池波正太郎  -没後30年記念特集-

2021-01-03 09:31:28 | 日記

kAWADEムック

多分、私は池波正太郎の小説に限ってならばほぼ全部読んでいると思う。なので……このムックを読むともう一度、今度は全集で読もうかな、思ってしまった(その時間はないが……)。
この中で抜群に面白いものをみつけた。『未収録 英雄裁判 大石良雄と赤穂浪士』 裁判官役・池波正太郎、検事役・会田雄次(歴史学者)、弁護人・福田善之(劇作家)。池波ファンならば誰それは立派だった、彼は少々だらしなかった、と思いあたるだろうけれと、あとの二人は勿論ちがう。大石は英雄だったのか? これを読むと、池波正太郎の作家としての力量が解る。
もうひとつ。池波作品を映像化した映画監督・高瀬昌弘、脚本家・春日太一、俳優・中村吉衛門、この三者の寄稿文も読み手でがある。
もう一度、やっぱり読み直すか……な。


江戸人の教養  -生きた、見た、書いた。-

2020-12-20 14:36:08 | 日記

塩村 耕著  水曜社刊

 面白い本を見つけた。江戸時代の教養人(武士、僧侶、町人、公卿、その他)が、市井の暮らし、修養、矜持、奇談、笑い話、噂話、色の道と実に様々なジャンルを書いた話を集めた本。
このような物が残っていたのは、日本は世界に誇る古典籍大国であることであるが、それと同時に江戸時代に発展した藩校、寺子屋とぃった教育機関存在と、版元(出版社)の存在だろう。読みて、書きてが揃っていたのである。
面白い! これ、飽きない。一気に読まない方がいい。そして、誰かに話したくなること請け合い!

 


医者は患者の何をみているか  -プロ診断医の思考-

2020-12-20 09:52:32 | 日記

国松淳和著   ちくま新書

「あなたが病気になった時、医者に求めることは、何だろうか?」 病名? 診断? 治寮?
私は、治してくれればそれで十分。難しい診断説明や病名はどうでもいい、というか、さっさっと家に帰りたい。なにしろ病院は苦手なのだ。
ところが、そうでもないらしい。症状の原因が分からず、診断名もはっきり言われない、ということでいろいろな病院や科を回る患者が結構いるらしい。本末転倒じゃないかな……?
「医者は患者の何をみて、診断しているのか」 その答えが本書。患者は、治して貰えればいいのだ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


日本の最終講義

2020-12-02 14:57:44 | 日記

角川書店刊

ほぼ一ヶ月かけて読了した。帯に「知の巨人たちが歩んできた人生と学問の総決算」とあるように、日本を代表する学者の最終講義を集めた本。総ページ750ページ゛、誰にでも勧められる本ではないが……大学を卒業して恩師の最終講義を聞いた人って意外と少ないのではだろうか? 仕事が忙しい働き盛りだったに違いない。私も、そうだった……。
という訳で、収録されている先生たちを列記してみる。思い当たる先生がいるかもいれない。その方は、ぜひ読んでみたら良い。
鈴木大拙、宇野弘蔵、大塚久雄、桑原武夫、貝塚茂樹、清水幾太郎、遠山 啓、中村 元、芦原義信、土居健郎、家永三郎、鶴見和子、猪木正道、河合隼雄、梅棹忠夫,多田富雄、江藤 淳、網野善彦、木田 元、加藤周一、中嶋嶺雄、安部謹也、日野原重明。
この中に、私の恩師が二人居る……恩返しできていない! 嗚呼。

 

 

 

 

 

 


「バカ」の研究

2020-11-15 15:38:31 | 日記

ジャン・フランソワ・マルミオン著  亜紀書房刊

実は、本命の本をじっくり読むつもりだったのに、タイトルに惹かれてウッカリ手に取ったのがいけなかった!
面白い! 二日で読みきった。しかし、「バカ」を定義するのがこれほど難しいとは思ってもいなかった!貴方ならばどう定義します? 全部で23人の学者が登場している。心理学者、哲学者、数学者、脳科学者、数学者、神経学者、行動経済学者、発達心理学者、社会心理学者、文学者、神経科医などが試みている。中には『くそったれ ドナルド・トランプ理論』の著者アーロン・ジェームスも寄稿している。
それぞれが様々に定義しているのだが、どれも思い当たる。できたら、友人たちと議論してみるといい。多分……結論は出なない筈だ。うん!これは「研究」に値するするテーマだと思う。
最近では一番面白かったけれど、もしかしたら……あたしはバカか……?

