くなったりする。そのためアミロイドβが溜まりやすくなると考えられます」(前出・奥村氏)

神経質すぎてもよくない

もうひとつ大切なのは「楽観的に生きること」だ。精神論ではないかと思うかもしれないが、れっきとした科学的裏付けがある。京都女子大学教授の岩原昭彦氏が語る。

「2016年、北海道のある自治体で中高年を対象に『楽観性と認知機能の関係』が調査されました。そのデータを分析すると楽観的な考え方の人ほど、認知機能も優れていることが分かったのです。

Photo by gettyimages© 現代ビジネス

おそらく、性格と脳の働きが直接かかわっているというよりは、楽観的な人は前向きで活動的な傾向がありますから、暮らしの中で運動したり食事に気を使ったりする余裕が生まれ、結果として脳の健康を保てるということでしょう。逆にいつもイライラしている人は、暴飲暴食や喫煙など、脳の健康を損なう行動をとってしまいがちです」

オレキシンは空腹感をつかさどる物質でもあるから、機嫌よく食事をすることもストレスを減らし、認知症対策につながる。とくに誰か他人と一緒に食事をとることで、オキシトシンやGABAなどのストレスを軽減する脳内物質が分泌されることが分かっている。

「食べる内容も、神経質になりすぎると余計にストレスになってしまいます。食材のバランスを考えつつ、GABAを多く含む納豆やヨーグルト、漬物などの発酵食品を積極的に摂るといいでしょう」(前出・稲葉氏)

不機嫌に生きていると、認知症に一直線だ。脳内物質をコントロールして、イライラをなくす——それをほんの少し心がけるだけで、未来は大きく変えられる。

「週刊現代」2024年7月20・27日合併号より

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