紙つなげ! -彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場-

2014-08-24 08:50:07 | 日記

佐々涼子著  早川書房刊

敢えて感想は書かない。何を書いても上っ面を撫でるような陳腐なものになると思うからだ。帯のコピーをそのまま借りる。それで十分だと思う。「この工場が死んだら、日本の出版は終わる…… 絶望的状況から、軌跡の復興を果たした職人たちの知られざる闘い」。
タイトルの「紙をつなげ」とは、巨大な抄紙機から生産される紙を切れ目無く巻き取ってロールにすることである。高速印刷機が当たり前の今、一定の切れ目の無い紙のロールは絶対必要条件なのである。「紙つなげ!」は抄紙機の完璧な復活を意味する。
私自身も担当していた印刷物のために、この時用紙の心配をしたひとりである。いつもの印刷会社には在庫がなかった。結局、馴染みのない地方の印刷会社に、用紙があるというだけで任せた経験がある。
洋紙国内販売量の実に四分の一を供給していた日本製紙石巻工場の倒壊は、誇張ではなく日本の出版が終わることを意味していたのだ。つまり、我々は本を読めなくなっていたかもしれないのだ。
ぜひ、ぜひ読んで欲しい。