ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

ギルガメシュとエンキドゥ 5

2006-07-11 10:08:02 | ギルガメシュとエンキドゥ
5.
彼女ニンスンは薫香を消した。そして、エンキドゥを呼び決定を知らせた。
「強きエンキドゥ、あなたはわが胎から出た者ではないが、いまやわたしはあなたのことを話し合った。ギルガメシュのための請願者たち、ウグバブトゥ祭司たち、カディシュトゥ祭司たち、クルマシートゥ祭司たちと」彼女はエンキドゥの首に護符をかけてやった。
そして・・欠損・・。

20ベール(1ベールは約10km)行って、彼らはパンを割いた。30ベール行って夕べの休息をとった。まる1日で彼らは50ベールを進んだ。1ヶ月と15日の道のりもわずか3日で、彼らはレバノン山に近づいた。

彼らは太陽神シャマシュの前で井戸を掘り、身体を浄めた。それから山に登りシャマシュに焼き粉を献げた。ギルガメシュは祈った。
「山よ。私に夢を、良き言葉をもたらせたまえ」夜も昼も眠ることのないギルガメシュが言葉を唱えると、みるまに嵐がおこり風が吹き荒れた。山でエンキドゥはギルガメシュのために夢見の床をしつらえる。やがて嵐は過ぎゆき、エンキドゥは輪のなかに彼を横たわらせた。ギルガメシュは太股の中に顎をうずめた。

 エンキドゥは、ギルガメシュに比べると低次の人間に見えます。エンキドゥは毛だらけで、野蛮人のようだった、と神話は伝えています。けれども、まさにこの野生をとおしてエンキドゥには太古の霊視力、霊智、高次の認識が生きていました。エンキドゥの若い魂と、ギルガメシュの古い魂は出合います。ギルガメシュの魂は、いわばエンキドゥの霊視力に感染し、夢を見ることが出来るようになりました。
昼も夜も眠ることのなかったギルガメシュは、3度目の夢を見ます。
ふたたび人間の休息である眠りが彼の上に落ちた。が、途中でギルガメシュは眠りを終わらせた。ギルガメシュは立ち上がってエンキドゥに語ります。

「友よ、私を呼ばなかったか。なぜ、わたしは目覚めてしまったのだ。わたしに触れなかったか。なぜ、わたしは当惑しているのだ。一人の神が通り過ぎなかったか。なぜ、わたしの筋肉は萎えているのだ。友よ、わたしは3度目の夢を見た。わたしが見た夢は全くもって混乱していた。天が叫び、地が吠え猛っていた。昼は静寂になり、暗闇が出現した。稲妻が光り、火が燃え上がった。火焔はますます高く上がり、死が雨と降り注いだ。火焔は消え失せ火は消えた。山の奥深いところで、山がわが上に落ちてきたのだ。荒野で生まれた人よ。われらはよく考えよう」
そして、ギルガメシュはまた4度目の夢を語り、なおギルガメシュの怖れは止まない。

エンキドゥがその友に向かって言う。
「友よ、あなたの夢は素晴らしい。その夢は貴重だ。あなたが夢で見た山は、フンババのことだ。われらはフンババを捕らえ殺害し、その屍を深淵へ投げ込もう。朝にはシャマシュの良き言葉があるだろう」

朝になりギルガメシュは山の上に登り、シャマシュに焼き粉を献げ涙して祈った。


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