くもり空の下で……

アルコールとギャンブル。依存症からの回復と成長を目指しながらの日々の雑感を発信。趣味の渓流釣りなども公開しています。

Kさん

2017-11-28 21:33:17 | 日記
夕食後、見たことのない番号からの着信((📱))








「ん?誰だ、これ。」



出てみると、



「オレだけど。」







???
ハイ?




「いや、だからオレだけど。」






???



ハァ😡?




『誰だオマエ。オレオレか?』


……と私は少しイライラしながら答えると、相手は笑いながら本名を名乗った。




誰かと思ったら、私が入院中だった頃に同じ部屋だったアルコール依存症者、また同じホームグループに通うAAの仲間であるKさんからの電話だった。

かつて、私が入院していた頃に電話番号は教えてあったのだが、今までにかかってきたことなど一度もなかった。



突然の電話。



「どうしたの?珍しいですね。元気でやってます?」

と私が訊ねると、




『いや、実は今、病院なんだよ。

スリップしちゃって。』




………という。





「はい?大丈夫なんですか?」
と、私は極力動揺を隠しながら、明るく振るまい彼に聞いてみた。

「うん、大丈夫。
ベッドの空きはあるみたいだから、良かったら"ちぃ~暴"もまた来なよ。」

……と言うKさん。





「いやいや、せっかくのお誘いですけどお断りしますわ。」



……などと、冗談をかわしながらも彼の話をしばらく聞いてみることにした。




これまでに一回もKさんから電話などかかってきたことはなかった。
そんな彼(Kさん)が、自己弁護と自己憐憫の狭間で揺れながら、イロイロな話をしてきた。



始めは黙ってKさんの話に相づちをうちながら聞いていたが、次第に彼の様子は変わっていった。



一言でいうと、あまりにも話がくどい。



約40分………



こちらが、

「じゃーKさん、またお見舞いにでも行きますからね。そろそろ電話切りますよ。」


………と伝えること三回~四回。
しかしKさんは私との会話を切ろうとはせず、終始しどろもどろなことを言っていて、普通に会話ができるような状態ではなかった。






最後はほぼ強引に、私から電話を切った。
「かまってちゃんモード全開」だったKさんは、どうやら私以外にも、他のAAの仲間にも入院してから電話をかけまくっているようだった。







………
………
………
電話を切ってから、しばらく私はショックだった。。。




「あのKさんが…………」

Kさんはここ2ヶ月ほどAAミーティングに来てはいなかった。

なので、
「もしや。」


……とは思ってはいたものの、本当にスリップし、しかもまた入院とは……
私は夢にも思わなかった。



「甘かった。。。」




ハッキリ言えば、私はアルコール依存症という病気を少し軽くみていたのかもしれない。
いづれは死に至ってしまう病であることを忘れかけていた。




あの人なら、きっと大丈夫。



みたいに…………



普段はクールな印象を受けるKさんだが、あれほどまでに『めんどくさい人』になり、私が今まで彼に持っていたイメージが完全に覆されてしまった。

逆に、それほどまでに彼は今、自分で自分のことが見えなくなるほど、きっと冷静さを失っているのだろう。

Kさんのbirthdayミーティングを祝ったのは今から約4ヶ月前だった。
その頃の彼は、物事を冷静に判断し、行動している、私にとっても励みになる存在だった。
(Kさんに関する過去記事⤵)
仲間のBirthdayミーティング - くもり空の下で……




そんな彼が、私が今まで想像すらしなかった姿をさらけ出していた。




それだけきっと、今の彼は孤独なのだろう。。。




私が外来などで、もし病院に行く機会があれば、もし面会が許されるならば、彼に合って話を聞いてみようかと思っています。
彼が私に会いたいと思っているならば、私には彼に会わなくてはならない義務があります。

なぜなら、私もそんなアルコール依存症者の集まりに救われている一人だからです。




もし、このブログを読んでくれている方の中で、回復書籍(アルコホーリクス・アノニマス)をお持ちの方はp58~p64までのフレッドの物語を読んでみてください。

このフレッドと、Kさんは、私の中ではかなり被っている部分がたくさんありました。
その中に出てくる一節を少し紹介したいと思います。


『本物のアルコホーリク(アルコール依存症者)は、ほとんど例外なしに、知識としてはちゃんとわかっていても決して酒をやめることはできない』。


繰り返そう。アルコホーリクはあるとき、最初の一杯に対する防御の気持ちをなくしてしまう。ごくまれな例を除いて、自分自身であれ、ほかの人であれ、その一杯をやめさせられる人間はいない。その力はハイヤー・パワーだけが与えてくれるのである。