2019年、12月中旬の出来事。
10月、私としては初めてのスリップ。
あれから………2ヶ月ほど経った。
この時、私は、ほぼ奇跡的に断酒を継続していた。
………と言っても、まだ私のソブラエティ(断酒期間)は、まだここへきて2ヶ月足らず。
週に1度行われているホームミーティング。
そのミーティングに出席しつつ、"今日1日だけ飲まない生活"をなんとか模索していた。
趣味である"渓流釣り"は禁漁。
全国、ほぼ全ての河川で禁漁となっている時期でもあったので、私は海への釣行を思い立った。
自分自身が危険な状態になることも覚悟の上で、私は再び海へと向かった……………
ある友人:
「○○!
貴方はもう海へ行かない方がいいと私は思う!
厳しいことを言うけれど、
○○、貴方は考えが甘い。
自分に甘いと思う。」
10月にスリップした時、私はある友人に電話した。
その友人は、私がアルコール依存症となり入院した四年前、彼女が暮らしていた自宅から私が入院していた病院までは片道150キロ以上あるにも関わらず、彼女は真っ先に駆けつけてきてくれた。
これは、その彼女が私に言った言葉である。
車を走らせながら、そんな彼女が言った言葉が私の脳裏をよぎった。
だが、
私は、
釣りをやめるわけにはいかない、できない。
ゆか……
すまん。。。
12月中旬。
再び海辺での車中泊。
今回も、前回と同じコンビニでビールを3缶買い込んだ。
10月にスリップした時とは違い、自分自身への後悔、罪悪感などはさほど感じてはいなかった。
もちろん、これまでAAミーティングに通い、"断酒の誓い"のようなものは行ってきたけれど、やはり私が今立っている場所は、「泥を塗って固めただけの舟の上」
所詮、私の断酒に対する意志は、そんなもの………
いつの間にか、私の意志は、吹けば飛んでしまうほどの塵のようなものとなっていた。
「オレはいつでもやめようと思えば酒をやめることができる。
そうさ、
この2ヶ月間だって、自分の力でやめてきたじゃないか。」
そう思いながら、再び私はビールを2本飲み干した。
体に気だるさは残っていた。
しかし、前回ほどの気持ち悪さは無かった。
ビールは3本買い込んでいたけれど、昨夜は2本まででやめておいた。
それが良かったのかもしれない。
この日の釣果は太刀魚とキジハタ。
釣ったのはいいけれど、自分で調理するのが面倒だったので、以前勤めていた会社の同僚、釣り好きな元同僚に電話をした。
私:
「キジハタと太刀魚釣れたけど、いる?」
この日の釣果は元同僚へのお土産となった。
キジハタと太刀魚、
そして、
昨夜1本飲み残してしまったビールを彼に手渡した。
元同僚の彼:
「なに、これ?
ビールまで貰っちゃっていいの?」
私:
「それ、
持って家に帰っちゃうと、オレまた呑んじゃうからさ、
あげるよ。」
今回の釣行。
私は、
釣りに行きたかったのか?
それとも、
ビールが飲みたかったのか?
どっち?
「オレは飲むことをセーブできる。
やめようと思えば、いつでもやめられる。」
この時、
そう思っている自分の姿がそこにはあった。
果してこの先、
私は、このまま飲酒をセーブし続ける事ができるのだろうか。
「飲酒をセーブする?」
何か……
優先すべきことが違ってきているような気がする。