 

 


ミンネのかけら  -ムーミン谷へとつづく道-

2020-11-01 09:25:12 | 日記

冨原眞弓 著  岩波書店刊

著者は哲学教授にして、サブタイトルでも分かるようにトーヴェ・ヤンソンの『ムーミン谷のひみつ』『ムーミンのふたつの顔』などの翻訳でも知られる人。
博士論文を仕上げるためにパリのソルボンヌ大学に留学した著者は、そこでさまざまな人と出会う。そして……ヤンソンに出会う。もちろん、人と人のつながりの結果だ。でも……それには人を理解し、共感し、同時に相手にも好意を持ってもらわなければならない。簡単なことではない。
本書は著者のそこに至るまでの、記憶(ミンネ)を綴ったものである。素晴らしい!!静かな語り口といい、ちょっぴりユーモアがあって、久しぶりで上質のエッセイを読んだ。ぜひ読んで欲しい。

 


世界は女性が変えてきた  -夢をつにないできた84人の勇者たち-

2020-09-23 14:22:04 | 日記

ケイト・ホッジス著  東京書籍刊

19世紀以降、様々な分野で活躍してきた84人の女性を、ひとり見開き2ページにまとめた本。ただし、前頁イラストで埋まっており、それも見どころになっているらしい(正直にいうと、ページによっては読みにくい)。
本書の特長は、そのひとり一人に他の同様な人びとのつながりが付記されていることだ。例えば順不同に例を挙げると、ナイチンゲールとヴィクトリア女王、キュウリーとボーヴォワール、エレノア・ルーズベルトとヘプバーン、ピアフとイサドラ・ダンカン等々(意外な人とつながっている!)。つまり、日本語で言うところの「類は友を呼ぶ」ということで、ある意味で「世界を変えてきた」と言えそうだ。ここが本書の読みどころ。
ももちろん誰でも知っているヴァージニア・ウルフ、マララ・ユスフサイ、ミシェル・オバマ、ピアフ、グレタ・ガルボ、ココ・シャネル……読んでいて楽しめる。


悪党たちの大英帝国

2020-08-31 14:35:12 | 日記

君塚直隆著  新潮選書

抜群に面白い! ヘンリ8世,クロムウェル、ウィリアム三世、ジョージ三世、パーマストン子爵、ロイド・ジョージ、チャーチル。英国史ではお馴染みの人達である。
ところが、著者は彼等はとんでもない悪党達だったというのである。しかも!彼等がその時々の英国の基礎を創った英雄でもあるというのである。これを噛み砕いて言うと……本書の内容そのものになってしまうので、日本でいうと織田信長みたいな人、というのが分かり易いかもしれない。彼は戦国時代に終止符を打った最初の武将だった(天下統一)。しかし、同時に叡山全山の僧侶、僧兵、女子供を焼き殺した男であり、部下に裏切られ、焼き殺された男でもある。
つまり、英雄でもあり、悪党でもある。教科書には載っていない英国史。いやぁ面白い!!


激甚気象はなぜ起こる

2020-08-09 09:34:26 | 日記

坪木和久著  新潮新書

あまり聞きなれない気象用語であるが、今年の日本列島は九州地方の豪雨に始まって、それに続く東北・北海道の豪雨、台風が発生しなかった七月、最近の気象はこれまで経験しなかったことばかりで、実感できる。いや、今年ばかりではなく、そして日本ばかりでなく、もつと前から始まっていたようだ。
「激甚気象」という言葉は新潮社の編集部の造語だそうだが、著者の坪木氏はそれに十分応えたばかりか、それを肉付けし、実証し、さらに問題提起している。そして、これは日本だけではなく、地球全体の問題であることを気付かせてくれる。原因は解っている!。そして。その責任の一端は我々一人ひとりにあるのだ!
著者は2017年、日本人として初めて、航空機によるスーパー台風(ひまわり8号)の直接観測に成功した人。つまり、台風の「眼」の中に入った人!写真がある。

 


テレビの荒野を歩いた人たち

2020-07-19 08:45:25 | 日記

ペリー荻野著  新潮社刊

テレビが本格放送をスタートさせたのは1953年である(私は11歳の時だった)。本書によると、当時専門家はゼロ、ノウハウもゼロ、だったそうである。
本書は当時これに体当たりした12人の人達にインタビューしたものである。プロデューサー、ディレクター、脚本家、作曲家、殺陣師、女優、俳優、作家等々。名前は知らなくとも、この人達が関係した番組を言われればすくに分かる。
いやぁ、面白かった。はっきり言ってほとんど(全部と言ってもいい)知っている。なつかしい! 私達はテレビっ子だったのだ。きっと誰が読んでも「あぁそうだった、覚えている」と納得する筈だ。
ただ不思議なのは、、当時のテレビは17万円、公務員の初任給約8千円。どんな悪いことをして親父は買ったのだろう? すぐに家にはあったのだが……。